二所ノ関親方の春場所総括 堂々たる風格 21歳安青錦が1年後どの番付にいるか楽しみ
2025年3月25日(火)4時30分 スポーツニッポン
今年は寒暖差が激しく調整が難しい場所になりましたが、豊昇龍不在の中で、番付最上位の大の里と実力者の高安が締めてくれました。
役力士もそれなりに力を発揮した場所でしたが、将来が楽しみな力士が出てきました。ウクライナ出身の安青錦。新入幕ながら11勝して敢闘賞を受賞する期待通りの活躍でした。低い前傾姿勢をびしっと決め、相手の揺さぶりにも微動だにしない。前さばきのうまさが光ります。14日目の尊富士戦は持ち味発揮の勝利。相手を中に入れさせず、低く圧力をかけて引いたところを中に入って一気に寄り切る会心の内容でした。千秋楽は「これより三役」(幕内最後の3番)に登場し、千秋楽独特の雰囲気にのまれることなく、堂々とした相撲で王鵬に快勝しました。まだ21歳で伸びしろも十分。これにパワーがついてくれば鬼に金棒です。1年後はどの番付にいるか、とても楽しみです。
新横綱場所で途中休場した豊昇龍は、場所への入りという部分ではうまくいかなかったのでは。土俵入りや行事など慌ただしい中でいつも通りの稽古ができなかったのは残念。結果がより求められる夏場所はもっと重圧がかかってきます。春巡業も早い段階から稽古して準備することが大事です。
対照的に優勝した大の里は、初日の入りはうまくいったのではないでしょうか。最近の中では一番のコンディションで迎え、初日の若隆景戦がいい勝ち方で、いい流れをつかめたと思います。3敗したのは稽古量がまだ足りないということ。稽古はうそをつきません。今後13、14勝の高いレベルの優勝を目指していくためにも、稽古あるのみです。 (元横綱・稀勢の里)