【GT500途中経過】カルソニックとMOTULのGT-R同士のトップ争い。ピット作業時間が明暗を分けた前半戦
2018年8月5日(日)16時19分 AUTOSPORT web
スーパーGTでは初めての試みとなる富士スピードウェイでの500マイルレース。177周m807kmという長い距離を真夏の8月に走りきるという過酷な戦いが、ついに決勝レースを迎えることになった。レースは半分の89周を過ぎたところで、カルソニック IMPUL GT-Rがトップを奪い、首位を走行している。
今回のレースはドライバー交代を伴う最低4回のピットインが義務化されている。つまり、4ピット/5スティントが基本戦略となるため、スタートを担当するドライバーが3スティント、2スティント目を担当するドライバーが4スティント目を受け持つのが基本パターンとなる。
アクシデントやトラブルなどで予選に参加できなかったZENT CERUMO LC500、KEIHIN NSX-GTも決勝日にはマシンを修復して出走可能となり、GT500は全15台がグリッドに並んだ。GT300はZENTのトラブルによる衝突を受けたModulo KENWOOD NSX GT3がマシンの修復が不可能とのことで、今回の出場を取りやめている。
予選日と合わせて2日連続のフライトとなった、エアロバティックス・パイロット室屋義秀選手によるフライトパフォーマンス、そして静岡県警の白バイとパトカーによるパレードランの後、いよいよレースがスタート。
スタート時の気温は31度、路面温度は47度で、まだまだ気温路温ともに上昇しそうな気配のなか、GT500は全車クリーンスタート。スタート直後はポールポジションのMOTUL AUTECH GT-R、2番手のフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rのペースがよく、3番手以下を序々に引き離し始める。
3番手のau TOM’S LC500は前の2台から1周あたりコンマ7〜8秒離され、3番手以下がトラフィック状態に。レース6周を終えたところで前日のクラッシュによって年間3基目のエンジンを投入することになってしまったZENT CERUMO LC500が5秒ストップペナルティを受けて、すぐに消化。
9周目には5番手を走行していたCRAFTSPORTS MOTUL GT-RがGT300とのからみもあったか、コースオフをして7番手に後退。また4番手まで順位を上げていたWedsSport ADVAN LC500も10周を過ぎて7番手まで順位を下げてしまった。路面コンディションにタイヤが合っていないのか、WedsSportはペースが上がらない。
12周目には1コーナーで他車の接触を受けた14番手RAYBRIG NSX-GTがハーフスピンするも、すぐに体制を立て直しコースに復帰。コース上の各所で順位変動やアクシデントが起こる目まぐるしいファーストスティントとなる。
18周目にはARTA NSX-GTがWedsSportをパスして7番手に浮上。同じタイミングで5番手まで順位を上げたカルソニック IMPUL GT-Rのペースが速く、4番手KeePer TOM’S LC500とテール・トゥ・ノーズに。
20周目にはカルソニックがKeePerをパスして4番手に浮上。トップ争いはMOTUL GT-Rが2番手フォーラムエンジニアリングを序々に引き離して20周終了時点で6.2秒のギャップを築く。
23周目にはペースが落ち始めた2番手フォーラムエンジニアリングを3番手auが捉え、1コーナーでauがインを奪いオーバーテイク。auは2番手に浮上して、トップMOTUL GT-Rとの差は7秒。
ペースが厳しくなってきたフォーラムエンジニアリングはカルソニックにも捉えられ、27周目に4番手に後退。カルソニックが3番手に上がる。8番手のWedsSportも28周目にDENSO KOBELCO SARD LC500、RAYBRIGにかわされ10番手まで後退。ヨコハマタイヤ勢が厳しい状況になる。RAYBRIGはランキングトップを争うDENSOを最終コーナーからの立ち上がりでかわして8番手にアップ。タイヤが厳しくなったか、WedsSportは29周目にピットイン。
トップ争いは2番手auが序々にトップとの差を詰め、30周目にはMOTUL GT-Rに3秒差まで接近。翌周には1.8秒差までギャップが縮まったところで、MOTUL GT-Rがたまらずピットイン。auは首位に上がる。フォーラムエンジニアリングも同じタイミングでピットに入っている。
34周目には3番手カルソニックがピットイン。トップに立ったau関口はここでさらにペースアップして2番手KeePer TOM’S LC500とのギャップが広がっていき、9秒差になる。ここから多くのGT500マシンがピットストップに入り、順位が入り乱れる。
37周目にトップのauがピットイン。しかし、ピット作業で左リヤタイヤの装着に手間取り、多くのチームが40秒台後半の停止時間のなか59.1秒の時間を費やしてしまい、コースインの際にはMOTUL GT-Rに順位を奪われてしまう。
全車最初のピットインを終えた39周目の順位は、トップがMOTUL GT-R、2番手にはカルソニック、3番手フォーラムエンジニアリングと、ニッサンGT-Rがトップ3を独占。4番手にau、5番手にKeePer、6番手にARTAという展開で2スティント目に入っている。
41周目にはトップMOTUL GT-Rの背後にカルソニックがコンマ3秒差に付き、トップ争いが過熱。ここに3番手のフォーラムエンジニアリングも追いつき、GT-R3台によるトップ争いに発展。ニッサンファンの悲鳴が聞こえるような緊張感が漂う。
しかし、50周を過ぎてから3番手フォーラムエンジニアリングがトップ2台から離され始め、4番手auに追いつかれる展開に。トップ2台、そして3,4番手争いが白熱する。
