“2段階”性能調整の効能をIMSAが説明。ラップタイムと直線スピードの双方でパフォーマンスの均衡図る
2025年1月21日(火)10時1分 AUTOSPORT web

IMSAのエンジニアリング担当マネージングディレクター、マット・カードックは、GTPクラスとGTクラスの双方に2段階式の出力調整を伴うバランス・オブ・パフォーマンス(BoP=性能調整)を導入するすることで、BoPをさらに改良する「可能性が開かれる」と語っている。
IMSAは1月17〜19日にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われたウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕前テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス』において、GTPでは230km/h、GTDプロとGTDでは190km/hをしきい値とする、2段階式の新たな出力パラメーターを設定した。
この規定において、しきい値を超える速度では、その車両の基本のパワーレーベルが上昇または低下するが、この値についてはコースごとに変わることが予想されている。
同様の2段階の調整システムは、昨年のWEC世界耐久選手権において『パワーゲイン』という名称で導入されていた。
「今年は、クルマのバランスをとる方法に関して、いくつかの新しい可能性が開かれたと思う」とカードックはSportscar365に語っている。
「2段階パワーを使用する利点は、レーストラックにおける低速用にひとつのパワー カーブを用意し、高速用には別のパワーカーブを用意できることだ」
「これにより我々は、異なる特性、コーナーからの脱出する際のパワーの能力、異なる空力性能を持つクルマを取り扱うことができる」
「GTDとGTDプロには、さまざまなクルマがある。2段階パワーにより、車両のパフォーマンス特性をより細かく調整して、ラップタイムだけでなく、その車両がラップタイムを達成する方法も均等化できるのだ」
「我々は、直線でのパフォーマンスを縮めようとしている。我々は長年にわたり、ラップタイムのバランスをとる機能と、直線でのパフォーマンスのバランスをとる機能があることを示してきたが、とりわけGT3で見られるようなさまざまな車両プラットフォームがある場合、両方を達成することは常に非常に困難だった」
クルドックは、プラットフォームのエンジン構成と最小重量の多様性があることにより、このシステムはGTカテゴリーでより有益になると予想していると述べている。
クルドックはまた、車種ごとに速度しきい値を調整する可能性はあるが、少なくとも当面はクラス全体で同じにしたいと語っている。
「我々の目標は、できる限りシンプルにすることだ」と彼は説明した。
「そもそも、複雑であることは理解している。サーキットごとに速度しきい値を変更しなければならないと予想している。デイトナでは、GTDとGTDプロは190km/h、GTPは230km/hがしきい値だ。カレンダーを進めていくと……ラグナセカでは、これらのしきい値はおそらくそれほど効果的ではなくなるだろう」
「だから、これらのしきい値を変更しなければならないと予想している。目標は、クラス内のすべてのクルマで、同等に維持することだ。しかし、必要に応じてこれらのしきい値を変更する機能も確かにある」
「IMSAが舞台裏で行っているのは、これらすべてのさまざまな可能性についてシミュレーションを実行することだ。2段階パワーをシミュレートするのは複雑なのだ。その後、競合するさまざまな車種ごとに異なる速度しきい値を見つけなければならないと、プロセスがさらに複雑になっていくが、検討を重ねているところだ」
2段階システムは、今年のIMSA技術チームによる改良のひとつにすぎない。このチームでは、GTDプロと GTDクラスに、トルクセンサーも導入している。
「自動車メーカーと協力して、現在の状況を改善し、デイトナから学んだこと、何が機能し、何が機能しないかを記録したノートを持ち帰り、プロセスの安定性を維持し、シーズンを乗り切るために必要に応じて改良することが我々の目標だ」とクルドック。
「マニュファクチャラー側に多くの開発を強いることは避けたいと考えている」
「規制を変更し、これらの速度(しきい値)を変更するだけでも、メーカーに連鎖的な影響を及ぼす可能性があり、我々はそのことに非常に敏感だ」
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