「まともに走れない、終わった」「出ていく方向が逆なので」「今日一番ハッピーなニュース」【SF Mix Voices 第4戦予選】

2023年5月20日(土)21時6分 AUTOSPORT web

 全日本スーパーフォーミュラ選手権は5月20日、大分県のオートポリスで2023年第4戦の予選が行われ、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)がポールポジションを奪った。


 予選後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、第4戦の予選日に挑んだドライバーたちの声をお届けする。今回は特別編として、予選後に取材した“監督”の声も合わせてお読みいただきたい。


■関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 予選10番手


 午前のフリー走行は19番手と伸び悩んだ関口。第3戦鈴鹿から変更を施した新たなセッティングを原因と見るが、そこには減衰パーツの不具合が潜んでいたのだという。予選では久々にQ1を突破したものの、セットアップが煮詰め切れていない影響からQ2ではタイムを伸ばせず、10番手に沈んでしまった。


「(朝は)とにかく左リヤのブレーキロックに悩まされて、全然攻められないという感じでした」と関口。


「変えてきたセッティングが原因だと思ってセッションを進めていたのですが、それがおそらく間違いで……予選前にエンジニアが、左リヤのダンパーかバネかが余計に伸びていることに気づいて、ロックしていたのが全部右コーナーで辻褄が合ったので、パーツを新たに交換して予選に臨みました」


 その結果、タイヤがロックする挙動はおさまったが、午前のセッションをセッティングの成熟にあてることは叶わず。予選では思い描くパフォーマンスを発揮することができなかった。


「予選では、午前のフリー走行でロックの原因だと勘違いして変更したセットが裏目に出てしまいました」


「本当は変えたくなかった部分を変更していたので、それがそのまま悪い症状に繋がってしまいました。せっかく久々にQ2へ進めたのに(パフォーマンスが発揮しきれなくて)悔しいです」と、残念な予選日となってしまったようだ。

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)


■小高一斗(KONDO RACING) 予選12番手


 今季2度目の予選Q2進出を果たした小高。しかし、そのQ2はアタック中に8コーナー出口でスピンを喫し、スポンジバリヤにクラッシュという形で終えることとなった。


 小高は「攻めすぎました、もうそれ以外はないですね」と振り返る。


「朝のフリー走行ですごく曲がらないクルマだったので、曲げていく方向にクルマ(のセットアップ)を進めていたんです。ちょっとやりすぎかなというくらいの気持ちで予選Q1を迎えたら、とんでもないクルマになっていて、『まともに走れない、終わった』と思たのですけど、本当にギリギリQ2に進出することができました」


 Q1 A組では1分27秒432をマークし、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)を0.049秒差という僅差で上回り、A組6番手でQ2進出を決めた小高。Q1終了からQ2開始までのインターバルの間に、さらにセットアップの調整を加えたことで、状況は好転したかと思われた。


「Q1よりQ2の方がタイムも伸びたとは思います。トップは見えなかったとは思いますが、1分26秒真ん中くらい(4〜6番手に相当)は見えていたと思います」と、手応えも抱いていたなかでのクラッシュだっただけに「1周をまとめきれなかったのが悔しいですね」と小高は肩を落とす。


「鈴鹿からクルマを多少操れるようになってきて、そこでちょっと……もうひとつ上のレベルに行こうとしたというか、少し攻めてみた結果クラッシュしてしまいました」と後悔の念を口にした小高。


「明日は最後尾スタートだと思っていたのですけど、12番手スタートということで、それだけが僕の励みになりましたね。今日の分、挽回できるよう明日も頑張ります」

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 小高一斗(KONDO RACING)


■平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 予選8番手


 午前のフリー走行ではトップと0.049秒差の2番手タイムを記録し、好調の滑り出しを見せた平川。予選は路面温度の上昇を見越して臨んだものの、予想以上のクルマの変化に悩まされることとなった。


「予選で暑くなることは予想していたのですが、思っていた以上にクルマの変化が起きてしまいました」とA組出走となったQ1を振り返る。


「簡単に言うと大きくオーバーステアが出てしまって、これではQ1を通過できないかもしれない、というほどのフィーリングでした」


 持ち前のドライビングスキルでQ1をなんとか凌いだ平川は、セットアップをアジャストしてQ2に臨むも、アタックラップ中に自身のミスがあったことを明かした。


「セットアップの変更だけでは合わせきれていない部分もありましたが、ダウンヒルストレートのブレーキングで少し飛び出してしまいました」


「それでコンマ3秒ほどロスしていなければ、4〜5番手には届いたと思います」とミスを悔やむ様子を見せる。


ただ、予選結果に思い悩むレースが続いていたことから、「進歩はあったと思います」と予選の結果をポジティブに捉えてもいるようだ。


 またQ1開始直後にピットアウトする際、マシンを止めてしまうシーンも見られた。


「(あれは)エンストですね。ちょっとエンストしやすい感じがあって、いつもと出ていく方向が逆ということもあって、クラッチの操作を微妙に誤ってしまいました」と振り返る。


