佐々木朗希159・8キロデビュー!19日開幕2戦目の先発前進 前回ライブBPから変身「平均(球速)は明らかによかった」
2025年3月6日(木)0時0分 スポーツ報知
帽子を飛ばしながら力投するドジャース・佐々木朗希投手(カメラ・安藤 宏太)
◆オープン戦 ドジャース4—2レッズ(4日・米アリゾナ州グレンデール=キャメルバックランチ)
ドジャースの日本人トリオが4日(日本時間5日)、オープン戦の本拠・レッズ戦(グレンデール)にそろって出場した。オープン戦初登板の佐々木朗希投手(23)は、最速99・3マイル(約159・8キロ)をマークするなど3回無失点、5奪三振の鮮烈デビュー。19日の開幕2戦目・カブス戦(東京D)先発へ前進した。開幕投手の山本由伸投手(26)は先発で4回4安打2失点。大谷翔平投手(30)は「1番・DH」で3試合連続安打を放った。
鳴り物応援のない静かなメジャーの球場で、朗希の気迫の声が響いた。6回1死二塁で迎えた5番・フレーリーへの2球目。足元付近に外れたが、帽子を飛ばしながら全力で腕を振ると、今季最速99・3マイル(約159・8キロ)を計測した。3回を投げ、2安打無失点5奪三振。鮮烈なオープン戦デビューを飾った令和の怪物は「すごくワクワクした気持ちと不安がどっちもあった。マウンドでは集中して、雰囲気をかみしめながら投げられた」と充実感に満ちあふれていた。
復活の兆しが見えた。昨季は平均球速が約156キロ。自己最速165キロの剛腕は物足りなく感じていた。今オフは球速回復を求め、「主に下半身」のフォーム改善に着手。室内練習場では映像技術などを駆使して試行錯誤してきた。「何ができてないかをもう一回、洗い直している。(コーチと)お互いの意見をすり合わせ、形を作ってます」。登板前にも同施設でゴムチューブなどを使って再現性を高めるトレーニングを実施。この日の直球の平均球速は98マイル(約157・7キロ)で、「前回(ライブBP)と最速は2キロしか変わらないけど、平均(球速)は明らかによかった」と確かな手応えを得た。
ナイターで気温11度の肌寒さや慣れない救援登板など難しい条件が重なったが、「3・19」のメジャーデビューに大きく前進した。一時は「まだ検討中だ」とトーンダウンしていたロバーツ監督だが、開幕第2戦先発のビジョンが見えたかを問われ、「その通りだ。彼はグレートだった。今日はいい日だった」と絶賛した。
故郷に勇気を届けた。岩手・大船渡市で大規模な山林火災が発生。9歳だった11年の東日本大震災で、生まれ育った陸前高田市が津波に襲われ、父・功太さん(当時37)、祖父母を亡くし、大船渡市に移住した。今回の災害に、佐々木は見舞金1000万円と寝具500組を寄付。プレーでも地元に明るい話題を届け、朗希は「これからも積み重ねてやっていくしかない」と活躍を誓った。
先発が山本で、大谷も「1番・DH」で出場。5回に“侍継投”でマウンドに上がり、シーズン中では実現しにくい日本人トリオそろい踏みとなった。ただ、降板時にすでに2人の姿はベンチになく、「僕の登板後にはいなかったので寂しかったです」と苦笑いした。
次回は11日(同12日)のガーディアンズ戦に先発し、問題がなければ開幕2戦目に向かう可能性が高い。「しっかりと結果を残して、自信をつけながら準備できたら」。母国でのメジャー初登板へ。自ら道を切り開いた右腕が“最終試験”も全力で突破する。(竹内 夏紀)
◆朗希に聞く「いい集中力で、いいフォームで、いい強さで投げられた」
—大船渡市にも明るいニュースになると思うが、どんな思いを背負ってマウンドに。
「まずは自分のことに集中して、目の前の試合に集中して準備しました」
—球速が上がった。アドレナリンなのかメカニクス的な改善が影響したのか。
「どちらもあります。(フォームの改善は)まだ始めて少しですけど、いい方向には来ていると思うので、継続してもう1段階、上げていきたい」
—通用する感覚は。
「甘いボール自体は打たれる。スプリットがいいところにいったり、自分のいいボールを投げたら、押し込め、空振りが取れたり、収穫もあったので(課題と収穫を)両方感じられて良かった」
—先頭の初球でいきなり99マイル。気持ちを込めた球。
「いい集中力で、いいフォームで、いい強さで投げられたと思う」
—球速が一番出ていた23年に近づけるような感覚か。
「過去のいいところをわざわざなくす必要はないし、近づけられる点や、新たに良くしないといけない点もある。試合に投げてみないとわからないこともあるし、自分の良さはしばらく変わることはないので、それを大事にしながら、反復練習でどうにかしていくしかない」
—今日の収穫、手応えは。
「1人目でストレート自体はすごく強いボールを投げられてましたし、スプリットもいい感じで投げられていた。コントロールも前回(のライブBP)よりも良かった」