歴史に残る勝利を挙げたフェルスタッペン/恐るべきルーキーたち【独自選出:F1日本GPベスト5ドライバー】
2025年4月10日(木)6時50分 AUTOSPORT web

長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は日本GPの戦いを振り返った。
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■ドライバーの力で勝利をもぎ取ったフェルスタッペン
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選1番手/決勝1位
将来、F1ファンや評論家たちが「ドライバーの力で達成された最も完璧なグランプリ・ウイークエンド」について語り合う時、そこで挙げられる非常に限られたグランプリのなかに、マックス・フェルスタッペンが今年、鈴鹿で見せたパフォーマンスが含まれるのは間違いないだろう。
フェルスタッペンは、週末を通して一度もミスを犯さず、マクラーレンMCL39に本当の意味で匹敵する力を持たなかったRB21から、チームが最大限の速さを引き出すことを助け、レッドブルのシミュレーションの結果、可能だと思われていた以上の速さを記録して、自分のチームさえも驚かせた。
彼の驚異的なポールラップが日曜日の勝利の土台を築いたのは間違いない。しかし、勝利を決定的にしたのは、ランド・ノリスを3秒以上引き離すことはなかったにしろ、確実に前の位置を維持して走った、53周の完璧なラップだった。この勝利は間違いなく歴史に残るものだ。
■マシンのパフォーマンス以上の結果を出したルクレール
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選4番手/決勝4位
フェラーリSF-25は、速さの面でマクラーレンMCL39とは同じカテゴリーにはなく、フェルスタッペンが乗るレッドブルRB21に対抗できるマシンでもない。さらにメルセデスW16よりも遅かった。しかしシャルル・ルクレールは、マシンの性能を上回るような走りを見せ、予選でも決勝でもジョージ・ラッセルを打ち負かして、4番目のポジションをつかんだ。
上海のスプリントではルイス・ハミルトンが圧倒的なパフォーマンスを示したため、ルクレールのチーム内の立場がそれに影響され始めるかに思われたが、鈴鹿でのルクレールは、チームメイトよりもはるかに快適に走行し、チームリーダーとしてのポジションを固めてみせた。
ルクレールには速さがあり、走行中にエンジニアリングチームをリードする能力も高まっている。彼には、勝つ力のあるマシンに乗って、優勝争いをしてほしいものだ。
■予選でも決勝でも速さを見せたアントネッリ
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス):予選6番手/決勝6位
グランプリをリードした史上最年少ドライバーとなったアンドレア・キミ・アントネッリは、シーズン開幕前に彼について語られ、書かれていたすべての良い評価が的確なものであったことを証明しつつある。
予選前にバルテリ・ボッタスから貴重な助言を受けたことで、アントネッリはQ3でタイヤのウォームアップとアタックラップを完璧に決め、キャリア最高となるグリッド6番手を獲得した。
決勝では、ミディアムタイヤでのファーストスティントで、はるかに経験豊富なチームメイトに食らいついていった後、背後からのプレッシャーがなかったため、チームはアントネッリのスティントを延長することを決めた。セーフティカーが出動すれば、順位を上げることができるという期待を込めた戦略だった。
しかしセーフティカーは出なかったため、アントネッリは前方のグループよりもはるかに遅いタイミングでピットストップ。その後、前に空間がある状態では驚くほど速いペースで走行し、最終ラップでルクレールとラッセルに追いついた。この2台にオーバーテイクを仕掛けるにはいたらなかったが、アントネッリは6位でフィニッシュした。非常に印象的なF1キャリアのスタートを切った、素晴らしいルーキーだ。
■3戦目にしてすでにベテランのような走りを見せたハジャー
アイザック・ハジャー(レーシングブルズ):予選7番手/決勝8位
この若きフランス人ドライバーは、オーストラリアGPのフォーメイションラップで犯したルーキーらしいミスを忘れさせるような走りを見せている。日本GPは新人にとっては難しい週末だったが、彼はベテランのようなドライビングを披露し、週末の序盤からビッグネームたちに混ざってトップグループに名を連ねた。
フランスのFFSAアカデミー時代に鈴鹿で走ったことがあるものの、それは今回大きく役立つほどの経験ではなかっただろう。それでもハジャーは週末を通して大きなミスを一切犯さず、予選ではシートベルトの取り付け位置が正しくなかったことによる激しい身体的苦痛を乗り越えてトップ10に入り、自分より経験あるリアム・ローソンより上位につけた。
決勝ファーストスティントでは、より速いフェラーリに乗るハミルトンには対抗できなかったものの、ハミルトンに抜かれた後は、誰にも追われることなく8位でフィニッシュ、F1で初のポイントを獲得した。彼はこの4ポイントを皮切りに、今後素晴らしいキャリアを築いていくに違いない。
■チームの期待を大きく上回ったベアマン
オリバー・ベアマン(ハース):予選10番手/決勝10位
小松礼雄代表が育てるオリバー・ベアマンは、とんでもない逸材だ。ハジャーと同じように、ベアマンにとってシーズンスタートは順調ではなかった。メルボルンでいくつか不必要で高くつくミスを犯したのだ。しかし彼はそれ以降はミッドフィールドで良い戦いをし、中国と日本で連続してポイントを獲得した。
ハースは鈴鹿で新しいフロアを投入、ベアマンは経験豊かなエステバン・オコンよりもうまく適応し、チームメイトが予選Q1で敗退したのに対し、Q3まで進出し、チームの期待をはるかに上回る結果を出した。
自身が「退屈だった」と振り返ったレースでベアマンは、前を走るアレクサンダー・アルボンに攻撃をしかけることはできなかったが、後方のピエール・ガスリーやフェルナンド・アロンソから脅かされることもなく、冷静に、チームに貴重な1ポイントを持ち帰った。