対照的な“初オートポリス”を味わったふたりのルーキー「ミスでチャンスを逃した」「楽しかった」
2025年5月22日(木)7時10分 AUTOSPORT web

5月18日、オートポリスで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の第5戦。大雨と濃霧により、土曜日の走行セッションがすべてキャンセルされ、日曜日に予選・決勝をぶっつけ本番で行う変則スケジュールとなったが、その影響をある意味で大きく受けたのは、オートポリス初挑戦だったザック・オサリバン(KONDO RACING)とオリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)だったかもしれない。
ただ、レース後のメディアミックスゾーンで話を聞くと、2人の表情は対照的だった。
■「あそこの瞬間だけ、うまく制御できなかった」
昨年FIA F2で2勝を挙げる活躍をみせたオサリバン。オートポリスは初挑戦ということで、40分の計時予選では最初から何周か走るなどコースの習熟に時間を充てる姿も見られた。
「初めて走るコースという点を考えると、予選からうまく走れていたと思う。最後のアタックで8番手に上がれたけど、イエローフラッグが出ていてタイム不採用になったから、最終的に11番手になった」とオサリバン。コースの印象に関しても「これまで走ったコースとは違って、すごくテクニカルでバンピーなコース。路面のグリップとバンプのバランスをみながら走るというところが、すごく興味深いコースだなと感じた。もう少し走る機会があれば、もっとベターになると思うけど、全体的にOKだった」とポジティブに捉えていた。
決勝レースでは、スタートで9番手に浮上し、前の集団についていくレースを展開。順調に周回を重ねていたが、19周目のセクター3で単独スピンを喫し、グラベルにマシンストップ。リタイアを余儀なくされた。
「レースに関しては本当に悔しかった」とオサリバン。
「ペース自体は悪くなさそうだったけど、最終セクターでミスをしてしまった。すごくプッシュしていたんだけど、あそこの瞬間だけ、うまく制御することができなかった。僕のミスだ」と肩を落としていた。
今シーズンは5戦を終えて、トップ5圏内でのフィニッシュがまだない状況だが、「正直言って、まったく良くないシーズンスタートだった。僕もそうだしチームもミスがいくつかあったし、予選を含めて全体的なペースも周りと比べると充分でないところもある。特に今回のレースは残念だった。スピードはあったと思うけど、僕のミスでポイント獲得のチャンスを逃した」と、いつになく悔しそうにしていた。
それでも「いまはとにかく理解するために毎回頑張っている状況だ。もてぎのときよりもクルマのことを理解できたと思う。(6月上旬の)富士テストではたくさんのテスト項目をこなして、今まで良くなかった部分を洗い出して、良いテストにしたい」と、後半戦に向けて前を向こうとしていた。
■怪我から復帰のラスムッセン、フィジカルも「問題なし」
3月の開幕戦の金曜日に大クラッシュを喫して胸椎を骨折、治療のためもてぎ大会まで欠場していたラスムッセン。すでに5月のスーパーGT第2戦でレース復帰を果たしているが、スーパーフォーミュラの車両をドライブするのは約2カ月半ぶりとなった。
加えて、土曜日が悪天候によりセッションキャンセルとなり、ぶっつけ本番で予選に臨むことに。実際に本人も「予選の限られた状況のなかですべてに慣れてプッシュしなければいけなかったので、そこでは苦労した」と語る通り、スーパーフォーミュラの感覚を取り戻すのと、オートポリスのコースに慣れなければいけないなど、さまざまな課題があったこともあり、予選は21番手と後方に沈んだ。
決勝では全体的に苦戦しながらも、オーバーテイクをみせるなど最後まで走り抜いたラスムッセン。セーフティカー導入直前にピットストップを済ませるなど、戦略面でもポジションアップに成功し、最終的に14位で自身のスーパーフォーミュラ初戦を終えた。
ポイントには手が届かなかったが「久しぶりにこのクルマに乗ることができて、今回は予選と決勝を戦うことができた」と笑顔で語るラスムッセン。
「実質的に最初のレースということで、クルマのことやタイヤを理解しながら進めていて、特に後半スティントではグリップも改善している雰囲気があったし、約1時間のレースを走り切ったという経験もできた。何よりいろいろなことを学んだということが大きい」と、いろいろな手応えをつかんだ様子だ。
気になる身体のコンディションについても「良好だよ」と笑顔で即答。
「もちろん、もう少しトレーニングもしていく必要はあるけど、現状でのドライビングで何か苦労しているところはなかった。だけど、今より気温が20度以上上がった時は、僕自身もどう対処すればいいか分からないから、(トレーニング面に関しては)もっと時間をかけてやっていかないといけない」
「ここで学んだことを活かして、今度のテストではさまざまなトライができる。本当に楽しみだ」と、早くも富士テストを楽しみにしている雰囲気が、こちらにも伝わってきた。