元ホンダ陣営の“3冠”王者ゴードン・シェドンがTOYOTA GAZOO Racing UK加入で電撃復帰/BTCC
2025年3月12日(水)18時38分 AUTOSPORT web

かつてホンダ系の名門チーム・ダイナミクスのエース格を務め、2012年、2015年、そして2016年とBTCCイギリス・ツーリングカー選手権のチャンピオンに輝いた“フラッシュ”ことゴードン・シェドンが、新たにスピードワークス・モータースポーツ(SWM)への新規加入契約を締結。TOYOTA GAZOO Racing UKの一員として2022年以来初めてグリッドに復帰し、ローナン・ピアソンやアーロン-テイラー・スミスとともに『トヨタ・カローラGRスポーツ』のステアリングを握ることとなった。
また、ラインアップ堅持で今季も4台体制で臨むフォード陣営NAPAレーシングUKも、2025年仕様の『フォード・フォーカスST』を披露している。
■「レースへの欲求が消えたことはない」と元3冠王者
そのキャリアを通じてBTCC史上もっとも多くのタイトルを獲得したドライバーのひとりとして知られるシェドンは、通算52回の優勝を誇り、歴代優勝者リストで5位にランクされている。しかし所属先のホンダ系ファクトリーチームは2023年シーズンを前にシリーズから急遽の撤退。46歳のベテランも、その活動が宙に浮くカタチとなっていた。
「2年前、僕がBTCCを離れたくなかったことはよく知られていると思う。チャンピオンシップに出場する予定だったチームが、シーズン前夜に撤退したことは大きな痛手であり、完全に僕の手に負えないものだった」と振り返ったシェドン。
「それ以来、レースへの欲求が消えたことはないよ。ただ、僕はグリッドに並ぶためだけにこれをやっているわけじゃないんだ。そして僕が信じるプログラムでない限り、ここへ戻って来たくないことは明らかだった。今回、スピードワークス・モータースポーツとTOYOTA GAZOO Racing UKで見つけたものは、まさにそれだと確信している」
キャリア晩年を迎えているシェドンだが、BTCCでのNGTC規定ホンダ・シビック・タイプRなどと並行し、TCR規定ツーリングカーでも豊富な経験を有しており、フォルクスワーゲンやアウディ製のモデルを中心に、こちらも世界戦レベルのシリーズで研鑽を積んできた。
「契約は非常に短い期間でまとまった。どちらも相手のスケジュールが空いているとは思っていなかったと思うが、話し合いを始めるとすぐに多くの共通点と、お互いに『何かを実現しよう』とする前向きな意欲を見い出したんだ」と続けたシェドン。
「クリスチャン(・ディック代表)とダニー(・バクストン/SWM監督)は、どちらも心からのレーサーであり、運営のあらゆる側面を継続的に改善するという彼らの取り組みに、すぐに感銘を受けた。我々は全員、同じ考えだよ」
新たにトヨタ・カローラGRスポーツの4台のうち1台をドライブすることになったシェドンだが、2019年のシリーズデビュー以降で17勝と30回のトップ3フィニッシュ、5度のポールポジションに10回のファステストラップを記録してきたカローラは、昨季2024年には年間5勝を挙げるなど、これまででもっとも成功したシーズンを送った。
「この冬の間も全員が懸命に働き、集中して改良に取り組んできたからチームは好調だ。昨年トヨタのドライバー4名のうち3名が、このカローラでレースに勝利した。明らかに有能なパッケージだよ。エンジン側ではふたたびニール・ブラウン・エンジニアリングと協力し、アーロンとローナンが初めてチームメイトになることに興奮している」と元3冠王者。
「おもな目的は競争力を維持すること。そのため、当面の目標はシーズン前にできるだけ多くの条件を満たすことだ。BTCCで成功するには、丸いペグを丸いホールに差し込む必要があることは誰もが知っているが、この選手権では経験が非常に重要であり、すべてがうまくいってレースでの勝利、あるいはそれ以上を狙えることを願っている。それこそが、我々がここにいる理由さ!」
そのトヨタ陣営に対する主要なライバルの一台と目されるフォード・フォーカスSTは、引き続きアシュリー・サットン、ダン・カミッシュ、ダニエル・ロウボトム、サム・オズボーンという変更のないラインアップで戦う2025年仕様モデルのカラースキームをお披露目した。
今季2025年はNAPAにとって100年の歴史を祝う重要な一年に位置付けられ、同社のカラーリングで4年目を迎えたチーム代表のピート・オズボーンは「昨年10月に最終戦の幕が降ろされて以来、舞台裏でのチームは止まっていなかった」と、新シーズンに向けた意欲を語った。
「2025年に向け(共通ハイブリッド機構の廃止など)大きな規則変更があり、それに集中してきた。また、昨年の重要な教訓もいくつかある。この冬、主要人員を維持しながらチームをさらに強化し、ドライバーとエンジニアリング面を維持し続けることが今季キャンペーンの鍵になる」と続けたオズボーン。
「現在、我々は集中的なテストプログラムに乗り出していて、3年連続でチームチャンピオンになれたことを誇りに思っているが、ドライバーとメーカーのタイトルもふたたび獲り戻したいと考えている。来月ドニントンパークで本格的に始動することを楽しみにしているよ」