ダニエル・スアレス、終盤完全リードを奪ってカップシリーズ初優勝を達成/NASCAR第16戦

2022年6月14日(火)16時9分 AUTOSPORT web

 かつてインフォニオン・レースウェイとも呼ばれたソノマで、6月11〜12日に開催されたNASCARカップシリーズ第16戦『Toyota/Save Mart 350』は、終盤となる残り23周から盤石のラップリーダーに立ったダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)が、歓喜のカップシリーズ初優勝。一足先に今季カップ初勝利を飾った僚友ロス・チャスティンと同じくロードコースでの初勝利となり、意外なことにメキシコ出身者としても、シリーズ初勝利を挙げたドライバーとして歴史に名を刻むこととなった。


 カリフォルニア州でのレースウイークに先立ち、サンフランシスコでプレスカンファレンスを催したカップシリーズは、NASCAR代表を務めるスティーブ・フェルプス以下、ドライバー陣からはカート・ブッシュ(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)と、後に週末勝利を飾ることになるスアレスが出席した。


 その席上では、フェルプス代表が今後のカップシリーズに関する展開をアナウンスし「我々は大胆で革新的な挑戦を続ける」と語り、今季開幕前に初開催地でのイベントを成功裏に終えた“Busch Light Clash(ブッシュ・ライト・クラッシュ)”を、来季2023年も引き続きL.A.コロシアムで開催することを発表した。


「そのエキシビジョン戦に関して、これまで誰もその場所でレースができると考えたことさえなかった。開催前、誰もがそれを初めて聞いたときは『本当にできるのか?』などの懐疑的な声が聞こえたよ。それは重要な点で、だからこそ我々はより大胆になるべきだし、革新的であるべきだ。過去2年半にわたるNASCARの成功を自信に、今後も予想外のことをし、思いがけない場所に行くつもりだ」と、新車両規定“Next-Gen”導入も具現化したフェルプス代表。


 こうして始まったソノマ・レースウェイの週末は、公式練習から地元カリフォルニア出身のカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がタイムボードを支配し、前年度覇者は予選でもスピードを維持してポールポジションを獲得したみせた。


「ひとまず良かったね。ターン4と7で多くのタイムを失ったように感じたので、この結果には少し驚いたよ。でもこのふたつのコーナーがうまくまとめられたら、もっと速かったってことだね(笑)。本当に良いクルマと僕らのチームがあり、みんなでエンジンショップやワークショップに戻ってこられた。本当にワクワクするね」と、HMSの僚友チェイス・エリオットをフロントロウに従えたラーソン。


 そのディフェンディングチャンピオンは決勝で26周のリードラップを維持し、ステージ1こそ制したものの、終盤に右フロントタイヤが脱落するあわやのトラブルに見舞われ、この日の最終コーションを引き起こしてしまう。


 さらに僚友エリオットもステージ2のピット作業で左のリヤタイヤが緩むまさかのハプニングが発生し、その修正とペナルティのため再びコールバックされ、ここで勝機を失うなどHMS陣営にとってはまさかの週末に。

NASCAR代表を務めるスティーブ・フェルプス(左)以下、カート・ブッシュ(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)とダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)もカンファレンスに出席した
地元カリフォルニア出身のカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がポールからスタート
チェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)もステージ2のピット作業で左のリヤタイヤが緩むまさかのハプニングが発生してしまう


■「ここまで本当に長い旅だった」と勝者スアレス


 前戦勝者ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)がステージ2を奪うと、レース後半に向け優位に立ったのが、8番手スタートから終始トップ5圏内で戦ってきたスアレスで、クリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)やケビン・ハーヴィック(スチュワート-ハース・レーシング/フォード・マスタング)らを従え首位に立つ。


 残り30周を切り、背後の2台がアンダーグリーンで最後の作業を終えるなか、前出のトップチームが起因となった最後のイエローで、ピットから「正しいコール・タイミング」を受けて飛び込んだスアレスは、ブッシャーとマイケル・マクドウェル(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)を従えてトップチェッカー。


 スアレスがトラックハウス・レーシングチームに今季3勝目をもたらすと同時に、オースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)、チェイス・ブリスコ(スチュワート-ハース・レーシング/フォード・マスタング)、そして僚友チャスティンに並ぶ今季4人目のシリーズ初優勝者となった。


「本当にクレイジー! 頭のなかにいろいろな考えや思いが浮かんで、ここまで本当に長い旅だった……。カップシリーズはタフな場所だったが、このポイントに到達するのを手伝ってくれたすべての人たちが最後まで僕を信じてくれたんだ」と、喜びを語ったスアレス。


「メキシコには僕の家族をはじめたくさんの支援者がいて、彼らは決して誰もあきらめなかった。僕らがその想いを受け、こうして機能させ形にすることができたことを、とてもうれしく思うよ」


 一方で併催のキャンピング・ワールド・トラックシリーズ第12戦は、ゼイン・スミス(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)とのラスト2周の勝負を制したカイル・ブッシュ(カイル・ブッシュ・モータースポーツ/トヨタ・タンドラTRD Pro)が今季シリーズ初優勝。これでカイルはトラック通算62勝目、10年連続勝利の記録を打ち立てている。


 また、服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライゼスは、16号車タイラー・アンクラムが9位に入り今季4度目のトップ10、そしてチェイス・パーディの61号車は15位でフィニッシュしている。

クリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)とマイケル・マクドウェル(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)は、惜しくも届かず
今季16戦で12人目のウイナーに輝いたスアレス。チームメンバーも“ナイスガイ”の勝利を祝福するムードに包まれた
キャンピング・ワールド・トラックシリーズ通算62勝目、10年連続勝利の記録を打ち立てたカイル・ブッシュ(カイル・ブッシュ・モータースポーツ/トヨタ・タンドラTRD Pro)

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