ヤマハ最上位のミラー、トラブルと酷暑で「フェアリングを固定するために腕を火傷した」/第1戦タイGP
2025年3月6日(木)14時14分 AUTOSPORT web

3月2日、2025年MotoGP第1戦タイGP チャン・インターナショナル・サーキットで決勝が行われ、ジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)はヤマハ最上位となる11位でフィニッシュした。
2025年シーズンはKTMからヤマハへ移籍し、3年ぶりに復活したサテライトチームのプリマ・プラマック・ヤマハMotoGPから参戦しているミラー。事前に行われたテストでヤマハYZR-M1への適応を進めつつ、新パーツの評価やさらなる改善に向けて尽力している。その際には「コーナーへの進入方法や急ブレーキ、バイクをスライドさせて停止させるという点で、典型的なジャック・ミラースタイルで乗れると感じている」とコメントし、テストの時から前向きな印象を抱いているようだった。
そしてヤマハ移籍後初のレースとなった第1戦タイGP、プラクティスでは14番手でダイレクトでのQ2進出は逃したものの、予選Q1からQ2行きを手にした。予選Q2ではトップからわずか0.308秒差の4番手と、ヤマハ最上位のグリッドを獲得し、スプリントと決勝レースに挑んだ。
スプリントでは、スタートでやや順位を下げてしまったものの6番手を走行中の7周目に痛恨の転倒を喫してしまった。レース中には「いくつかのコーナーでアンダーステアがあり、マシンからの警告を受け取っていたにもかかわらずハードプッシュを続けていた。もっと頭を使わなければならないところで少しやり過ぎてしまったのかもしれない」と振り返り、彼自身にとっても悔いが残るものとなったようだ。
その雪辱を晴らすべく臨んだ決勝レースでは、ポイントを獲得すると同時にヤマハYZR-M1の開発に役立てるためのデータ収集を行うことを目標にしていた。スタートではスプリント同様に6番手につけ、果敢な走りを続けて順調にポジションをキープ。ところが、序盤の8周目あたりでフェアリングに不具合が生じてしまったようで、ペースが上げられない状況へと持ち込まれることに。
そのため、目標である完走とポイント獲得を優先して守りの走りに徹しなければならない状況となってしまう。加えて気温と路面温度が非常に上昇した下でのレースであったため、開幕戦で声を上げていたライダーも多く見られたが、熱問題がミラーにも襲いかかっていたようだ。周回を重ねることにより中盤以降はエンジンが少しずつ熱を保ち始めたことにより、さらに過酷な状況に立たされていたという。
その状況下で、最終的には順位を下げてしまったが、ヤマハ最上位となる11位でフィニッシュしポイントを獲得する走りに繋げた。厳しい状況下であったものの、決勝では目標を見事に達成したミラーの信念も伝わるレースとなった。そんな彼は次のように決勝を振り返った。

「全体的には良い一日だったと思う。決勝中も非常に好調だったけれど、8ラップ目くらいでフェアリングに問題が出たことで上位グループから離されてしまった。留め金がひとつ外れてフェアリングが緩んできてしまったんだ。皆も知っている通り、最近はエアロダイナミクスが非常に重要で、フェアリングに問題が生じたあとはコーナリングやコーナースピードの維持に苦戦するようになってしまった」
「それがとくに顕著だったのが、僕が得意としている第4コーナーと第5コーナーだったんだ。しかも熱い空気が全部、真っ直ぐ吹きつけてくるから、まるで料理をしているみたいな状況だった。暑さが一層、増しただけでなく、ストレートではフェアリングを固定するために腕の内側にやけどもしてしまった」
「それでもなんとかゴールラインまでたどり着けたんだ。結局、終盤で順位を下げてしまったけれど、なんとかまとめ切ってポイントを持ち帰ることができた。今回は基盤固めに集中的に取り組んできたんだ。そしてこれからもハードワークを続けていくよ」
ヤマハ移籍後初のレースは思いがけないトラブルと、タイの酷暑に翻弄される結果となってしまった。しかし、さらなる改善とデータ収集にも貢献しており、間違いなく次戦以降の活躍にも期待できる存在だ。復調の兆しも垣間見えているが、今季体制が強化されたヤマハ勢はどこまで上位に食い込む姿を見せてくれるだろうか。

