新指揮官は「100%に戻った」と太鼓判 プレミア3年目に挑む三笘薫に求められるもの
2024年7月29日(月)18時0分 サッカーキング
8月17日のエヴァートン戦から2024−25シーズンがスタートするブライトン。3年目を迎える三笘薫にとっては真価の問われるシーズンになりそうだ。
プレミアリーグ初参戦の2022−23シーズンは強烈なインパクトを残したが、2年目の昨シーズンは腰のけがで後半戦を欠場。19試合出場3ゴールという数字は貪欲に高みを追い求める男には絶対に納得できなかったはずだ。ゆえに、今シーズンは完全復活、さらなる進化が求められているのだ。
7月22日から1週間のジャパンツアーはその布石となった。ブライトンは24日に鹿島アントラーズ、28日に東京ヴェルディと国立競技場でゲームを行い、それぞれ5−1、4−2で勝利。三笘は2戦とも先発し、前半の45分間プレーした。
鹿島戦は最前線に陣取るダニー・ヴェルベックらといい関係性を構築しつつ、得意のドリブル突破を何度か披露。自らもシュート2本を放つなど、復調ぶりを印象付けた。
「完全合流したのはチーム始動の7月初旬くらい。45分やってみて全然問題なくできましたし、違和感もほぼなくやれた。ボールに絡む時間はそこまで多くなかったけど、裏の抜け出しなどいいシーンはあった。仕留めきるところは足りないと思うので、そこは磨いていきたい」と本人は手ごたえと課題の両方を感じたという。
続く東京V戦はチーム全体に疲労が出たのか、鹿島戦ほどの高い強度は出せなかった。三笘自身もシュートチャンスは1本にとどまったが、ヒールで反転しながら相手をかわしてドリブル突破するという24分の場面では観衆も大きな歓声を上げた。
ベンチから試合を見ていた東京Vの松村優太が「行くところ、行かないところのメリハリがすごくうまい。駆け引きとか自分の能力を一番発揮できるボールのもらい方も熟知していて、本当にハイレベルだった。ドリブル突破には絶対的自信があるんだなと痛感しました」と神妙な面持ちで語ったが、国内でプレーする選手たちにとって三笘の一挙手一投足は大きな刺激になったはず。復活への一歩を踏み出したことを含めて、ブライトンのジャパンツアーの意味は大きかった。
今夏から指揮を執る31歳のファビアン・ヒュルツェラー監督は「私が見る限りだと、三笘はもう100%に達しているし、存在感を発揮している」と前向きにコメント。しかし、三笘自身は「僕自身はまだまだ100%には行っていないと思う」と手厳しかった。
「プレミアリーグの開幕までにもう1個、ギアを上げていかないと厳しいと感じています。監督の求めるレベルと僕の違いをまだ出し切れていないので、しっかり準備したい」とも語るように、ここからが本当の勝負だと捉えている様子だ。
自らを最高峰レベルまで引き上げてくれたロベルト・ゼ・デルビ監督がマルセイユへ去った今、新指揮官の要求に確実に応えることは、今の三笘にとっての最重要タスク。ジョエル・フェルトマンも「新しい監督はドイツ出身なので、とにかく走りを重視するブンデスリーガスタイルを志向している。『それを95分間続けろ』とも口を酸っぱくして言っているし、インテンシティはすごく重要なキーワードになっている」と話したが、走力・運動量を一段階上のレベルに引き上げた上で、三笘らしいアイディアや創造性を出せる状態に持っていくことは、やはりハードルが高そうだ。
新シーズンはヨーロッパリーグがない分、若干は試合数が減るものの、9月からはFIFAワールドカップ26アジア最終予選が始まる。三笘は第2次森保ジャパン発足時に「これからクラブと代表を両立させていく必要がある。それに耐えられるコンディションを作る必要がある」と強調していたが、残念ながら今のところは叶っていないのだ。
実際、この1年間を振り返ると、代表に参戦できたのは、昨年9月のヨーロッパ遠征と1月のAFCアジアカップだけ。出場はわずかに4試合。それは誤算以外の何物でもないだろう。
よりタフさと逞しさを身につけなければ、3年目のプレミアリーグで異彩を放ちつつ、代表のエースとしても活躍するのは難しくなる。それは誰よりも本人がよく分かっているはずだ。
「最終予選の日程をまだ把握しきっていないですけど、中2日、中3日で調整していく試合が増える中、一人ひとりの個人のスキルを出したり、フィジカルレベルを維持するのは難しくなる。1試合の負荷が下がれば下がるほど、次の試合の準備が楽になる。自分はプレミアリーグ3年目になるので、全力と出すところは出すんですけど、うまくコントロールしながら、結果を出しながらやっていけたらいいと思います」と三笘は今、自分なりの最適解を見出そうと躍起になっている。
長丁場のシーズンを乗り越え、終盤にかけてパフォーマンスを上げていき、代表も2026年W杯切符を確実に手にするという展開になれば理想的。三笘にはゴール、アシストという目に見える結果で2つのチームをけん引してもらわなければならないだろう。
