チームに勢いもたらす早々の先制弾 青森山田の最前線で果敢に狙うFW名須川真光

2022年1月8日(土)23時14分 サッカーキング

青森山田FW名須川真光 [写真]=野口岳彦

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 青森山田を4年連続となる選手権決勝の舞台へと導いた大きな流れを作ったのは、昨年からレギュラーを張るストライカー、名須川真光だ。

 開始早々の3分、青森山田は左FKを得るとMF藤森颯太のゴール前に向かってくるキックに対し、飛び出してきた高川学園GK徳若碧都の前に絶妙なタイミングで走り込んでバックヘッド。コントロールされたボールはGK徳若の頭上を越えてゴールに吸い込まれていった。

 自らの得意な形での先制弾でチームを勢いに乗せた。この後もポストプレーと前への推進力を生かしてセットプレーの獲得にも貢献。チームは大量点を挙げて、6−0の大勝で決勝進出を果たした。

 昨年は1トップとして青森山田の最前線で体を張り続けた名須川。177センチと大型ではないが、下半身がどっしりしており、相手を背負ってのプレーを得意とする。その一方でターンスピード、ボディバランスにも優れ、1発で前を向いて仕掛けたり、背後のスペースに飛び込むこともできるマルチプレーヤーだ。だが、昨年は安斎颯馬(現:早稲田大)と松木玖生の2シャドーという強烈な個性を生かすために、献身的なプレーを黙々と続けていた印象だった。

 今年に入ると、チームはこれまでの『4−2−3−1』から、名須川と渡邊星来の2枚を前線に置き、松木の位置を下げて宇野禅斗とダブルボランチを組ませた『4−4−2』にシフトチェンジした。

 春先に「星来の位置を常に見ながら、距離感を大事にして2人で点が取れるようになっていきたいと思います。個人的にはゴールでチームに貢献をしたい。チームの勝利につながるゴールを決められる選手になりたいと思います」と意気込んで高校最後の1年を迎えた名須川は、不動のストライカーとして前線で身体を張りながらも、ゴールに対する意欲を燃え上がらせた。しかし、優勝したインターハイでは大会新記録となる30ゴールを叩き出したチームにおいて3ゴールにとどまり、同じく優勝した高円宮杯プレミアリーグEASTでも6ゴールに終わった。プレミアEASTの記録はチーム得点王の座を渡邊に譲る形となり、ゴール数では松木、藤森と同じ数であった。

 もちろんゴールという結果だけでは見えない貢献度の高いプレーはたくさんある。前線で身体を張ってためを作り、積極果敢なチェイシングがあるからこそ、渡邊や2列目の選手がゴールを奪うことができるし、結果に結びついている。

 だが、今年は点の取れるストライカーを目指しているからこそ、この数字で満足は到底できない。最後の選手権は名須川にとって1年間培ってきた思いを結果で表現する場所であった。

 初戦の大社戦でチームの大会オープニングゴールを叩き出すと、続く阪南大高戦でも試合のトドメを刺す3点目をマーク。準々決勝の東山戦こそ無得点だったが、53分に藤森のロングスローをニアサイドのエンドラインギリギリで身体をしならせ、ゴール前にいた渡邊へ正確なヘッドで繋ぎ、決勝点を演出している。

 そして、準決勝の3分の先制ゴール。高川学園の江本孝監督も「立ち上がり早々に失点をしたことがリズムを作りづらくしてしまった」と悔やんだように、チームに落ち着きと勢いをもたらした重要な先制ゴールだった。

 今大会、ストライカーとして重要な結果と存在感を放っている名須川。この姿を誰よりも頼もしく見ていたのが、第99回大会得点王でもある先輩の安斎だった。

「名須川の成長をすごく感じています。ストライカーとして『俺が点を取るんだ』という自覚がプレーにも立ち振る舞いにも現れているし、貪欲にゴールを狙いながらも、チームのために献身的な守備も忘れない。本当に頼もしくなったと思いますし、決勝では去年一緒に悔しい思いをしたリベンジを絶対に晴らしてほしいし、みんなの思いを背負って、彼ならやってくれると思います」

 いよいよ泣いても笑っても高校最後の試合。最前線で身体を張り続けた男の意地がさらに爆発することを誰もが待っている。

取材・文=安藤隆人

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