転倒回数に見るホンダの苦況。M.マルケスはトップタイの12回/第7戦ドイツGP

2023年6月20日(火)7時55分 AUTOSPORT web

 MotoGP第7戦ドイツGPでは、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)を含む3人のホンダライダーが、負傷により欠場した。2023年シーズン、苦戦にともない転倒が続くホンダだが、実際の転倒回数を見ていくことにしよう。


 MotoGP第7戦ドイツGPでは、ホンダとしては中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)ただひとりが決勝レースを戦うという事態となった。レプソル・ホンダ・チームのジョアン・ミルはイタリアGPのプラクティス2で右手小指を負傷し、サテライトチームであるLCRホンダ・カストロールのアレックス・リンスは、同じくイタリアGPスプリントレースの転倒によって右足を骨折して、ドイツGPを欠場した。


 そして、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)である。マルケスは、初日のプラクティス2で1回、Q1で1回、Q2で2回の転倒を喫し、さらに日曜日朝のウオームアップでもハイサイド転倒を喫した。


 Q1では転倒した瞬間に立ち上がりピット目掛けて走ったマルケスだったが、5度目のクラッシュとなったウオームアップの転倒後は、グラベルに両手両膝をついたまましばしうつむいていた。マルケスは、このウオームアップのクラッシュで左手親指に小さな骨折を負い、決勝レースを欠場した。かなりの打撲もあったようだ。文字通り転んでは立ち上がり、走っていたマルケス。怪我は確かとはいえ、フィジカルだけが原因の欠場だったのだろうか。


 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)もまた、プラクティス2で激しい転倒を喫して右手小指を負傷したが、決勝レースを走って14位で完走した。中上は2023年シーズン、ホンダのなかで、開幕戦から第7戦まで欠場せずに参戦し続けている唯一のライダーとなった。


 ホンダは2020年からリヤのグリップ不足に悩まされており、それを改善すべく2022年には大きな変更をバイクに施した。また、シーズン中にはこれまでにないほど様々なパーツを持ち込んだ。しかし結果的にそれらの試みは、安定したパフォーマンスにつながらなかった。


 今季について目立った変更といえばカレックス製のシャシーだが、大きな改善は見られないというのが現状だ。バイクがよく走るポイントが非常に狭いのだともいう。攻められないバイクをライダー自身がライディングでカバーしようとするため、無理をして転倒する。あるいは、同じように走っていてもなぜかその周で転倒してしまった、といった症状もあるという。バイクへの信頼感が減ってさらに攻めにくくなる。負のスパイラルだ。


 その結果、ドイツGP決勝レースでレギュラーライダー3人が負傷欠場という事態に陥ってしまった。ここで、ひとつのデータを紹介したい。ホンダライダーの2023年シーズンの転倒回数である。転倒はレース、予選、すべてのプラクティスを含んでいる。


 第7戦ドイツGPを終え、マルケスとミルは、転倒回数のトップタイ、12回を数えている。ちなみにドイツGP終了時点で12回転倒しているライダーはもうひとりいて、アレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)である。


 マルク・マルケスに至っては第2戦から第4戦までを欠場していたので、ポルトガルGP、フランスGP、そして今回のドイツGPだけで12回転んでいることになる。ミルについては、スズキで参戦していた2022年シーズン全体の転倒回数11回をすでに上回っているという多さだ。


 LCRホンダのリンスと中上はマルケスとミルに比べて転倒回数が少なく、それぞれ5回。しかし、リンスは直近の転倒が大きく響き、右足の脛骨と腓骨を骨折して、オランダGPまで欠場を余儀なくされるだろうとみられる。中上は転倒が少ないほうだが、攻めれば転んで怪我をするリスクがあまりにも高い、とコメントしていることから、攻めきれない状況で戦っていることがうかがえる。


 こうした転倒回数がさらに、ホンダの現状の厳しさを克明に浮かび上がらせる。レギュラーライダーの欠場が続けば、状況改善のためのデータ収集にも影響が及ぶ。ホンダはどのようにしてこの苦況を打破するだろうか。

Q1で転倒し、スペアマシンに乗るべくピットに走るマルケス

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