 明日の決勝へ向けては、「去年とはタイヤが違いますが、今回はタレが大きそうな雰囲気があるので、そこのマネジメントがキーですね」と語る。


 昨年優勝した同地での決勝レースは、今回と同じ8番手からのスタートだった。「そんなに甘くない」と語る平川だが、得意の力強い走りを期待したい。

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)


■宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S) 予選4番手


 前回の第3戦鈴鹿で初優勝を飾った宮田。今回も午前のフリー走行から常に食い込むタイムを記録し、予選Q1のAグループでは1分26秒359でトップタイムをマークした。


 Q2もポールポジション争いに加わることは間違いないだろうと思われていたが、微妙にコンディションが変化していく中で、うまく合わせきれなかったところがあり、Q1よりタイムを伸ばすことができず。1分26秒480で4番グリッドとなった。


「Q1ではトップでしたけど、それをアジャストしてQ2に臨んだら、よくない方向に行ってしまいました。僕もそれにアジャストしきれず、特にセクター1は(変更したことが)タイムに響いてしまって、トップ3に入ることができませんでした。ちょっと残念な結果でした」と宮田。


 Q2でさらにタイム更新を狙うべくアジャストしたことが、少し裏目に出てしまった感のある宮田。「コンディションの変化もありますけど、セットアップというか、Q2に向けてやったことが、思ったより大きな変化になってしまったのかなという感じはあります」と振り返っていた。


 それでも、前回の鈴鹿ではQ2でトラックリミット違反により12番手スタートとなってしまったのだが、今回は2列目からのスタートとなるので、明るい見通しは立っているようだ。


「鈴鹿よりは良いポジションなので。決勝で力強く戦えるクルマを用意して、戦略もしっかり決めていければなと思います」

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)


■松下信治(B-Max Racing Team) 予選9番手


 今シーズンは予選ではQ2に手が届かず、決勝でもポイント圏内まであと一歩というレースが続いていた松下。50号車の担当エンジニアも今年から変わり、チームもラウル・ハイマンを迎えた2台体制になるなど、新しいスタートを切っているなかで、このオートポリスでは予選9番手を手にした。


「いろいろとゼロから始めてきたことが、段階を踏んできて、今日Q1を通ることができたと思います。それは素晴らしいことで、エンジニアが積み重ねてきたことが結果となったことが、今日一番ハッピーなニュースでした」と松下。ポールポジション争いには及ばないものの、今年チームと共に取り組んできたことが、着実に前進している手応えは掴めているようだ。


 今季初めて挑んだQ2だが、本人としては9番手という結果に少々納得がいっていない様子。「個人的には最終的に9番手で、(1台体制の)福住選手が前にいるというのは、悔しいです。そこは明日挽回したいです」と語った。


 明日の決勝は41周で争われるが、松下は「ロングランは別の話になってきて、特にここはデグラデーションが厳しいと思います」と予想。「明日は9番手からですけど、うまく当たればワンチャンスはあると思っています。しっかり準備したいと思います。スタートも自信がありますし、なんとかポイントを獲りたいです」と、このポジションから、さらなる上位進出の方法を探っていた。

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 松下信治(B-Max Racing Team)


■【特別編】立川祐路監督(P.MU/CERUMO・INGING) 


 坪井翔がポールポジションを獲得。3番手に阪口晴南と、第4戦の予選ではP.MU/CERUMO・INGINGがワン・スリーを獲得。この予選での好成績の要因をP.MU/CERUMO・INGINGの立川祐路監督に尋ねると「監督のおかげかな? 違うか(笑)」と笑顔を見せた。


 ただ、2台とも走り始めから順風満帆だったわけではなかった。フリー走行では低気温・低路温が影響し、2台ともアンダーステアに悩まされた結果、阪口は11番手、坪井は20番手と、「正直、いまひとつな状況」だったと立川監督は振り返る。


 しかし、気温・路温が高まりを見せた予選へ向けたアジャストが狙いどおりだったことで悩みの種であったアンダーステアは改善。Q1・A組では阪口が4番手、Q1・B組では坪井がトップタイムを記録した。


 坪井については予選後のトップ3会見で語られたとおり、予選での赤旗中断に備えて、フリー走行でニュータイヤを我慢し、1セット残しておくという作戦も初のポールポジション獲得に寄与したと言える。


 ただ、立川監督はそれだけではなく、「富士、鈴鹿、そしてオートポリスと、今季はどこのサーキットでも調子がいい」ことが坪井の好調を支えているのだと説明する。


「どこでもいいペースで走れるのは今後チャンピオンシップを考えたときに重要になります。坪井の好調に合わせて晴南の方も鈴鹿くらいからは結構良くなっているので、『本来のポジション』に戻って来れている感じもありますね。チームで2台とも調子がいいのは、明日の決勝に向けても心強いと思います」

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)

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