販売商品に優良誤認の疑い、実兄との裁判沙汰…石川遼選手の北海道出身専属トレーナーに“ドロ沼トラブル”

2025年5月22日(木)13時0分 文春オンライン

 日本のトップゴルファー・石川遼選手のかたわらで、本人よりも“目立つ”のが専属トレーナーを務める北海道出身のA氏だという。整骨院経営や健康関連商品の販売を生業とするA氏だが、自らに起因するトラブルを複数抱え、ドロ沼の様相を呈している。


メジャー優勝時に真っ先に駆け寄る


「遼くんとキャディーさん以上に近くてすごく目立つから、私らの間では『誰なんだろうね、あの人』って。結局よくわからないままなんですけど、私たちの間では知られた存在ですよ」


 日本男子ゴルフ界のスター・石川遼選手の追っかけをしていると言うあるファンが語るその人物・A氏は北海道出身。年齢は40代前半で柔道整復師の資格を持ち、石川選手とは十数年の付き合いだという。トレーナーを務め、ツアーに帯同して全国を転戦したこともある。


 2007年、アマチュア時代の高校1年時に初めて参加したツアーで並いるトッププロを破り優勝した石川選手。その際のインタビューで飛び出した「ハニカミ王子」が流行語大賞を獲得、一躍時の人となったが、その後の世界最高峰のアメリカツアー挑戦では挫折も経験。持病の腰痛も重なり、苦しんだ際に助けとなったのがA氏だった。


 筋トレなどの肉体改造を行ってきた結果、19年7月の日本プロゴルフ選手権大会に優勝。日本最高峰のメジャー大会2勝目、ツアー通算15勝目を飾ったとき真っ先に石川選手と抱き合って喜び合ったA氏の姿が、当時の映像などから確認できる。



2019年日本プロゴルフ選手権大会の優勝カップをともに掲げる石川遼選手とA氏(A氏が代表を務める一般社団法人のインスタグラムより)


 だがA氏にはここ数年、裁判沙汰をはじめとするさまざまなトラブルがつきまとっている。


中敷きの分析結果を別の商品に流用


 A氏は大学を中退して専門学校に通い、柔道整復師の資格取得後は実の兄が親族と経営する整骨院や、健康関連商品の販売を共同で手がけてきた。


 その中の1つが靴のインソール(中敷き)の開発と販売。この中敷きを仮にXとするが、Xは14年に開発、商品化された。その際、整骨院の患者やスタッフ、約1000人にモニターとして利用してもらい、使用前後で体に良い効果が出ているかを測定。そのデータを札幌市内勤務のある医師が分析した結果“統計学的に優位な効果があった”として宣伝、販売されてきた。


 この中敷きXには、石川選手も宣伝に協力している。18年12月、A氏の兄が100%出資し、A氏が社長を務めていたZ社と石川選手が、中敷きXに関するアドバイザリー契約を締結した。翌年10月には、そのほかの商品に関しても同様の契約を結んだ。


 それから間もなく、兄弟の関係が決定的に悪化した。双方を知る関係者の話をまとめると、兄が整骨院の治療や商品開発に専念するため、兄や親族が代表を務めていた関連企業の代表権をA氏に譲った後、その取り扱いをめぐってトラブルが起きたという。


 翌20年の年明け早々、各社の株式を握る兄はA氏を代表取締役から解任。翌21年に入り、A氏は逆に兄に対して民事訴訟を提起した。翌22年に親族のとりなしで和解したとされるが、絶縁状態は今も続いている。


 くだんの中敷きを含む健康関連商品の在庫は、和解の前にZ社ごと兄からA氏に譲渡された(Z社はその後、名称を変更)。和解の際、兄が商標権など知的財産権を持つ商品は破棄し、今後も使用しないことが確認された。


 A氏はその後、別の中敷きYを開発。これは現在もA氏が代表を務める企業の通販サイトなどで売られているのだが、そこには前出の医師によって分析された中敷きXの使用効果をうたう文言がそのまま流用されている。


 法曹関係者は「景品表示法第5条第1号により、商品やサービスの品質を実際より優れていると偽って宣伝することはできません。これを『優良誤認表示の禁止』といいます。故意かどうかは問題ではなく、誤って表示された場合でも規制されます。同法第7条第2項の規定により、優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合、消費者庁は期限を区切ってその事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます」と解説する。


分析をした医師、A氏の説明は…


 中敷きXの分析を行った医師はもともとA氏の知人だった。


 この医師に本誌記者が資料を示すと「中敷きXのデータを分析したことは事実。だがA氏とは(Z社の)代表者が代わってから関係性はなく、代表者の変更にともなって分析結果の使用不可などはA氏に伝えていたのだが、まだ使われているとは寝耳に水の話だ」と困惑する。


 A氏の運営する通販サイトには、中敷きXに類似した商品が、中敷きYとともにZ社の社名を入れた商品として販売されている。そこには「石川遼選手も愛用」との宣伝文句が記載されたままだ。


 このほかA氏のもとで働いていた従業員や取引先など複数の関係者に話を聞くと、複数の疑惑が持ち上がった。A氏の経歴、とくに過去の病歴についての疑問、従業員に対するハラスメント、さらには虚偽告訴の疑いまで……。5月初旬、「財界さっぽろ」は渦中のA氏を直撃した。


 A氏はまず中敷きXの分析データについて「1000人にわたるデータは医師ではなく私たち自身で測定し、記録・活用していたものであり、知的財産権は当方に帰属すると考えています。過去のデータは一部古くなっているため、現在はあらためて自社でデータの再取得と分析を進めております」と説明。


 その上で「そもそも、医師には分析の対価をお支払いしていたし、使用の差し止め要請については聞いていません」と話す。


 他方で、中敷きXの分析データを中敷きYに流用しているのでは、との問いには「兄からZ社を譲渡された後も、その公式サイトや通販サイトのパスワードなどを引き継がせてもらっておらず、最近ようやくそれを入手しました。表記について顧問弁護士と連携し、薬機法等の法令を遵守した内容に随時改善しております。なお、当社として誰かを責めたり傷つけたりする意図は一切なく、あくまで今後の改善と信頼構築を大切にして参ります」とした。ただ、景表法違反そのものについての弁解はしなかった。


◆ ◆ ◆


 このほかさまざまな疑問についてA氏自身が語った内容は、5月14日公開のニュースサイト「財さつJP」&「月間財界さっぽろ」6月号デジタル版、15日発売の 「月刊財界さっぽろ」6月号 で詳報している。


(「財界さっぽろ」編集部)

文春オンライン

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