“ノーヒットワンラン”西武61年ぶりの珍記録 今井達也が導いた「無安打有失点試合」はプロ野球5度目

2025年4月19日(土)6時40分 スポーツ報知

8回2死、代打・嶺井を三振に仕留めて雄たけびを上げる今井(カメラ・小泉 洋樹)

◆パ・リーグ 西武2—1ソフトバンク(18日・ベルーナドーム)

 西武が61年ぶりの珍記録でソフトバンクを下した。先発の今井達也投手(26)は無安打ながら、7回に四球絡みで失点し、8回1失点。9回の平良海馬投手(25)は3人で片付け、被安打0、失点1で勝利した。無安打有失点試合は、1964年の近鉄以来、プロ野球5度目。継投も含めて過去107度あるノーヒットノーランより、はるかに珍しい記録となった。

 全てを出し切った。今井は何度もほえた。8回2死、代打・嶺井に155キロを投げ込み、見逃し三振。「出し惜しみしないように。最後のイニング、最後のバッターだと思って」。投げ終えた勢いのまま雄たけびを上げると、何度も力強く胸をたたいてマウンドを降りた。8回無安打ながら1失点の“ノーヒットワンラン”で通算50勝目。お立ち台で見せた涙に今季に懸ける気持ちが表れていた。

 初回からギア全開だった。豊田投手コーチが「正直、持つか心配だった」と話したほど、飛ばしに飛ばした。2死三塁、山川への3球目に158キロ。右手から出血しながら、常時150キロ台中盤の直球を軸に昨季パ・リーグ王者を圧倒し、6回までノーヒットノーランを継続した。

 西口監督も「ひょっとしたらって。5回終わったくらいにやるんじゃないかなって」と快挙を予感する内容だったが、7回に無安打で1点を許した。先頭に四球を与え、二盗で無死二塁。その後1死三塁から山川のボテボテの三ゴロの間に生還を許した。「仕方ないなって」と割り切って3四球9奪三振で8回を投げ抜き、外野への飛球も3つだけ。9回は平良が3者凡退で締め、64年の近鉄以来、61年ぶり5度目となる無安打有失点試合。ノーノーより、はるかにレアな珍記録となった。

 背中でチームを引っ張る絶対的エースだ。開幕からセンターを守り、後ろから投球を見てきた西川は「いつもえぐいっす。守ってて飛んでくる感じがしないというか、ガチって(捉えられて)右中間、左中間みたいなのはイメージが湧かない」と異次元の投球にうなる。指揮官も「振り返るまでもない。ナイスピッチング」と手放しで称賛した。

 この日は「ライオンズ75周年シリーズ」として開催され、球団OBの森祇晶さんらが登場。伝統と革新を表現した限定ユニホームを着用した。レジェンドが見守る中での快投に、今井は「この先もライオンズの名に恥じない活躍を」と誓った。激レア勝利でチームは本拠地初白星を挙げ、勝率5割に。「投げるイニングはもう絶対、ゼロに抑える」という気迫あふれるエースは、近いうちに正真正銘のノーヒットノーランもやってのけそうだ。(大中 彩未)

 ◆記録メモ ソフトバンクは無安打ながら、山川の内野ゴロで1得点。ノーヒットで得点したチームは、前身球団の南海が64年5月13日の近鉄戦で記録して以来5度目、パ2度目(1リーグ2、セ1度)。ソフトバンクは無安打に抑えて唯一の敗戦を喫した39年も含めると、“ノーヒットありラン”5度のうち3度に絡んでいる。一方の西武は今井、平良のリレー。継投で記録したのは39年の南海、64年の近鉄に次いで3度目。

スポーツ報知

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