【鷹論】本拠地で目立つ空席...分析には時間必要 「見たい時に行く」寄席のような好感あり

2025年4月29日(火)6時0分 スポーツニッポン

 東京勤務だった頃、休日はもっぱら寄席に通っていた。年に数回の講談師・神田伯山の主任興行や人気の落語家の真打ち昇進披露目以外、並んだことはないし、木戸銭さえ払えば気軽に触れられる娯楽だった。それは江戸時代から変わらない。

 そういえば4月、みずほペイペイドームの“空席”がなにかと話題になっていた。4月15日からの楽天3連戦が、3万人強にとどまったからだ。コロナ禍の影響が残っていた22年は3万人以下が20試合あったが、コロナ禍以前で「3万人切り」は17年6月1日の中日戦までない。

 本拠地で開幕から2勝8敗1分けなのは、足を遠のかせる要因の一つではあるだろうが、そればかりじゃない。生ビールは850円が900円になった。原材料費の高騰もあるが、“大台”が目の前なのは実につらい。20年に全面展開の「ダイナミックプライシング(価格変動制)」により、入場券の価格も底上げされている。安い日ならば1000円台の座席もあるが“高い”イメージが浸透しつつあるのでは?と感じる側面もある。

 私の通っていた寄席は特別興行以外は一律、3000円。売り上げの一部を出演者が頭割りするシステムだ。1割ほどしか席が埋まらない日には「今日のギャラでは電車賃しか出ない」と笑えないマクラを振る落語家を何人も見たが、ガラガラの興行は逆にゆったり聴くことができた。

 10年は年間20試合が2万人台だった。推測ではあるが、今季は同様に空席があっても価格が上がった分、球団の収支にはさほど影響はないだろう。困るのは飲食やグッズ販売だろうか。そもそも4月のプロ野球は“閑散期”。開幕戦で盛り上がるが、5、6月は交流戦、その後は夏休みがあるから出費を控える。“変化”の理由はもう少し、時がたたねば分からないだろう。

 ともあれ最近は隣席を気にせず、見たい時に行く野球がある。球場の外にダフ屋のいた平和台や藤崎台はそうだった。令和の時代には合わないだろうが、個人的に懐かしく好みな情景なのである。 (福浦 健太郎)

スポーツニッポン

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