「家にいても稽古をしていても頭に浮かぶ」丸山城志郎が阿部一二三に燃やした執念 「令和の巌流島」で24分死闘…引退発表
2025年2月18日(火)6時30分 スポーツ報知
丸山城志郎
柔道男子66キロ級で世界選手権優勝2度の丸山城志郎(31)が17日、所属先のミキハウスを通じて現役引退を発表した。同日付で全日本柔道連盟に強化選手の辞退届を提出し、25日に大阪府内で記者会見を開く。
丸山は書面で「3歳から柔道を始め、五輪優勝を目標として日々稽古に励んできました。その夢はかないませんでしたが、どんなに苦しい時も闘い抜くことができたのは、いつも応援してくださった皆さまのおかげです。非常に濃い柔道人生でした」とコメントを出した。「日本刀の切れ味」と評される鋭い内股を武器に活躍。世界選手権は2019、21年を制覇した。
昨夏のパリ五輪で2連覇を達成した阿部一二三(27)=パーク24=のライバルとして、激闘を繰り広げた。20年12月に史上初の1試合限定で行われた阿部との東京五輪代表決定戦では4分で決着がつかず、ゴールデンスコア方式の延長戦に突入。通常の6試合分に相当する24分間に及ぶ死闘の末に敗れた。“令和の巌流島”とも称される伝説の決戦は、多くの人々の胸に刻まれている。
一方で、五輪の舞台は遠かった。天理大2年時の14年に左膝前十字じん帯を断裂。約1年半試合に出場できず、16年リオ五輪代表入りが消えた。23年世界選手権決勝で阿部に敗れるなど、東京に続き好敵手の壁に阻まれ、パリ五輪代表も逃した。決勝で敗れた昨年2月のグランドスラム(GS)パリ大会が最後の実戦となった。
普段は寡黙だが一転、阿部の話題になると「絶対に勝つ。家にいても稽古をしていても、阿部のことが頭に浮かぶ。そこまで思わせてくれる相手がいるから頑張れる」と執念を燃やした。だが東京五輪代表決定戦を含み、最後は阿部に5連敗。パワーと勢いに技が封じ込まれ、力尽きた。不屈の柔道家が潔く畳を下りた。
◆阿部VS丸山との死闘24分 20年12月13日に行われた東京五輪代表決定戦は4分で決着がつかず、ゴールデンスコア方式の延長戦に突入した。阿部が左手や鼻から出血するなど、2度の治療による中断を挟む激しい展開に。24分に阿部が大内刈りを仕掛け、返し技を狙った丸山の右足を強く押し込んで倒した。ビデオ判定の末、技ありで阿部の優勢勝ちとなった。
◆丸山 城志郎(まるやま・じょうしろう)1993年8月11日、宮崎市生まれ。31歳。3歳で柔道を始め、福岡・沖学園高、天理大を経て、16年4月からミキハウス所属。18年から全日本選抜体重別選手権を2連覇。19、21年世界選手権優勝を果たし、22、23年にも2位に入った。左組み。167センチ。既婚。