メジャー会場で未発表の“トルクゼロ・スパイダー”を発見! 山路晶は新感覚に感動「何もしなくていい…みんな試して!」
2025年5月7日(水)16時58分 ALBA Net
<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 事前情報◇7日◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県)◇6665ヤード・パー72>
今季メジャー初戦開幕前の練習グリーン。真新しいパターでボールを転がす山路晶が、不思議そうな表情を浮かべている。「何もしなくていいんです。(パターを)上げて…、なんて言うんだろう、もう真っすぐ上げたら、そのまま下すだけ。打ってる感覚もないんです」。これまでに味わったことのない“打ち味”を体験したのが、その理由だ。
そのパターの正体はテーラーメイドの“代名詞”ともいえる『スパイダ—』の最新作で、ソール部分に“ZT”と刻印されている。メーカー担当者に聞いてみると、これは“ゼロトルク”の略。つまり、今、その勢力を拡大しているトルクレスパターのスパイダー版というわけだ。この『トルクレス』とは、フェース開閉のないライ角バランスを持つヘッドと、ねじれ(トルク)の少ないシャフトが特徴的なパターのこと。新作は漆黒のヘッドに光沢のある青がキレイに映えている。
もともと山路は、現在のパターとの相性もよく、特に悩みもなし。この新作も「試しに打ってみようかな」という軽い気持ちでテストしたら、その性能に驚かされた。大型マレットのようなヘッド形状も、ブレード型を使用することが多い山路にとっては「構えた時にどんな感じで上げればいいのかな」と戸惑う要因のひとつだったが、一球打つと、印象がガラリ。「何も考えなくてよかった(笑)。ただ上げたら、下りてくるのを待つだけで、上げ方とかに悩まなくていい」。軽く上げれば、あとはまっすぐ下りてくる“魔法のようなパター”を、目をパチクリして眺める。
メーカー担当者は、この“何もしなくてもいい”という部分に自信を示す。ヘッドの重さや重心位置などを工夫し、センターシャフトでも開閉が少ない1本を実現。「パターに仕事をさせてください」と胸を張る。「自動運転するパターというイメージでしょうか。電源は、トップまで少し押してあげる作業。あとは勝手に真っすぐ下りていきます。選手にとっては“どう上げようかな”とか“どう下げよう”みたいに考える部分がひとつ減ります」。ハンドルを握り、少しの力を加えるだけで、パターヘッドがきれいに通るべき道を走行する…というのが、そのこころだ。
何度打っても、山路の“狐につままれた”ような表情は変わらない。「これは私は打ってないという感覚! だから一打にカウントしないでほしい(笑)」。こんな冗談も飛び出すほどの新感覚だ。「トルクゼロってこんな感じなんですね。ただただ、すごーいって感じ。みんなに試しに打って欲しい!」。夏ごろには、この新パターに関するさらに詳しい情報が出てくるのでは、という話も会場で耳にした。
またツアー通算2勝の山内日菜子は、「転がりがいいです。構えやすかった」というのが第一印象。もともとL字のパターを使用しているが、今作はトルクを抑えるため斜めにシャフトが刺さっている。ただ、これについては「違和感なくて、(ヘッドを)置いたらそこに合わせて構えればいい感じ」とやはり考えることは少な目といった様子。ここは大きなメリットになりそうだ。
先週の米国女子ツアー「ブラックデザート選手権」では、このパターを使用したユ・ヘラン(韓国)が完全優勝を達成している。さすがに、“1打カウントされなかったから”…というわけではないが、1打どころか何打もスコアを縮める大きな武器になるかもしれない。(文・間宮輝憲)
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