【川口オート SGオールスター】佐藤励が奇跡の差し 史上初SG初優出、初優勝、完全V
2025年4月29日(火)21時49分 スポーツニッポン
川口オートのSG「第44回オールスター・オートレース」は優勝戦が行われ、1枠からスタートした佐藤励(25=川口、35期)が最後の最後で青山周平、黒川京介を捉えて優勝。史上初となるSG初優出、初優勝、完全V(6日制)の偉業を達成した。
場内がどよめいた。最終周回の4角。前でデッドヒートを繰り広げていた青山周平、黒川京介が外に流れる。諦めず3番手に食らいついていた佐藤励の前が空いた。懸命に飛び込む。わずかにかわした。こんなことがあるのか。川口が誇る次代のエースがついに大きな勲章を手にした瞬間だった。
ロッカー前へと戻る。「凄いよ!」。仲間が駆け寄り、ハイタッチ、抱擁。大きくガッツポーズを見せ、「やべー!」と叫んだ後、集中力が切れたように下を向いてハンドルに顔をつけた。それだけ疲労する戦いだった。
「もう何も考えられない。うれしすぎて感謝の言葉しか出てこない」。表彰式では地元の熱心なファンから「励クン最高!」の声が飛ぶ。「応援が本当にありがたい。川口で良かった」と手を振った。
佐藤励は今年を勝負の年と位置づけていた。栄養士と契約。2月から食生活は一変した。
定期的に病院へと通い、体の状態をチェック。結果、数値を踏まえ、栄養バランスを考えた食事を取るようになった。
効果は劇的だった。疲れが残りにくい体になった。「体調は常にいい。これまでは食べないダイエットをしていたが、今は食べて、さらにダイエットすることも可能な体になっている」
当然、集中力も持続する。体調の良さとマシンがかみ合ったのが、まさに今節。長丁場でも疲れを感じることなく決勝戦まで駆け抜けた。
ついにSGを制覇し、オートレース界の真の頂点をうかがうところまで来た。次なる目標は何と言っても年末のスーパースター王座決定戦。「このスタートでは年末できっと苦労する。また練習します」。喜びに浸るのはつかの間だけ。佐藤励の上を目指す戦いはもう始まった。
▽佐藤励の話
最後、差したかどうか分からなかった。勝ったと分かった瞬間、あ、俺がSG獲ったんだと思った。朝からエンジンは最高の状態だった。スタートは自分なりの全力。その上を行く先輩は凄いです。最後に運良く自分の道が空いた。選手になる前から、背筋がぞっとするような歓声の中で勝つのが夢だった。