目指せ「優勝後遺症」脱出!なでしこジャパンの挑戦【女子W杯】

2023年7月31日(月)13時30分 FOOTBALL TRIBE

なでしこジャパン 写真:Getty Images

2023FIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア&ニュージーランド大会を戦う、FIFAランキング11位のサッカー日本女子代表(なでしこジャパン) は、グループステージ第1節でザンビア(同77位)に5-0、第2節ではコスタリカ(同36位)に2-0と危なげなく2連勝。本日(7月31日)16時からの第3節スペイン戦を直前に控え、早くも4大会連続の1次リーグ突破を決めた。


ここまでの2試合はNHK(BS1)で中継されたが、現時点で一般層への認知度は残念ながら高くない。2011年の女子W杯で優勝したなでしこジャパンが「優勝後遺症」とも言うべき症状から抜け出すには、さらに勝ち進む必要がありそうだ。


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日本女子代表 FW藤野あおば 写真:Getty Images

今W杯、いよいよ地上波お披露目へ


今大会ここまで、ザンビア戦、コスタリカ戦ともに技術の高さを活かしたパスワークで相手を圧倒したなでしこジャパン。コスタリカ戦ではスタメン4人を入れ替え、さらに選手交代によって後半はやや失速したものの、2試合での合計得点は7、失点は0と危なげのない戦いをみせている。


コスタリカ戦でドリブル突破から2点目を奪取したFW藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)は現在19歳。男女のW杯を合わせ、日本で初めて10代で得点を挙げた選手となるなど、注目の記録も生まれている。


大会前は優勝候補に挙がっていなかったものの、2試合で実力を示し世界中から注目を集める存在になりつつあるが、日本国内での盛り上がりはまだまだといったところ。FIFA(国際サッカー連盟)が設定した放映権料が高額だったこともあり大会直前までテレビ中継が決まらず、大会約1週間前になってようやくNHKでの中継が決定した。


ただし、グループステージの第2節までは地上波でなくBSでの中継。第3節のスペイン戦から、ようやく地上波でお披露目となる。決勝トーナメントも含め日本戦はすべてNHKで見ることができる。


インターネット回線を介せば「FIFA+(プラス)」にて全試合日本語実況で無料視聴可能なのだが、サッカーファン以外への認知度は低いのが現状だ。幅広く認知され人気を得るには、地上波で放送されるに越したことはない。


コスタリカ戦に勝ち決勝トーナメント進出を決めたなでしこジャパン 写真:Getty Images

世間は常に未踏へ期待


男子のサッカー日本代表が初めてW杯に出場したのは1998年のフランス大会。その出場をかけてイラン代表と戦ったアジア最終予選(1997年11月16日)は、日本では深夜帯の放送だったにもかかわらず、47.9%もの平均視聴率を記録した。


「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれるこの勝利でW杯初出場を決めて以降、男子は7大会連続でW杯に出場しているが、予選の視聴率は下がり続けている。無論、日本におけるサッカー人気が下がったのではない。むしろレベルの向上とともに定着しつつある。それでも視聴率が下がるのは、W杯に出場するのが「当たり前」になりつつあるためだ。


W杯の本大会に入り決勝トーナメントまで進むと、視聴率と注目度は急激に増す。男子未踏の優勝に向け、期待が高まるからではないだろうか。




なでしこジャパン 2011女子W杯優勝時 写真:Getty Images

なでしこジャパンは「当たり前」を超えるか


なでしこジャパンの場合、それがより顕著だ。2011年の女子W杯では初優勝を飾り、翌2012年のロンドン五輪でも銀メダルを手にしたことでその名は一気に浸透し、女子サッカーブームにまで繋がった。女子サッカーの地位向上に多大な役割を果たしたことは間違いない。


ただし、当然その副作用もある。強いというイメージが付いたチームにかかるプレッシャーは大きく、欧州を中心とする女子サッカーの強化も相まって、その後は一時期ほどの成績は残せていない。


世間が思う「当たり前」を超えないと、徐々に関心は薄れてしまう。上位進出が「当たり前」と認識されているなでしこジャパンには、この「優勝後遺症」ともいうべき病がつきまとっているのだ。完治は困難であろう。緩和することさえ難しい。男子サッカーのように文化として定着し、多くのメディアに積極的に取り上げられ、「当たり前」を超える成績を残すしか方法はないだろう。


第2節で決勝トーナメント進出を決め、第3節のスペイン戦は選手の疲労を考えながらスタメン起用が可能であるため、今W杯のなでしこジャパンにかかる期待は大きい。2011年、団体として初めて国民栄誉賞を受賞し、同年の新語・流行語大賞を受賞した「なでしこジャパン」。ブームを再び起こし、今度こそ文化として根付くことを願ってやまない。

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