西武 今井→平良で61年ぶりノーヒット「ワン」ラン勝ち エース血染めの8回無安打1失点が珍記録呼んだ
2025年4月19日(土)5時30分 スポーツニッポン
◇パ・リーグ 西武2—1ソフトバンク(2025年4月18日 ベルーナD)
西武は18日のソフトバンク戦で「ノーヒットワンラン継投」で2—1で競り勝ち、3連勝を飾った。先発の今井達也投手(26)が8回を無安打1失点に抑え2勝目。9回は平良海馬投手(25)が締めた。9回を無安打で継投しながら得点を許したのは1964年5月13日の近鉄の牧野伸、山本重政以来61年ぶりの記録となった。チームはベルーナドームで今季初勝利。371日ぶりに勝率5割に復帰した。
いつだって特別な相手だ。1—0の4回2死、今井は4番・山川に直球勝負を挑んだ。156キロで2打席連続の空振り三振に斬ると、雄叫びを上げて帽子を飛ばした。普段はクールな男が見せた闘志あふれる表情。成長した姿を見せつけた。
「少しでも甘く入ったら一発はいつでも打てる打者。ピンチとか関係なく、三振を取ることだけを頭に入れて対戦している」
忘れられない言葉がある。23年5月24日のロッテ戦で3回途中8失点KO。3試合で計16失点を喫し、出場選手登録を抹消された。フォームに迷いがあり、自分への怒りが収まらなかった時期に当時、同僚だった山川から「いろいろ思うこともあるし、言いたいこともあると思う。でも、まずは今井が一番の投手になってから。結果を出さないと何を言っても説得力が出ない」と一流選手への心得を説かれた。あれから2年。口癖は「自分のことより、チームが勝つこと」に変わった。
ユニホームの右太腿あたりに右手の指から出血した痕が残る中、無安打投球で迎えた7回。四球と盗塁などで1死三塁とされ、再び山川。三振を狙ったスライダーを三ゴロとされて同点にされた。主砲の食らいつく姿に「4番打者でも、どんな形でも還す必死さが伝わってきた」。初回の対決では自己最速にあと1キロに迫る158キロ直球で追い込み、最後はスライダーで空振り三振に斬った。
前回登板した11日の日本ハム戦でも7回2死まで無安打投球だった。この日、117球を投じた右腕は「ノーヒットへの執着はなかった」と8回無安打1失点で降板。守護神・平良につなぎ、61年ぶりとなる無安打有得点試合を達成した。チームを今季本拠地初勝利に導き、昨年4月12日以来371日ぶりの勝率5割。自身は9年目で通算50勝目を挙げた。
西武75周年として黄金期をモチーフにした記念ユニホームを着て躍動。お立ち台で目を潤ませた今井は「素晴らしい伝統を築いてくださったOBの皆さまのおかげで、今プレーさせてもらっている。ライオンズの名に恥じない活躍をしたい」。チームの顔として言葉と結果で示していく。(福井 亮太)
≪無安打有得点試合は史上5度目≫西武は今井(8回無安打1失点)、平良(1回無安打無失点)が無安打1失点リレー。無安打有得点試合は64年5月13日南海戦で近鉄の牧野伸、山本重政が達成して以来61年ぶり史上5度目の珍記録となった。西武では初で、継投での達成は史上3度目だ。なお、ソフトバンクは南海時代の39年5月6日阪急戦で相手打線を無安打に抑えながら1—2で敗戦。プロ野球唯一、被安打0での敗戦を記録している。ちなみに無安打無得点試合は過去102度ある。
▼西武・平良(9回に登板し無失点で4セーブ目。無安打継投を達成し)緊張感を持って投げた。今井さんが気合入っていたので、3人で抑えられて良かった。
▼西武・西口監督(今井は)真っすぐで空振りを取れていたし、変化球でも取れていたしボールの高さも良かった。言うことはございません。まじで今日は5回終わった段階で(ノーヒットノーランを)やるんじゃないかと思いました。