56周目のストレートではカルソニックがMOTUL GT-Rのスリップに入り、アウトから並んで1コーナーへ。そのまま2台は並走してコカコーラ・コーナーでインを奪ったカルソニックがトップを奪い、サインガードの星野一義監督が両手を叩いて喜ぶ姿がモニターに映る。
57周目には8番手走行中のRAYBRIGジェンソン・バトンがダンロップコーナーでのイエローフラッグ2本振動区間でGT300をオーバーテイクしてしまい、10秒のペナルティストップを受けてしまう。
58周目には3番フォーラムエンジニアリングと4番手auが接近戦。auが何度かストレートでサイドで並びかかるなか、60周目にはau中嶋一貴がフォーラムエンジニアリングのJ-P.デ・オリベイラのインを突いて3番にポジションアップを果たした。
au中嶋一貴はそのまま64周目に2番手のMOTUL GT-Rを捉え、ストレートでインを奪って2番手に浮上。トップのカルソニックとブリヂストン勢がワンツーを形成する。後方では68周目にKeePer平川亮が4番手のフォーラムエンジニアリングをレクサスコーナーでインを奪ってパス。トップカルソニック、2番手au、3番手MOTUL GT-R、4番手KeePer、5番手フォーラムエンジニアリングと、GT-RとLC500がサンドイッチ状態に。
69周目には3番手MOTUL GT-Rが2回目のピットイン。フォーラムエンジニアリングも続く。71周目にはトップのカルソニックがピットイン。GT500は2回目のタイヤ交換のピークを迎える。
74周目にはauがピットイン。しかし、再び右リヤタイヤの脱着に時間が掛かってしまい、1分5秒8の停止時間。コースに戻った時には実質4番手に順位を落とし、その後、77周目に77周目にピットインにしたKeePerが50秒2の素早い作業時間でau、フォーラムエンジニアリングの前の3番手でコースに戻り、2回目のピットインで順位が入り乱れる展開になる。
その後、79周目にはペースの速いauがKeePerをダンロップコーナーのアウトから並び掛かり、オーバーテイク。auが3番手に上がる。
83周目での順位はトップのカルソニックと2番手MOTUL GT-Rの差が4.7秒、2番手と3番手auが14.8秒、3番手と4番手KeePerのギャップが0.7秒と、2×2の状態で上位争いが続いている。レースも約半分を終えたところで、GT500はリタイアが0という珍しい展開。GT300は55号車ARTA BMW M6 GT3が2番手を33秒引き離す独走状態になっている。
レース開始から2時間22分を過ぎてレース距離177周の半分、89周を過ぎて、レースは後半戦へ、ここからは気温路温も下がり、またタイヤ選択が難しい展開を迎えることになる。
■2018スーパーGT第5戦富士 GT500決勝途中結果(103周終了時点)
Pos. | No. | Team | Car | Driver | Tire | WH | Gap |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 12 | TEAM IMPUL | カルソニック IMPUL GT-R | 佐々木大樹 J.マーデンボロー | BS | 36kg | 103Laps |
2 | 36 | LEXUS TEAM au TOM’S | au TOM’S LC500 | 中嶋一貴 関口雄飛 | BS | 30kg | 0’18.871 |
3 | 1 | LEXUS TEAM KeePer TOM’S | KeePer TOM’S LC500 | 平川亮 N.キャシディ | BS | 58kg | 0’28.828 |
4 | 17 | KEIHIN REAL RACING | KEIHIN NSX-GT | 塚越広大 小暮卓史 | BS | 50kg | 0’40.621 |
5 | 8 | AUTOBACS RACING TEAM AGURI | ARTA NSX-GT | 野尻智紀 伊沢拓也 | BS | 48kg | 0’41.693 |
6 | 24 | KONDO RACING | フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R | J-P・デ・オリベイラ 高星明誠 | YH | 14kg | 0’43.181 |
7 | 6 | LEXUS TEAM LEMANS WAKO’S | WAKO’S 4CR LC500 | 大嶋和也 F.ローゼンクヴィスト | BS | 58kg | 1Laps |
8 | 100 | TEAM KUNIMITSU | RAYBRIG NSX-GT | 山本尚貴 J.バトン | BS | 64kg | 1Laps |
9 | 38 | LEXUS TEAM ZENT CERUMO | ZENT CERUMO LC500 | 立川祐路 石浦宏明 | BS | 52kg | 1Laps |
10 | 39 | LEXUS TEAM SARD | DENSO KOBELCO SARD LC500 | H.コバライネン 小林可夢偉 | BS | 70kg | 1Laps |
11 | 19 | LEXUS TEAM WedsSport BANDOH | WedsSport ADVAN LC500 | 国本雄資 山下健太 | YH | 26kg | 1Laps |
12 | 23 | NISMO | MOTUL AUTECH GT-R | 松田次生 R.クインタレッリ | MI | 62kg | 1Laps |
13 | 16 | TEAM MUGEN | MOTUL MUGEN NSX-GT | 武藤英紀 中嶋大祐 | YH | 16kg | 2Laps |
14 | 64 | Epson Nakajima Racing | Epson Modulo NSX-GT | B.バゲット 松浦孝亮 | DL | 6kg | 2Laps |
15 | 3 | NDDP RACING with B-MAX | CRAFTSPORTS MOTUL GT-R | 本山哲 千代勝正 | MI | 18kg | 3Laps |