神宮球場が解体危機 メジャーリーグでは意外に多い移転・建て替え例 古い球場の歴史的価値は?

2023年1月25日(水)11時0分 ココカラネクスト

 明治神宮外苑地区(東京)の再開発で現在の神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て直す計画が持ち上がり、1926年(大正15年)に開場した歴史的建築物でもある神宮球場の解体に反対する声も出ている。

 プロ野球12球団の本拠地で最古の球場は1924年開場の阪神甲子園球場。神宮球場は2番目に古い。3番目は楽天が本拠地として使用している仙台の楽天モバイルパーク宮城(宮城球場)で1950年。ちなみにDeNAがフランチャイズする横浜スタジアムは1978年に新球場としてオープンしたが、同じ場所にそれまで建っていた前身の横浜公園平和球場は1929年の開場だ。

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 メジャーリーグに目を向けると、メジャー球団が現役で使用する球場で最古は1912年に開場したレッドソックスの本拠地フェンウェイパーク(ボストン)、2番目はカブスのリグレーフィールド(シカゴ)で1914年。3番目に歴史のあるドジャースのドジャースタジアム(ロサンゼルス)は1962年で比較的新しい。多くの球場が移転や建て替えで新しくなっているということになる。

 名門ヤンキースを例に出すと、本拠地ヤンキースタジアム(ニューヨーク)は2代目。初代は1923年開場で老朽化に伴い、隣接したエリアに新スタジアムを建設し、2009年にオープンした。

 旧スタジアムは開場は左中間が広く、フィールド上にモニュメントも設置されていたといい、そのエリアは「デスバレー」と呼ばれていた。その一方で右翼ポールと本塁までの距離が短く、左打者の本塁打が出やすいレイアウトだった。それは現スタジアムにも踏襲されている。大打者ベーブ・ルースの活躍で建設されたという経緯もあり、「ルースが建てた家」の異名を持つが、厳密に言えば、旧スタジアムのことを指す。

 神宮球場の歴史的価値は十分にある。設計者はのちに千葉大学長などを務める建築家で教育者の小林政一。同じ神宮外苑にあり、神宮球場の開場年と同じ1926年に竣工した聖徳記念絵画館の設計にも携わったが、こちらは2011年に国の重要文化財に指定された。

 再開発事業については東京都は今月20日、事業者から提出された環境影響評価(アセスメント)の評価書を告示。来月以降に認可し、着工が可能となる。景観や自然環境への影響を懸念し、反対の声も上がっているものの、小池百合子都知事は「手続きは条例にのっとって厳正に進めていく」と述べている。

 神宮球場は学生野球の聖地。日本の野球が学生野球をきっかけに発展していったという歴史的な経緯を踏まえると、再開発事業は一考の余地ありとみるべきか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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