WRC:ファンと識者が選ぶ史上最高のドライバーはカルロス・サインツ。決選投票でローブを破る

2020年5月8日(金)16時54分 AUTOSPORT web

 WRC世界ラリー選手権の公式サイト『WRC.com』で歴代ドライバーのなかでもっとも優秀だったドライバーに投票する“グレイテストWRCドライバー”企画が行われ、1990年と1992年にシリーズチャンピオンを獲得したカルロス・サインツが初代グレイテストWRCドライバーに選ばれた。


 この投票企画はシリーズをプロモートするWRCプロモーターによって実施されたもの。レジェンドドライバーと現役ドライバーの計16名のなかから、トーナメント形式の投票でベストドライバーが選出された。投票に参加したのは一般のファンや長年シリーズを追いかけているジャーナリストたちだ。


 この企画には全世界から30万以上の投票があり、サインツとセバスチャン・ローブの直接対決となった決選投票だけでも8万票以上が集まった。その決選投票で57.28%の得票を得て、サインツがグレイテストWRCドライバーに選ばれた。

セリカGT-Four(ST165)


セリカGT-Four(ST185)

“エル・マタドール”の愛称でも知られるサインツは1990年にトヨタ・セリカGT-FOUR ST165で自身初のドライバーズチャンピオンを獲得。92年にはトヨタ・セリカST185でもワールドチャンピオンに輝いた。


 ちなみに1990年のドライバーズチャンピオン獲得は、サインツを起用したトヨタにとってWRC初のワールドタイトル獲得だった。


 その後サインツは2004年にWRCからの引退を表明したが、当時所属していたシトロエンからの招聘に応えて2005年シーズンにスポット参戦。チームにマニュファクチャラーズタイトルをもたらす活躍を残すと、WRCでの活動から完全に身を引いた。


 WRCの通算出走回数は196戦。このうち26戦で勝利を挙げたほか、およそ半数のラウンドで表彰台を獲得するなど、コンスタントな走りも武器のひとつだ。

2020年のダカールラリーを制したカルロス・サインツ
2020年のダカールラリーでカルロス・サインツがドライブしたミニ・ジョン・クーパー・ワークス・バギー


 WRC引退後は2006〜11年にダカールラリーに挑戦し、2010年には初制覇を達成。その後はWRCを戦ったフォルクスワーゲンでアドバイザーなどを務めると、2014年からはふたたびダカールラリーを戦っており、2020年大会では自身3度目のダカール制覇も遂げている。


 4月に58歳を迎えたサインツは「これ以上ハッピーで、誇りに感じるものはない」とファンに感謝の言葉を述べている。


「初めて行われた投票企画で、私を決勝戦まで進めてくれて、そしてセバスチャン・ローブとの直接対決でも勝たせてくれたファンには心から感謝しているよ」


「セバスチャン・ローブと比較されることがどれだけ光栄か、そして彼がどれだけグレイテストドライバーにふさわしいかは、私が語るまでもないだろう。もちろん、今回の企画に選ばれた16名の歴代チャンピオンたちも栄光にふさわしい人物ばかりだ」


「ただ、こういった企画では誰かが勝利を手にしなければならず、今回は私が選ばれることになったんだ」


「私はこれまでのすべてをラリーに捧げてきた。ラリーこそ我が人生で夢なんだ。今回、ラリーにかかわる“家族”たちが私に最高のプレゼントをくれたんだ」


 WRCプロモーターのオリバー・シースラ代表は投票に参加したファンに感謝の言葉を述べると同時に、サインツにも祝福の言葉を贈った。


「サインツは、地球上でもっとも過酷な環境でも類まれなドライビングスキルを発揮してきた人物でWRCのレジェンドと呼ぶにふさわしい人物だ」とシースラ。


「彼は“キング・カルロス”の異名でも知られるが、これで公式にWRCのキングになったわけだね」


「もちろんセバスチャン(ローブ)もキングにふさわしいドライバーだが、今回投票に参加してくれたファンは単純な成績以外も判断基準にしていたようだ」


「今回の投票企画には当初予想していた以上の人々が参加してくれた。新型コロナウイルスの影響でシリーズが中断しているなか、ファンに楽しめるものを提供しようと始めた企画だったが、最終的に30万票以上を集めるとは驚くべきことだよ」


 ちなみに2019年のWRCチャンピオンであるオット・タナクは、当時所属していたトヨタのチーム代表、トミ・マキネンとの対決に破れて初戦で脱落。そのマキネンは準々決勝でサインツとあたり、ベスト8止まりだった。

今回の投票企画はWRC公式サイトでトーナメント形式にて行われた


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