インディ500初日は雨で中止も佐藤琢磨は余裕の構え「ゆっくり確認作業できたのでその点は良かった」

2023年5月17日(水)13時23分 AUTOSPORT web

 第107回インディアナポリス500マイルレースのプラクティス初日は、前日からの予報通り朝から雨天となって、プラクティスのプログラムはすべてキャンセルとなった。


 雨の予報については前日の段階でかなり高い確率で予想されており、驚きこそなかったが、午後には雨が止んで好天すると予想され、午後からは走行可能だろうとする見方も多かった。


 実際に朝から降り続いた雨は、昼を過ぎた頃には止み、スピードウエイ側は作業車両をコース上に走らせ、さらにドライヤーを周回させて路面を乾かした。気温こそ低かったもののコースを周回できる見込みとなって、午後2時前にピットレーンがオープン。各車は待ってましたとばかりに、ピットで準備をし始めた。


 ところが各チームが準備に取り掛かっている矢先に再度雨が降り始め、コントロールタワーからガレージに戻るように指示が出され、再び全車ガレージで待機となった。


 雨そのものはひどくないものの、降ったり止んだりを繰り返し、完全なドライコンディションにはなかなかならなかった。


 スピードウェイにはプラクティスの初日を心待ちにしていたファンや、近くの小学生なども見学に訪れていたが、ついにマシンの走行を見ることなく、午後4時すぎにはキャンセルが発表となった。


待機中にファンのサインに応じる佐藤琢磨

 各チーム、ドライバー共にプラクティス初日のプログラムをこなすことが出来ず残念な1日となった。
 
 いくらベテランドライバーの佐藤琢磨とは言え、プラクティス初日から雨で出鼻を挫かれて、さぞかし悔しがっているかと思いきや、慌てる素振りもなくガレージでじっと待ち続けていた。


「僕の11号車のクルーはインディGPから大急ぎでマシンをスピードウェイの仕様に直して、さらにマシンのカラーリングも変更して大忙しでした」


「だから雨でディレイするとわかってから慌てる必要もなかったし、ゆっくり確認作業できたので、その点は良かったですね」


「もし走れていたら、前回の合同テストの続きというか、良かったところを再度確認して、その先へ進んで行くようなプログラムでした」


「今年は昨年からタイヤが2セット減らされているので、初日からガンガン走るつもりはなかったですし、明日に使えるタイヤを繰り越したと思えば……」


「みんな条件は同じだから仕方ないですが、マシンが組み上がったばかりだから、せめてインスタレーションラップくらいしてマシンを確認しておきたかったですけどね」


クルーとスマートフォンで雨雲の様子を見る佐藤琢磨

車検待ちの間、雨粒が落ち始めカバーがかけられる琢磨の車

 インディ500ウイークでは雨天のキャンセルは時々あることだが、ルーキやーリフレッシャーの走行時間もキャンセルとなって、朝から長い1日を、琢磨はどうやって過ごしていたのだろう。


「今日はガレージに来てエンジニアといろいろ話したり、データを見せてもらったりしてました。特にマーカス・エリクソンの8号車のエンジニアとも話して、昨年はどうやってレースしていたのかデータを見せてもらったり、他の車のデータも見せてもらいましたよ。レースの最初から最後まで(笑)」


「昨年の僕じゃ『あぁこれじゃ勝てっこないよな』って(笑)。ここまでマシンが仕上がってくるとセッティングは大体似たような所に収まってくるし、細かいところはドライバーの好みで多少違いがあるけど、4台とも高いレベルでまとまっていると思います」


「明日から走り出しますけど、金曜日にまた雨の予報が出てるので、それもちょっと気になりますね。そうなれば早めに予選シミュレーションをすることもあるかもしれません‥‥」


 4月のオープンテストでも雨で一日失い、このプラクティスも初日も初日から走れずで、さぞかし琢磨は気を揉んでいるかと思いきや、待っている時間もそれなりに充実させていたようだ。これもチップ・ガナッシというチームが成せる余裕なのだろうか。


 2日目、17日のプラクティスからマシンが走り始めれば、まずはタイムシートに最初の答えが出てきそうだ。

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