一夜限りの花火大会か、覚醒は本物なのか 「爆発と沈黙」を繰り返す阪神・佐藤輝は大活躍の後こそ真価が問われる
2025年4月21日(月)16時0分 ココカラネクスト

佐藤は今季2度目となる1試合2発を放った(C)産経新聞社
この2発は真の覚醒か、それとも一時の花火なのだろうか。阪神・佐藤輝明内野手が20日の広島戦(甲子園)で2本塁打を含む4安打6打点という大暴れをみせた。
初回に開幕3連勝中と好調だった森翔平から先制の6号2ラン。前日に追い抜かれた巨人・岡本和真にすぐさま並んでみせた。3回には右翼へ適時二塁打。そして5回には、代わった2番手の鈴木健矢から、試合を決定づける7号3ランを放ってみせた。
【動画】再現性の高いバックスクリーン弾 1試合6打点の佐藤輝明の豪快アーチ
快勝で同一カード3連敗を阻止し、チームを2位浮上へ導いた。また、今季の阪神は12球団で唯一、本拠地球場でホームランが出ていなかった。そんな負の連鎖も断ち切った。
試合後のヒーローインタビュー。「最高です。手応えはあったんですけども、2本ともギリギリだったので良かったです」。中堅バックスクリーン左へ運んだ2発をまずは殊勝に振り返った。
7本塁打、17打点はともに両リーグトップに浮上した。「そんなにうまくいかないと思うんですけど、調子いいときも悪いときも、しっかり打てるようにやっていきたいと思っています」。まだ開幕20試合にも達していない。慎重に言葉を選びながらではあったが、5年目のシーズンへの自信もにじませた。
佐藤輝の1試合複数本塁打は今月5日の巨人戦以来で、通算8度目。ただ今回はいずれも中越えへ運んだ。中堅方向への2本は初めてだ。これまで引っ張るだけでなく、中堅から左方向への打球を一つのテーマに掲げてきた。キャンプでの打撃練習も、そのテーマを意識した内容が多かった。投球のコースに逆らうことなく、広角に鋭い当たりを飛ばす。類い希な肉体を持ち、ポテンシャルは誰もが認める大器に、求められてきた打撃がいよいよ身についてきた。
1試合6打点も、2023年5月14日のDeNA戦でマークした自己最多7打点にあと1と迫った。
一方で打率は.273とまだ3割には及ばない。そして際立つのが三振の多さで25三振も両リーグ断トツ。セ・リーグでは2位のヤクルト・サンタナが19、3位の中日・石川昂弥が18となっている。
今季は3月28日の広島との開幕戦の第1打席で12球団第1号となるアーチから幕を開けた。いよいよ本格覚醒を予感させたが、その次の打席から16打席連続凡退で、その間に11三振も喫した。
5日の巨人戦で2本塁打して一気に復調と思いきや、翌日から5打席連続凡退で3三振。体調不良からの欠場へとつながっていった。派手に暴れた直後、思わぬ不振に陥るという繰り返しになっているのだ。
21日は試合がなく、22日からは敵地でのDeNA3連戦、25日からは本拠地に戻って巨人3連戦と戦いは続く。1日限りの大暴れではなく、安定した長距離砲へ。5年目の真価が問われる1週間になる。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]