【中日】 ドラ1の金丸夢斗、プロ初登板初先発で6回を5安打2失点8奪三振 初黒星も堂々デビュー
2025年5月6日(火)5時0分 スポーツ報知
力投する先発の金丸夢斗(カメラ・朝田 秀司)
◆JERAセ・リーグ 中日1—2DeNA(5日・バンテリンドーム)
中日のドラフト1位・金丸夢斗投手(22)が、堂々のデビューを果たした。プロ初登板初先発で初黒星を喫したものの、6回を5安打2失点、8奪三振と十分な内容。最速は152キロを計測し、DeNA・牧から初三振を奪った。昨年のドラフトで巨人、阪神、DeNAの4球団が競合した即戦力左腕。一度出場選手登録を外れるが、プロ初勝利をつかむ日は近そうだ。
圧巻の幕開けだった。初回先頭・桑原への初球だ。ゆっくりと振りかぶった金丸の直球が、内角に決まった。152キロの球速が表示され、球場がどよめいた。「多少、甘くてもファウルにできたし、真っすぐは(1軍でも)通用すると思った」。遊ゴロに仕留めると、主軸の2番・牧を3球三振。高めの150キロを振らせ、プロ初奪三振を記録した。「自分の強み」と右打者の内角も攻め込み、完璧な立ち上がりを見せた。
威力十分の直球に、スプリット、スライダー、カーブ、チェンジアップと多彩な変化球を操る本格派。登板前のブルペンではストライクが入らず、首脳陣を不安にさせたが、肝心のマウンドで一変した。「いつもブルペンはよくないんで」と本番で力を発揮するタイプ。緩急を生かし、才能の片りんを見せつけた。
「慎重にいきすぎた」と悔やんだのが4回1死。4番・オースティンに2打席連続の四球を与え、ペースを乱した。2連打で1死満塁とピンチを広げると、山本に2点適時打。「ピンチの場面で、甘く入ってしまうところは直していきたい」と148キロを左前に運ばれた。「切り替えて修正」できるのが金丸のすごさ。5回からの2イニングは1人の走者も許さなかった。
昨年のドラフト会議では巨人、阪神、DeNAと4球団が競合した。くじを引き当てた井上監督は「いいスタートもしながら、苦い経験も最初にできた」と評価。一度、出場選手登録を外れる予定だが「あれだけのパフォーマンスを見せてくれた。空けすぎてもあかん」と次回登板が近いことを示唆した。打線が3安打1得点と援護できず、チームも3連敗。黒星の苦みを忘れそうなほど、黄金ルーキーがキラキラと輝いた。(森下 知玲)
〇…金丸の父・雄一さん(49)と母・淳子さん(48)が、バンテリンDに駆け付けた。甲子園大会などで審判を務めていた父は「本人が(登板の)連絡をくれた時から緊張していた。1軍のマウンドに立つのは、誰もができることではない」と、たたえた。ゴールデンウィーク中の渋滞に巻き込まれないように、早朝3時半に神戸市内の自宅を出発した。プロ初勝利を見届けるべく、息子にエールを送り続ける。
金丸の準備は完璧だった。プロ初登板が決まり、4月28日の休日には伊勢神宮を参拝。海鮮丼に舌鼓を打つと「(白星に)十(10)分にご(5)縁がありますように」と“マイルール”の15円をさい銭箱に入れ、ひそかに必勝を祈願した。
登板前日から食事は生ものを控え、睡眠時間は8時間を確保。当日の練習はストレッチやアップのみで、投球練習は試合直前まで行わない。関大時代から守るルーチンで気持ちを落ち着かせた。「内心はめちゃくちゃ緊張していて、胸がいっぱいだった」と打ち明けたが、この日も試合前から笑顔。とにかくリラックスした様子だった。
見守った家族に初勝利は届けられなかったが、堂々のデビュー戦だった。「緊張していたけど、初回を抑えてからは楽しかった」と振り返った即戦力左腕。次こそ、プロ初勝利をつかみ取る。(中日担当・森下 知玲)