元幕下・雷鵬が引退 日体大出身の小兵、左膝の大ケガで2度手術も復帰かなわず...4年間の力士人生に幕

2025年5月28日(水)17時0分 スポーツニッポン

 日本相撲協会は28日、夏場所限りで引退した力士を発表した。既に発表されている元小結・北勝富士(32=八角部屋)、4月14日に外陰部壊死性筋膜炎で33歳の若さで死去した序二段・若戸桜(式秀部屋)の他に、幕下以下9人の引退が新たに発表された。

 体重100キロ前後の小兵ながら内掛けなどの足技を得意として幕下で活躍した雷鵬(28=伊勢ケ浜部屋)が引退。夏場所は西三段目68枚目で全休だった。昨年初場所で左膝前十字靱帯の大ケガ。再建手術を経て同年秋場所で序ノ口から復帰も、今年の春場所で再断裂して力士人生に終止符を打つ決断を下した。

 静岡県富士宮市出身の雷鵬は中2から相撲を始め、千葉・柏日体高(現・日体大柏)に相撲部3期生として入学。1学年後輩には三段目・柏王丸や序二段・峰刃、2学年後輩には横綱・豊昇龍や幕下・朝白龍らがいた。体重約80キロの軽量ながら団体戦で勝負強さを発揮し、3年時の全国高校総体では現幕下・阿蘇ノ山(熊本・文徳高)や現幕内・琴勝峰(埼玉栄高)らを破って3位入賞に貢献するなど活躍した。日体大では、85キロ未満級で活躍。1年時に全国学生体重別大会で上級生を次々に倒して日本一に輝き、翌年も制して2連覇を達成した。3年時には軽量級日本代表に選ばれ、台湾で行われた世界選手権とアジア選手権に出場。初出場の世界選手権は初戦敗退に終わったが、アジア選手権では3位に入った。

 大学卒業後は、静岡県焼津市の永田医療研究所に就職。トレーナーの仕事をしながら競技を続け、社会人1年目の2020年には全日本選手権に出場した。その後、大相撲への挑戦を決意して退職。当時の大横綱・白鵬の勧誘を受けて宮城野部屋に入門し、2021年名古屋場所で初土俵を踏んだ。同期生には、柏日体高時代に同じ寮で1年間生活をともにした5学年下の伊藤寧(現序二段・翔大夢)がいた。

 初土俵からわずか1年で幕下まで昇進。部屋には同じ小兵で手本となる石浦(元幕内、現・間垣親方)や炎鵬(現・幕下)がおり、宮城野親方(元横綱・白鵬)の指導も受ける恵まれた環境で厳しい稽古に励んだ。しかし、昨年初場所12日目の魁郷戦で左膝前十字靱帯断裂の大ケガ。手術とリハビリによる長期離脱でその後3場所連続全休して序ノ口まで番付を下げた。昨年秋場所の7番相撲だけ出場して番付外降格は回避。翌九州場所から本格復帰して2場所連続6勝1敗の好成績で三段目まで番付を戻した。今年の春場所、3戦全勝で迎えた4番相撲の太秦戦で再び左膝前十字靱帯を断裂。この取組が現役最後の一番となった。

 2度の手術を経て復帰を目指したが膝の状態は回復せず、医師や師匠の宮城野親方らと相談した上での決断。「“まだやれる”“まだ恩返ししたい”という気持ちは強くありましたが、身体がついてこない現実と向き合い、苦渋の決断を下しました」と思いを述べた。小兵ながら社会人生活を経て大相撲の世界に飛び込むという異例の挑戦。関取昇進という夢を追い、内掛けや出し投げなど多彩な技で幕下以下の土俵を沸かせてきた。力士生活4年、その足跡は多くの人々の心に刻まれた。

 ◇雷鵬 晋太郎(らいほう・しんたろう)本名=渡辺晋太郎。1997年(平9)5月21日生まれ、静岡県富士宮市出身の28歳。富士宮相撲クラブで富士宮二中2年時から相撲を始め、3年時に全国都道府県中学生大会軽量級(75キロ未満)8強。千葉・柏日体高(現・日体大柏)3年時に関東大会軽量級(80キロ未満)3位、全国高校総体団体戦3位(中堅で出場)。日体大1年時に東日本学生体重別85キロ未満級準優勝、全国学生体重別85キロ未満級優勝。2年時に全国学生体重別85キロ未満級優勝。3年時にアジア選手権軽量級(85キロ未満)3位、世界選手権軽量級(85キロ未満)出場。4年時に東日本学生体重別85キロ未満級3位。卒業後は永田医療研究所に就職し、2020年の全日本選手権出場。2021年5月に退職し、宮城野部屋に入門。同年名古屋場所で初土俵。2022年名古屋場所で幕下に昇進。最高位は東幕下43枚目(2023年夏場所)。通算成績73勝45敗43休。身長170センチ、体重105キロ。

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