ロッテラー、連勝中のチームとル・マン初参戦の若手と挑むLMP2に「プレッシャーを感じている」
2025年5月27日(火)17時40分 AUTOSPORT web

アンドレ・ロッテラーは、来月フランスで開催されるル・マン24時間レースにIDECスポールからLMP2クラスへの一度限りの参戦を果たすが、自身の輝かしいキャリアの中で初めてセカンダリークラスでの出場となることを受け、「プレッシャーを感じている」ことを認めた。
昨季2024年限りでポルシェを離れジェネシスに移籍したロッテラーは、トラジェクトリー・プログラム・ドライバーのジェイミー・チャドウィックとマティス・ジョベールとともに、ル・マンでIDECスポールの18号車オレカ07・ギブソンをドライブする。これは、ヒョンデ傘下のジェネシスが2026年のWEC世界耐久選手権ハイパーカークラス挑戦に向けた準備の一環として行われるものだ。
サルト・サーキットことル・マン24時間レース・サーキットで3度の総合優勝を誇る43歳のドイツ人ドライバーは、ジェネシス・マグマ・レーシングのパートナーであるLMP2チームにローガン・サージェントに代わって後から加わった。
ロッテラーは今月初めにポール・リカールでオレカ07を初めてドライブし、過去2年間ポルシェで運転してきた重量級のLMDhマシンとは異なる、ベンチマークとなるLMP2マシンならではのドライビングを堪能したと語った。
「すぐに馴染んだ」と彼はテストについてSportscar365に語った。「LMP2カーは車重が軽く、LMDhマシンよりも機敏なので運転していて本当に楽しい」
「WECの黎明期からLMP1に参戦し、ずっとそこに留まることができたのは幸運だった。しかし、(LMP2の)レースを見れば、才能豊かなドライバーがたくさんいる。そして全員が同じマシンでレースをするという状況は、このカテゴリーの競争が厳しいということを意味している」
「素晴らしいプラットフォームだと思うが、『いつかLMP2でレースをしよう』と思ったことはなかった。僕はこれまでずっとメーカーと提携するという特権を享受してきたので、それは視野に入っていなかったんだ。でも、この状況ではとてもクールだ」
ロッテラーは、チャドウィックとジョベール、そしてコルベットを走らせるTFスポーツの一員としてル・マンに参戦するダニエル・ジュンカデラのトリオが、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズの開幕2戦でクラス優勝を果たしたという事実は、IDECの活躍が期待されること意味していると付け加えた。
「彼らはLMP2クラスで開幕2連勝を達成した。つまり、正しいことをしたということだ」とロッテラーはチームメイトについて語った。
「プレッシャーを感じている……彼らはトップランナーだし、我々には間違いなく戦うべき理由がある」
「彼らはふたりとも初めてのル・マン参戦となるため、彼らが何に注意すべきかをできる限りオープンに、自分の経験を共有していきたいと思っている。しかし、ドライビングに関しては彼らの方が僕よりもクルマをよく知っているので、彼らから学ぶことになるだろう」
「ふたりにとって、将来ワークスチームに所属するにふさわしい実力があることを示すチャンスであることは間違いないが、まだそういうことを考えるのは時期尚早だ」
現時点では、ジェネシスLMDhプロジェクトのドライバーとして確定しているのは、ロッテラーとピポ・デラーニのみ。チャドウィックとジョベール、そしてハイパーカーへの意欲を表明しているジュンカデラは、ラインアップの候補に挙がっている段階だ。
■アウディ時代の先輩、トム・クリステンセンのように
昨年ポルシェとの関係を終えたロッテラーは、2010年にアウディに加入したときにル・マンで通算9度の優勝を果たしたトム・クリステンセンと同じように、ジェネシス・チームでベテランドライバーの役割を果たすことを楽しんでいるという。
ジェネシスが来年ル・マンにデビューする時には44歳になるロッテラーは、自身の野望を次のように語った。
「重要なのは、心構え、精神力、そしてモチベーションだ。体力的にはこれまで以上に強くなったと思うし、今年はレースにあまり出ないので体力強化のための時間がたくさんある。それは僕の好きなことのひとつだ」
「こうしてレースを続けられる機会を得られたことを本当に幸運に思う」
「ポルシェから『残ることはできるが、ハイパーカーには参戦できない』と言われた後、あまり刺激的な気持ちにはなれなかった。それまで充分にキャリアを積んできたので、ハイレベルなレースから引退する時期は自分で決められると思っている」
「若いドライバーたちと一緒にチームを回していくのも楽しいものだ。僕がアウディに移籍した頃は、トム(・クリステンセン)がベテランだった。彼が最後にル・マンで優勝したのは(2013年)46歳のときだったから、僕にもまだチャンスがあるかもしれないと思っているよ」