「担任の先生のせいだと思う」自殺した13歳男子の葬儀で同級生が漏らした“驚きの一言” 「理由もなく叱責し、子どもたちを立たせ…」
2025年5月6日(火)8時0分 文春オンライン
6年前の、2019年4月18日の夕方、熊本市立中学校の1年生の男子生徒、マサルくん(仮名、当時13歳)が自宅マンションから転落し、敷地内で倒れているのが発見された。
搬送先の病院で死亡が確認され、警察は自殺と断定。背景には小学校時代の担任、X教諭による不適切な指導があった。マサルくんの7回忌に、今も消えない後悔について母親に話を聞いた。

◆◆◆
「その日マサルは16時ごろに帰宅すると、『友達と遊びに行く』と言って出ていきました。何度か家を出入りしていましたが、18時頃には帰ってきて、どの部活に入るか悩んでいると相談されました。ただマサルの意見もまとまっていなかったようで、『ご飯を作っているからちょっと待って』と言いました」(マサルくんの母親)
母親は夕食の準備をしている間、何度かドアを開け閉めする音が聞こえていたが、「姉と遊んでいるのかな」と気にすることはなかった。19時30分ごろに父親が帰宅すると、「マンションの下に救急車が来ている」「倒れているのは男の子かも」と言った。
気になって部屋をのぞくと、マサルがいない。もしやと思った2人は状況もわからぬまま車に飛び乗り、救急車のサイレンを追いかけた。病院に着くと事情を話し、まず父親だけが救急治療室に入った。ベッドに寝かされ、動かなくなっていたのはマサルだった。薄い布が掛けられて、顔と手だけが出ていました。
「これ以上はもうどんなに心臓マッサージをしても難しい。残念ですが……」
「強烈な悲しさとか混乱と同時に、何が起こったのか理解できず、ただただ涙があふれてきました」
マサルくんが病院に運ばれてからしばらく経つと、両親は医師から「これ以上はもうどんなに心臓マッサージをしても難しい。残念ですが……」と告げられた。
教育委員会や学校へも連絡が入り、病院には中学校の校長と担任、学年主任、そして教育委員会の職員がやってきていた。
「こちらからは連絡していないのに、先生たちが来ていました。もしかしたらいじめ自殺の可能性を心配されて来られたのかもしれないと思い、先生たちには『いじめじゃないと思います。帰っていただいても大丈夫です』と言いました。息子の交友関係はとてもよかったし、友達も多かったんです」(マサルくんの母親)
病院のベッドに横たわり、白くなったマサルくんの手を握り、母親は後悔の念に苛まれていた。
「中学生にもなると手をつなぐこともなくなっていたので、『こんなに大きくなっていたんだな』と驚きました。同時に、夕方にマサルが部活の悩みを話してきたのを遮ったことが脳裏に浮かび『私が追い詰めてしまったのではないか』と自分を責める気持ちが止まりませんでした」
両親は夜中、病院から家へ戻ると、玄関にはマサルくんの靴がそのまま置かれ、隣に不自然に靴下があることに気がついた。そのとき、まだ警察の捜査が続いていた。防犯カメラにはマサルくんがマンションの共有スペースを歩き回った後に自ら転落したとみられる姿が残っていたため、警察は自殺と判断した。
自宅の部屋も捜索され、警察はマサルくんが小学校6年時に使っていたノートに目を止めた。ノートにはいくつもの小さな「死」を並べて書いた大きな「死」という文字や、10個以上の「呪」が書かれたページ、「絶望」「死」「亡」などの文字が乱雑に書かれたページがあった。
「マサルがいなくなって、最初は何も考えられずにずっと泣いていました。頭が真っ白になっていました。しかし警察の捜査が進む中で、小学校6年生の時にマサルに何かが起きていたことがわかり、それを調べなければいけないと思うようになりました」
このノートの存在をきっかけに、両親はマサルくんが小学校6年生の時に何が起きたのかを探り始めた。
葬儀の日に言われた「小6の時の担任Xのせいだと思う」
すると見えてきたのは、当時の担任・X教諭による体罰・不適切指導の数々だった。
マサルくんが亡くなった翌日に通夜、その翌日には葬儀が行われた。両親は憔悴していたが、参列した同級生の複数人から「小6の時の担任Xのせいだと思う」と話すのを聞いた。
「通夜や葬儀に来てくれたマサルの友達が『担任のせいだと思う』と言うんです。詳しく話を聞くと、私たちが知らないところでマサルがひどい目にあっていたことがわかってきました。当時どうして気づいてあげられなかったのかと後悔の念に襲われましたが、同時に学校やX先生に対して怒りが湧いてきました」
「放課後に担任と2人で会うから、おかしいことはおかしいと言ってやる」
マサルくんの母親は5月までに、小学校時代の同級生にあらためて話を聞き、衝撃を受けたという。
「X先生は特に理由もなく子どもを叱責したり、クラスの中で子どもたちを立たせ、何度も大声で『はい』という練習をさせていました。大声を出してもX先生は『聞こえない』と突っぱねて練習を繰り返した、と聞きました。
そんな高圧的なX先生をマサルはとにかく嫌っていて、友達に『Xを呪い殺せないか』と相談したこともあるようです。時には『放課後に担任と2人で会うから、おかしいことはおかしいと言ってやる』と言うなど、敵意をむき出しにしていたと聞いて驚きました」
マサルくんは小学生の頃、いつも学校であった出来事を母親に話す子どもだった。しかし、6年生の5月頃になると、徐々に学校のことを話さなくなっていった。ママ友から「男の子は成長すると話さなくなる」と聞いていたこともあり、「マサルも思春期に入ったのかな」とそれほど気にはしていなかったという。
X教諭はいわゆる“熱血”タイプで、器楽部の指導にも熱心、授業がわかりやすいと評価する保護者もいた。
一方で、高圧的な指導方法や接し方から問題視する保護者が少なくないことを小学校側も把握しており、2018年4月には「体罰をしない」「子どもの体に決して触らない」「暴言を吐かない」「誤解を招くような不適切な言動をしない」などの指導を加えていた。いずれも当然の内容であり、そんな指導を受けている時点で“問題教師”だったと言える。
〈 体罰6件、暴言1件、不適切な指導26件…13歳男子を自殺に追い込んだ男性教師が“異例の懲戒免職”になった驚愕の実態とは 〉へ続く
(渋井 哲也)
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