インディカー:オープンテストは琢磨が最速。開幕へ向け上々のスタートを切る

2018年2月11日(日)17時47分 AUTOSPORT web

 2月9、10日にISMレースウェイで行われたインディカー・シリーズのオープンテスト。23台が走行を重ね、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに復帰した佐藤琢磨が総合トップで終えた。


 全長1.022マイルのISMレースウェイ(旧称フェニックス・インターナショナル・レースウェイ)で今年も開催されたプレシーズンオープンテストには23台のインディカーが集結。


 2日間に4セッション、トータル12時間ものプラクティスが行われた。北米大陸の南西部に位置するアリゾナ州は2月でも気候は温暖。2日間とも空は快晴に恵まれ、気温は1日目の日中に記録された摂氏28度が最高で、ナイトセッションでも最低気温は22度までにしか差下がらなかった。風もほとんど吹かず、最高のテストコンディションで参加チームは豊富なデータを収集した。


 ユニバーサルキットと呼ばれる新型のエアロが採用され、自動車メーカー間の空力バトルがなくなった2018年は、新エアロパッケージで速く走るためには何が必要なのか、そのカギをライバルたちより早く見つけたチームがアドバンテージを手にする。


 開幕直前の合同テストで他を一歩リードしていることを示したのは、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングだった。なんと、彼らは4セッションすべてで最速ラップをマークし、そのうちの1セッションでは1、2位を独占。チーム・ペンスキー、チップ・ガナッシ・レーシングの二強を上回るパフォーマンスを彼らは見せた。

ナイトセッションで周回を重ねる佐藤琢磨


 グラハム・レイホールの1カー体制で優勝を積み重ねてきたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、佐藤琢磨を迎えての2カーに拡大した。佐藤にとっては2012年以来のチーム復帰だ。


 昨年度インディ500ウイナーはフェニックスでのテストの最初のセッションでトップタイムをマーク。2セッション目は2番手だったが、2日目の両セッションでも最速ラップをマーク。


 4セッション中3セッションでトップ。残る1セッションは2番手だったから、あわやパーフェクト。最後のセッションで記録した19秒3790は今回のテストでのファステストラップとなった。しかも、佐藤はエントリー23台中で最多の384ラップを走った。ここまで充実したテストはそうそう達成できるものではない。


「いいテストにできました。ユニバーサルキット装着のマシンはダウンフォースが小さいのですが、いろいろなトライを行い、とても多くを学べたし、マシンを2日間で大きく進歩させることもできました」


「ここで得られた情報の中にはショートオーバルだけでなく、他のタイプのコースに対しても有効なものがあります。テストは開幕前にあと2回。バーミンガムの常設ロードコースと、ストリート用にセブリングで走ります」と話す佐藤の顔には充足感が浮かんでいた。一発の速さもあったが、連続周回でも安定したラップタイムを刻み続けるマシンとすることができていたからだ。


 2日間の総合で2番手につけたのは2014年のチャンピオン、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だ。ベストは最終セッションに記録した19秒3878。「ユニバーサルキット装着のマシンは走らせていてとても楽しい。素晴らしいマシンだ。私たちのチームのマシンはこの2日間のテストを通じてとても速かった」とこちらも満足顔だった。

安定した速さをみせるチーム・ペンスキーのウィル・パワー


 3番手はトニー・カナーン(AJ・フォイト・レーシング)。チップ・ガナッシ・レーシングからの移籍はこれまでのところ大成功と映っている。伝説のドライバー、フォイトのチームでベテランは一花咲かせることができるかもしれない。

AJフォイトに移籍したトニー・カナーン


 チームメイトのブラジル出身ルーキー、19歳のマテウス・レイストも13番手につけた。もちろんルーキー最速だ。彼はスピン1回、ウォールへの軽いヒットが2回あったが、デビューシーズンからかなりのパフォーマンスを発揮するものとの期待が持てる2日間の合同テストとできていた。


 2日間の総合4番手は昨年度チャンピオンのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。ベストは最終セッションでの19秒4257。5番手はレイホールで、6番手はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ブライアン・ハータ・オートスポート)、7番手はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)だった。

今年はブライアン・ハータが共同オーナーを務める98号車からエントリーのマルコ・アンドレッティ


 四度のタイトル獲得経験を誇るスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、最終的に8番手。彼のベストは19秒5152で、そのタイムを出した最終セッションに彼はこのテストで唯一となるアクシデントを走行終了およそ30分前に起こした。ただし、アクシデントと言っても、壁にタッチしてサスペンションアームを曲げた程度だった。


 開幕まで残すは1カ月。ストリートでの開幕戦に向け、出場チームはさらにテストを重ねる。


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