フェラーリ、2023年投入予定の次世代型GT3のベースに最新の『296 GTB』を選択か

2021年7月28日(水)13時53分 AUTOSPORT web

 フェラーリのコンペティツィオーネGT部門の責任者であるアントネッロ・コレッタによると、フェラーリが2023年にもカスタマーデリバリーを予定する次世代のGT3モデルには、この6月にワールドプレミアされたばかりの量産型ミッドシップスーパーカー『フェラーリ296 GTB』をベースとする可能性が高いことが明かされた。


 この新世代“ピッコロ”フェラーリは、跳ね馬の最新ミッドエンジン・ベルリネッタであると同時に、プラグイン・ハイブリッド・システムを搭載したことでも話題となっている。


 新開発の120度V6ホットインサイドVツインターボ“F163”ユニットは、エンジン単体で663PSを発生。これはフェラーリのロードカー用エンジン史上最強のスペックを誇り、組み合わされる電気モーターは1基で167PSを発生し、システム総合出力は830PSにまで達する。


 そのプラグインハイブリッドによるEV航続距離は、eDriveモードで25kmを実現。電動モーターとエンジンを使ったシステム全体のスペックは0-100km/h加速2.9秒、0-200km/h加速は7.3秒を記録し、最高速度は330km/h以上をマークするという。


 このモデルをベースに、現行型の『フェラーリ488 GT3(EVO 2020)』に代わる新世代カスタマーレーシングカーの開発を検討しているというフェラーリだが、前述のコレッタによれば、最終的に承認されたモデルを決定するために「内部調査が進行中である」と、すでに新型の開発が進行中であることを示唆した。


「新型GT3規定車両のベースモデルは、おそらく最近発表されたニューモデル『296』になるだろうね」と、モータースポーツ専門サイトの『Sportscar365』に対して明かしたコレッタ。


「おそらく、このクルマこそが我々の次期ベース車両になると思うが、その件について話すのはまだ時期尚早で、とてもとても気が早い話だ。今後のプロジェクトの進捗で、選択肢が増える可能性だってあるわけだからね」と続けるコレッタ。


「しかしもちろん、我々は現時点で内部調査と検討を行っているし、この件についてファクトリーの外で話をすることはまだ不可能だよ」


 フェラーリのグローバルGT3プログラムは、V8ツインターボを搭載した『488 GTB』をベースに2016年から本格稼働しており、2018年と2020年には大規模なアップデートも施されている。

専用オーダーのカラーリングが施され、大幅な軽量化と空力性能の向上を実現した『アセット・フィオラノパッケージ』も用意される
電動モーターとエンジンを使ったシステム全体のスペックは0-100km/h加速2.9秒、0-200km/h加速は7.3秒を記録し、最高速度は330km/h以上をマークする


■新型GT3の開発・製造はミケロットに代わる新たなパートナーとの協業へ


 一方で、ロードゴーイング版の『296 GTB』は前述のとおりすでに830PS(cv)を発生しているものの、FIA GT3規定ではハイブリッドの搭載が許可されていないため、ホンダ/アキュラNSX GT3などと同様にモーターやバッテリーを含むシステムを取り外してからのホモロゲーション取得作業が待っている。


 フェラーリは、この2年以内にも新型GT3モデルをデビューさせる方向で「ウォーミングアップに入っている(コレッタ談)」とされ、2022年に生産開始となる市販の『296 GTB』に遅れること約1年の、2023年にはラウンチに漕ぎ着けたい構えだ。


 というのも、同年にはフェラーリがすでにその存在を公にしたル・マン・ハイパーカー(LMH)規定の新型レースカーの登場が控えており、GT3とハイパーカーの双方で新型モデルを投入することで、フェラーリのプレゼンス向上とマーケティング面での活用につなげることが期待されている。


 またフェラーリは、2022年末までGTE規定へのコミットメントを表明しているものの、すでに『488』の市販モデルが生産終了となっていることを受け、このLMHと新GT3登場により「ゆくゆくはGT3に一本化されていくことになる」としている。


 さらに、現行『488 GT3』の製造とデリバリーに携わってきたミケロットとの関係も見直され、新たなGTレーシング・ビルド・パートナーとしてオレカの名が浮上している。しかし、コレッタは「おそらく新しいパートナーを迎える」としながらも「引き続き、ミケロットとの協力関係は変わらずに続いていく」と強調した。


「我々とミケロットのコラボレーションは長期的であり、それは将来も続くはずだ。彼らはGT3だけでなく、多くの活動でフェラーリのために働いているからね。何も止めることはないよ」と続けるコレッタ。


「はっきりさせておきたいのだが、LMHやGT3、その他のレースカー開発プロジェクトはすべてフェラーリの技術部門が責任を負っている。その後、パートナーと一緒に製造工程に入るが、おそらく新型GT3は新たなパートナーと協業することになる。ただし、これらのクルマはすべてマラネロ製だ。これが重要な点なんだ」とコレッタ。


「新型GT3の最初のテストが、LMHの(シェイクダウンの)前になることを願っている。来年の2月、LMHの2〜3カ月前が理想的だろうね。とても忙しいことになるだろうが、我々は良い仕事をしたいと思っているよ」

2021年のスーパーGTにも『PACIFIC NAC CARGUY Ferrari』として参戦するフェラーリ488 GT3 Evo
GT3規定車両は、663PSを発生する新開発の120度V6ホットインサイドVツインターボF163ユニットのみで構成される

AUTOSPORT web

「フェラーリ」をもっと詳しく

「フェラーリ」のニュース

「フェラーリ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