【番記者の視点】3連勝で「強い神戸」お目覚め…総合的にかみ合った今、本来いるべき位置へ
2025年4月21日(月)16時5分 スポーツ報知
町田FW呉世勲(右)と競り合う本多(カメラ・谷口 健二)
◆明治安田 J1リーグ▽第11節 神戸1—0町田(20日・ノエスタ)
【関西サッカー担当・森口登生】やはり、というべきか。神戸の勢いは加速する一方だ。前節の川崎戦(ノエスタ)から中3日の一戦でも、関係なく攻守の激しさを維持。今季のこぼれ球奪取数リーグ1位の力を示すように、空中戦やルーズボールには必ず2人目、3人目が周辺に詰め、セカンドボールの回収やボール支配で優位に立った。後半17分にオウンゴールで先制すると、町田の猛攻をしのぎきって3連勝。1試合未消化ながら、首位・京都と勝ち点3差の8位まで浮上した。
今季4度目の無失点試合。見る人の中で印象深かったのは、言うまでもなくDF本多勇喜だろう。左サイドバックでの出場を主としているが、この試合は川崎戦で負傷交代した昨季のべストイレブン、DFマテウストゥーレルが定位置としているセンターバックに入り、前半終了間際にはゴールが空いたシーンで身をていして好ブロック。町田の1トップに入っていた身長194センチのFW呉世勲も、174センチの本多が封じ込めた。本人は「相手にやらせたら流れを持っていかれると思って。タカ(ボランチの扇原)にもしっかりブロックしてもらったので、感謝しています」とサラリと言い放ったが、その存在感はかなり大きなもの。吉田孝行監督が「全員が今日のMVPだと思うが、あえて1人挙げるとするならば本多」と評しただけにとどまらず、この日は本多にスライドする形で左SBに入ったDF鍬先祐弥も「ホンちゃん(本多)じゃなかったらダメだったなというくらい助けられた。オ・セフン選手の2個くらい上からたたいているのを見て『この人、化け物だ』と思った」と笑顔で感謝した。
左ウイングに入っていたMF広瀬陸斗もFW大迫勇也、MF宮代大聖とのコンビネーションで敵陣深くに切り込んで良し、ゴール前に飛び込んで良し。昨季リーグMVPのMF武藤嘉紀もこの試合で3試合ぶりに復帰した。一時は10人以上の負傷離脱者がいる中で戦う日々が続いたが、完全体に戻りつつある今は、多くのオプションを高いレベルで実行できる戦力が充実している。歯車がかみ合った3連勝に、DF鍬先祐弥は「感覚的な感じにはなりますけど、去年の気づいたら勝っているみたいな感覚が戻ってきているのは、やっていて感じる」。立ち返る勝ち方や、感覚をより生きた感覚で持っているのがリーグ2連覇中の神戸が持つ強み。選手、監督が常々口にする「目の前の一戦に全力で」を軸に、今季も強い神戸が帰ってきた。