石川遼が原辰徳氏のプレーに脱帽「プロ、ですよ」 理由は270Yドライブではなく…
2025年5月21日(水)15時57分 ALBA Net
原辰徳氏(右)とプロアマを回った石川遼(撮影:上山敬太)
<日本プロゴルフ選手権 事前情報◇21日◇三甲ゴルフ倶楽部 谷汲コース(岐阜県)◇7337ヤード・パー72>
今季メジャー初戦「日本プロ」開幕を翌日に控えた21日、プロアマ大会が行われた。日本プロゴルフ協会(PGA)主催の競技とあって、出場選手とPGAシニアツアー選手のプロ2人にアマチュア3人が回る。19年大会を制した石川遼は、欧州シニアツアーにも参戦する横田真一、読売ジャイアンツ前監督の原辰徳氏という豪華な組み合わせとなった。
「お会いするまで、一緒の組というのを知らなかった」。原とのプレーは、2011年にテレビの企画で回って以来で、18ホールをともにするのは今回が初めて。石川は「原さんが上手すぎて、ずっと口が開いたままでした」と楽しそうに笑顔を浮かべた。
ラウンド中は「僕は野球が素人なので、野球の話とかいろいろ素朴な疑問を聞かせてもらった」と、横田も含めて和気あいあいとした雰囲気だった。しかし、現役時代も監督時代も含めて、幾度も日本一を経験している野球界のレジェンドのプレーとあって、「プロアマとはいえ、自分のベスト尽くすしかないという気持ちでした」と、いつもと違う緊張感もあったようだ。
原氏のゴルフの腕前は野球界でもトップクラスで、昨年のシニアツアー「ファンケルクラシック」に出場した際には、「今は(JGAハンディキャップが)『5』くらいですけど、一時は『1』までいきました」と語っていた。ハンディキャップ『5以下』は、ゴルファー全体の1%以下と言われており、ひと握りの人間しか到達できない領域。「週一回は心がけてやっています」と話すなど、今でも頻繁にラウンドしているという。
かつては巨人の4番バッターとしてならしただけに、「フィジカルがすごいなと思いました。信じられない(笑)」と石川は目を丸くする。それもそのはず。66歳となった今もドライバーは「270ヤードくらい飛んでいた」というのだ。ただ、最も感銘を受けたのは飛距離ではなかった。
「プロ、ですよ(笑)」と石川が称賛したのは、意外にも残り100ヤードのラフからのウェッジショット。「100ヤードのラフからきれいに芯に当てて、いい球を打って、距離感が合うのって、プロとアマの境界線と言えるくらい、難しいショットなんです。それをきょう、原さんは何度も打っていた。すごいですね」。正確なフェースコントロールと上からダウンブローに打つ技術がなければ、ラフから思い通りに打つことはできない。
さらに石川は、“音”と“弾道”についても言及。「ドライバーのヘッドスピードは、多分プロより速いアマチュアはいっぱいいる。それで芯に当たれば、音はプロ並みかプロ以上になる。でも、アイアンとかウェッジをあれだけきれいに入れて、スピンを利かせるのって難しいんです。音と弾道だけで『プロが打ったな』と思ったら原さんのショットだった、ってことが何回もありました」。
また、指揮官の立場から選手を鼓舞してきた、原氏のモチベーターとしての能力にも心を打たれた。「選手の気持ちがすごく分かるというか…。熱いし、重い。モチベーションになるな、っていう言葉をかけてもらえた。やはり言葉に魂がこもっている方なので、すごく元気になりました」。原氏からは「日本プロ、優勝してください」というエールも受け取った。
19年以来となる大会2勝目に向けて、「自分のプラン通りにやることと、アグレッシブにプレーしたい」と意気込む。トロフィーを掲げて、原氏の代名詞でもある歓喜の“グータッチ”といきたい。(文・下村耕平)
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