F1が人工知能が導き出した史上最速ドライバーを発表。トップ20の意外な顔ぶれに物議も
2020年8月23日(日)7時25分 AUTOSPORT web
1ラップにおいて史上最速のF1ドライバーは果たして誰なのか? F1とアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が協力し合い、1983年以降のデータを利用して、1周に関する各ドライバーたちの速さを分析、その結果割り出されたトップ20ドライバーを発表した。
F1とAmazon Machine Learning Solutions Labは、約1年をかけて『最速ドライバー』を導き出すためのアルゴリズムを構築。AWSの機会学習によって、各ドライバーの予選パフォーマンスをチームメイト同士で比較、そのデータを利用して、マシンの力、クラッシュ、マシントラブル、天候といった条件を除いてドライバー自身の力を評価し、ランキングを作り出した。チームメイト比較の際には、その時のふたりの年齢も考慮に入れられた。
今回のランキングでは、純粋なスピードのみが評価対象となり、タイヤマネジメント、レース技術といったものは含まれていない。
■1ラップにおけるF1最速ドライバーランキング(トップ20)
※1983年以降のデータを使用(F1およびAWSが分析)
順位 | ドライバー | タイム差 |
---|---|---|
1. | アイルトン・セナ | 0.000秒 |
2. | ミハエル・シューマッハー | 0.114秒 |
3. | ルイス・ハミルトン | 0.275秒 |
4. | マックス・フェルスタッペン | 0.280秒 |
5. | フェルナンド・アロンソ | 0.309秒 |
6. | ニコ・ロズベルグ | 0.374秒 |
7. | シャルル・ルクレール | 0.376秒 |
8. | ヘイキ・コバライネン | 0.378秒 |
9. | ヤルノ・トゥルーリ | 0.409秒 |
10. | セバスチャン・ベッテル | 0.435秒 |
11. | ルーベンス・バリチェロ | 0.445秒 |
12. | ニコ・ヒュルケンベルク | 0.456秒 |
13. | バルテリ・ボッタス | 0.457秒 |
14. | カルロス・サインツJr. | 0.457秒 |
15. | ランド・ノリス | 0.459秒 |
16. | ダニエル・リカルド | 0.461秒 |
17. | ジェンソン・バトン | 0.462秒 |
18. | ロバート・クビサ | 0.463秒 |
19. | ジャンカルロ・フィジケラ | 0.469秒 |
20. | アラン・プロスト | 0.514秒 |
この『ファステストドライバー』企画の責任者でF1のディレクター・オブ・データ・システムズを務めるロブ・スメドレーは、「予選でのスピードは、明確に示すことができるものだ。レースペースには、微妙な意味合いが多数あり、評価するのが難しい場合がある」と語った。
「一方、予選ラップは1ラップであり、同じマシンでふたりのドライバーが1周を走り、優れた方が優れたタイムを出す。そのデータポイントにはあいまいな点がそれほどないので、それを使用した」
しかしこのランキングには意外なメンバーが含まれ、含まれて当然と思われるドライバーが入っていないなどとして、疑問を投げかけるファンが多数いたと、後にF1のモータースポーツ担当マネージングディレクターのロス・ブラウンが明かした。ブラウンは「これは、1周において最速のドライバーが誰かを特定しようという試みだった」と強調し、説明を行っている。
「皆さんは、ひとりかふたり、驚きの名前を見ることになった。しかし、掘り下げてみれば、ある程度理にかなっている」
「多くの議論を呼んだようだが、方法論を知れば、(このランキングが)理解できるようになるだろう」
「我々が行ったのは、チームメイト同士のふたりを比較することだ。同じ日、同じ状況、同じ機会における時間の増分を割り出し、それを集計していく。ドライバーAはドライバーBより速かった。ドライバーBは他のチームに移った時、ドライバーCより速かった。その場合、ドライバーAはドライバーCよりも速いということができる」
「十分な情報と分析のなかで、そういったデータを積み重ねていけば、誰が速いドライバーであり、誰がどのぐらいチームメイトを上回ったかが見えてくる。大きな課題だったのは、膨大な情報を分析しなければならなかったことだ。個々に処理することは不可能である。ソリューションに到達するためには、アマゾンが用意するテクノロジーが必要だ」
スメドレー率いるチームは、アマゾンの技術を利用し、「仮想ペアリング」を作り出し、実際に組んだことがないドライバー同士のラインアップを作成して、検証し、精度を上げていったということだ。