なぜ浦和―FC東京戦は8分間中断したのか JFA審判委員会が舞台裏を説明
2025年5月28日(水)14時10分 スポーツニッポン
日本サッカー協会の審判委員会は28日、都内のJFAハウスでレフェリーブリーフィングを行い、今月17日のJ1第17節・浦和—FC東京戦で2度のVAR判定により試合が8分間中断した事案の“舞台裏”が明かされた。
後半35分、1点を追う浦和側の攻撃で、右サイドからのクロスからネットが揺れたシーンだった。VARが介入し、クロスボールに対して飛び込んだDFホザのオフサイドの可能性を確認。判定の結果、オフサイドはなくゴールと認められた。
ただ、実際はゴール前で最後にMF松本が触れていた。問題となったのは、VARがこの事実をつかんでいなかったことだった。主審は松本が触れた事実を把握していたが、VAR判定ではゴールが決まるまでの全ての行程を映像でチェックするため、松本のボールタッチが見逃されていると思わなかったという。また、直接判定した副審は松本が触れた事実を認識していなかった。
ここで、疑問を抱いた逆エンドにいた副審が「最後は当たっていないんだな?」「そのままセンタリングが入っているの?」「ワンタッチもないんだよね?」とVRAとの交信で何度も質問。そのとき初めてVARは松本がボールに触れている事実を把握したという。かくして試合再開はストップとなり、2度目のVAR判定が行われることになった。
ホザがボールに触れていれば松本の位置はオフサイド。(1)ホザはボールに触れたか、(2)松本の腕にボールが触れたか、についての確認が行われた。結果、あらゆる映像の確認を経ても双方に明確な証拠が確認できず、一方で松本が触れてコースを変えていることは確かなため、ゴールが認められることとなった。
かくして8分間を要した。審判マネジャーの佐藤隆治氏は「クリアエビデンスがないので、最終的に現場の判定をコンファームしたことは問題ない」とVAR判定を2度行い導いた判定は正しかったとする一方、「VARが浦和の松本がボールに触れている事実を把握せずに浦和の得点をコンファームしたのは我々のミス」とプロセスに問題があったことを認めた。