大関昇進へ機運急上昇!大栄翔が無傷5連勝「ここから一番一番集中」目安の三役で直近3場所33勝へあと8勝
2025年5月16日(金)5時0分 スポーツ報知
大栄翔(左)が突き出しで王鵬を下し5連勝(カメラ・今西 淳)
◆大相撲夏場所5日目(15日、東京・両国国技館)
関脇・大栄翔が無傷の5連勝とした。西前頭筆頭・王鵬を突き出しで退けた。三役で直近2場所20勝を挙げており、初夏の快進撃で大関昇進への機運を高めていく。横綱・豊昇龍は西前頭2枚目・豪ノ山を上手出し投げで下し連敗を止め、3勝目。両大関は、初の綱取りに挑む大の里が東前頭3枚目・玉鷲を寄り切って5連勝。琴桜も白星を先行させた。全勝は大の里と大栄翔、平幕の伯桜鵬と錦木の4人となった。
大栄翔が真っ向勝負で王鵬をはね返した。立ち合いで頭から強く当たると、胸元から押し上げるように突っ張りを連打。そのまま土俵外へ突き出した。自身と同じ突き押しを得意とする王鵬に完勝し、「立ち合いで集中していった。先に攻められたのがいい」と充実の表情。八角理事長(元横綱・北勝海)も「当たりの強さと上半身の違いを見せた」とうなった。
初場所は三役で11勝を挙げた。だが、明確に大関取りの足場を固めたかった先場所は9勝止まり。「(敗れた)千秋楽は情けなかった。そこが上がれる人と上がれない人の差」と胸に刻んだ。夏場所番付発表後は積極的に出稽古して荒汐、錣山、佐渡ケ嶽、境川部屋などを転戦。あまりの多さに関取衆から「出稽古のまとめ役」と称される存在になった。番付上位の力士と質の高い稽古を重ね、対応力を磨いてきた。
この日、元小結の北勝富士が現役を引退した。同じ埼玉県出身。埼玉栄高の1学年先輩でもあり「憧れだった。相撲に対する姿勢や気持ちを学んだ。栄の後輩たちに上を目指してもらえるように、まだまだ頑張りたい」と思いを受け継いだ。
初日から5連勝は23年春場所以来だ。大関昇進の目安は「三役で直近3場所33勝」。先場所は2ケタ勝利を逃してアピールに欠けたが、13勝して初賜杯を抱いた21年初場所の再現なら機運が高まるかもしれない。場所前、高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)は「ずいぶん前から大関候補。何が起こるか分かりませんから」と含みを持たせていた。序盤の好調ぶりに大栄翔は「内容が良くなってきている。ここから一番一番、集中したい」と冷静。31歳が夢を追う。(林 直史)