TCRヨーロッパ:元SLRのべナーニがComtoyouに加入。 ジョン・フィリピはTargetのシートを獲得

2020年8月19日(水)18時5分 AUTOSPORT web

 WTCR世界ツーリングカー・カップやWTCC世界ツーリングカー選手権に参戦し、長らくセバスチャン・ローブ・レーシング(SLR)に所属してシリーズを追ってきたメディ・ベナーニが、2020年のTCRヨーロッパ・シリーズへの参戦を決断。Comtoyou Racingに加入し、アウディRS3 LMSをドライブすることが決まった。またベナーニと同じくSLRで戦った経験を持つジョン・フィリピはTarget Competitionへ。さらにTCRドイツからの撤退を決めたばかりのハルダー兄妹が、ヨーロッパ・シリーズへの完全移行を表明している。


 モロッコ政府の強力なバックアップを受け、WTCC時代からマラケシュでの市街地レース実現にも貢献したベナーニは、この2020年に向けてはSLRの活動休止を受けレースシートを喪失する状態となっていた。


 過去2シーズンはそのSLRでフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRをドライブしたベナーニだが、8月22〜23日の週末にフランス・ポールリカールで開幕するTCRヨーロッパ参戦にあたって、すでにフル参戦を表明済みのサミ・タウフィク、ニコラス・ベアトらとともにアウディRS3 LMSへとスイッチすることとなる。


 ベナーニと同じモロッコ出身で現在18歳のタウフィクは、アーデンからフォーミュラ・ルノーなどに参戦したのち、2019年はTCRドイツやベネルクス・シリーズなどで、すでにComtoyouのアウディを経験している。


 一方、WTCC時代にはCampos Racingを経てSLRにも所属したフィリピは、2020年に向けアンドレアス&ジェシカのバックマン兄弟のチームメイトとして名門Targetに加入。チャンピオンカーのヒュンダイi30 N TCRをドライブすることが決まった。


「強豪チームに加入してヒュンダイをドライブすることができるなんて、これは僕にとって本当に素晴らしい機会だ。パンデミック前の2月時点で、2020年シーズンに向けたプランが白紙になってしまったが、このチャンスに躊躇なく決断した。初めてクルマをテストして4日後には契約を結んでいたからね」と、喜びを語ったフィリピ。


 現在25歳のフランス人は2019年にもTCRヨーロッパ・シリーズを戦っており、Vukovic Motorsportの開発ドライバーとしてルノー・メガーヌR.S.TCRをドライブ。後半戦はPCR Sportに移籍し、クプラ・レオンTCRのステアリングも握っていた。

昨季はジル・マグナスを擁してTCRヨーロッパを戦ったComtoyou Racing。2020年は3台体制となった
VWグループの方針を受けて、世界戦撤退を決めたSLRだが、ロブ・ハフ、ヨハン・クリストファーソンに続き、ベナーニも新天地を確保した


■失格騒動のハルダー兄妹がTCRヨーロッパに移行


「テストで数周走っただけで、(ヒュンダイ)i30のフィーリングは最高だと感じた。その期間中、チームは僕を走らせるために全力で作業にあたってくれたんだ。本当に感激したよ」と続けたフィリピ。


「彼らはとてもプロフェッショナルで、長い期間レースカーのドライブから離れていた僕を献身的にサポートしてくれた。今季はレースウイーク毎の間隔が短く、3カ月で6つのイベントが待ち受けている。表彰台に上がるためにはいつも以上に、懸命な努力と適応力が必要になるだろう」


「誰もがクルマの可能性とポテンシャルを知っているから、僕自身はベストを尽くすだけだ。この週末、ル・キャステレで最前列を争うため最初から全力でいく必要があるね」


 直前に迫ったTCRヨーロッパ・シリーズの開幕戦を前に、8月15〜16日にニュルブルクリンクで開催されたTCRドイツ第2戦に参戦していたマイク&ミシェルのハルダー兄妹は、失格騒動で物議を醸したシリーズ撤退の決断を経て、このフランス戦からTCRヨーロッパに完全移行することを明かした。


「僕自身はこれまでTCRヨーロッパをフォローし続けてきたし、TCRドイツでタイトル獲得の機会を逃した以上、次のステップに進むべき時が来たと感じたんだ。そして僕らの決断をサポートしてくれたチームにも感謝を捧げたい」と語るのは、2016年からTCRドイツを戦ってきた兄のマイク。


 TCRドイツにはProfi Car Team Halderとして、妹のミシェルとともにFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRを投入してきたが、先に行われたニュルブルクリンクのレース1では、兄のマイクがゲスト参戦のWTCR王者ノルベルト・ミケリスに次ぐ2位フィニッシュ。妹ミシェルも同ゲスト参戦のアンドレアス・バックマンに次ぐ4位に入り、選手権賞典外のふたりを除いて兄妹でTCRドイツのワン・ツーを決めていた。


 しかしレーススチュワードにより、パルクフェルメで消火器のシステムをオフにしたことが問題視され、兄のマイクに「レース除外の失格処分」を言い渡したことで、これを不服とした兄妹はすぐさまシリーズからの撤退を表明していた。


 ハルダー兄妹はTCRヨーロッパ開幕戦でも引き続きホンダのマシンをドライブし、トム・コロネル擁するBoutsen Ginion Racingや、ダン、ロイド、ペペ・オリオラのBrutal Fish Racing Teamなどと合わせて、7台のシビックがグリッドに並ぶこととなった。

WTCC時代にはCampos Racingを経てSLRにも所属したジョン・フィリピは、2020年に向け名門Target Competitionへ加入
先日開催された2020年TCRドイツ第2戦での失格騒動で、シリーズ撤退を表明していたマイク&ミシェルのハルダー兄妹


AUTOSPORT web

「ヨーロッパ」をもっと詳しく

「ヨーロッパ」のニュース

「ヨーロッパ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