背番号22は昨シーズンの負の連鎖を断ち切り、完全復活を遂げられるのか。3週間後のプレミアリーグ開幕が今から楽しみだ。
取材・文=元川悦子
【動画】三笘薫、日本ツアーを振り返る
プレミアリーグ初参戦の2022−23シーズンは強烈なインパクトを残したが、2年目の昨シーズンは腰のけがで後半戦を欠場。19試合出場3ゴールという数字は貪欲に高みを追い求める男には絶対に納得できなかったはずだ。ゆえに、今シーズンは完全復活、さらなる進化が求められているのだ。
7月22日から1週間のジャパンツアーはその布石となった。ブライトンは24日に鹿島アントラーズ、28日に東京ヴェルディと国立競技場でゲームを行い、それぞれ5−1、4−2で勝利。三笘は2戦とも先発し、前半の45分間プレーした。
鹿島戦は最前線に陣取るダニー・ヴェルベックらといい関係性を構築しつつ、得意のドリブル突破を何度か披露。自らもシュート2本を放つなど、復調ぶりを印象付けた。
「完全合流したのはチーム始動の7月初旬くらい。45分やってみて全然問題なくできましたし、違和感もほぼなくやれた。ボールに絡む時間はそこまで多くなかったけど、裏の抜け出しなどいいシーンはあった。仕留めきるところは足りないと思うので、そこは磨いていきたい」と本人は手ごたえと課題の両方を感じたという。
続く東京V戦はチーム全体に疲労が出たのか、鹿島戦ほどの高い強度は出せなかった。三笘自身もシュートチャンスは1本にとどまったが、ヒールで反転しながら相手をかわしてドリブル突破するという24分の場面では観衆も大きな歓声を上げた。
ベンチから試合を見ていた東京Vの松村優太が「行くところ、行かないところのメリハリがすごくうまい。駆け引きとか自分の能力を一番発揮できるボールのもらい方も熟知していて、本当にハイレベルだった。ドリブル突破には絶対的自信があるんだなと痛感しました」と神妙な面持ちで語ったが、国内でプレーする選手たちにとって三笘の一挙手一投足は大きな刺激になったはず。復活への一歩を踏み出したことを含めて、ブライトンのジャパンツアーの意味は大きかった。
今夏から指揮を執る31歳のファビアン・ヒュルツェラー監督は「私が見る限りだと、三笘はもう100%に達しているし、存在感を発揮している」と前向きにコメント。しかし、三笘自身は「僕自身はまだまだ100%には行っていないと思う」と手厳しかった。
「プレミアリーグの開幕までにもう1個、ギアを上げていかないと厳しいと感じています。監督の求めるレベルと僕の違いをまだ出し切れていないので、しっかり準備したい」とも語るように、ここからが本当の勝負だと捉えている様子だ。
自らを最高峰レベルまで引き上げてくれたロベルト・ゼ・デルビ監督がマルセイユへ去った今、新指揮官の要求に確実に応えることは、今の三笘にとっての最重要タスク。ジョエル・フェルトマンも「新しい監督はドイツ出身なので、とにかく走りを重視するブンデスリーガスタイルを志向している。『それを95分間続けろ』とも口を酸っぱくして言っているし、インテンシティはすごく重要なキーワードになっている」と話したが、走力・運動量を一段階上のレベルに引き上げた上で、三笘らしいアイディアや創造性を出せる状態に持っていくことは、やはりハードルが高そうだ。
新シーズンはヨーロッパリーグがない分、若干は試合数が減るものの、9月からはFIFAワールドカップ26アジア最終予選が始まる。三笘は第2次森保ジャパン発足時に「これからクラブと代表を両立させていく必要がある。それに耐えられるコンディションを作る必要がある」と強調していたが、残念ながら今のところは叶っていないのだ。
実際、この1年間を振り返ると、代表に参戦できたのは、昨年9月のヨーロッパ遠征と1月のAFCアジアカップだけ。出場はわずかに4試合。それは誤算以外の何物でもないだろう。
よりタフさと逞しさを身につけなければ、3年目のプレミアリーグで異彩を放ちつつ、代表のエースとしても活躍するのは難しくなる。それは誰よりも本人がよく分かっているはずだ。
「最終予選の日程をまだ把握しきっていないですけど、中2日、中3日で調整していく試合が増える中、一人ひとりの個人のスキルを出したり、フィジカルレベルを維持するのは難しくなる。1試合の負荷が下がれば下がるほど、次の試合の準備が楽になる。自分はプレミアリーグ3年目になるので、全力と出すところは出すんですけど、うまくコントロールしながら、結果を出しながらやっていけたらいいと思います」と三笘は今、自分なりの最適解を見出そうと躍起になっている。
長丁場のシーズンを乗り越え、終盤にかけてパフォーマンスを上げていき、代表も2026年W杯切符を確実に手にするという展開になれば理想的。三笘にはゴール、アシストという目に見える結果で2つのチームをけん引してもらわなければならないだろう。
背番号22は昨シーズンの負の連鎖を断ち切り、完全復活を遂げられるのか。3週間後のプレミアリーグ開幕が今から楽しみだ。
取材・文=元川悦子
【動画】三笘薫、日本ツアーを振り返る