【津川哲夫の私的F1メカ】複雑すぎるメルセデスのガンダム風フロア・フロントエリア

2017年8月24日(木)14時45分 AUTOSPORT web

 F1のマシン開発は年々、規則による締めつけが厳しくなり、特にエアロ開発の領域はきわめて限られてきた。現在では自由開発部分がきわめて狭く、チーム独自の個性的なエアロや、かつてのF1で見られたぶっ飛んだアイデアは締め出されつつあった。


 その中で、今年からの新規則ではPU(パワーユニット)の出力が大きく上がり、車幅、タイヤ幅、ウイング幅等が拡大。パワーアップとダウンフォース増によってマシンの走行性能が向上して、今シーズン走ったほとんどのサーキットで記録が塗り替えられている。


 F1の歴史を振り返っても、今年のように大きく規定が変わる年は開発初期はいろいろな個性的なパーツやエアロが現れ、シーズン中盤になるとそういった個性は性能・効率順に淘汰され、ひとつの方向に向かい、トレンドとしてF1純正品のように似た形になってしまうのが常であった。


 しかし今シーズン、今までの通例ならば締めつけられるはずのエアロ開発に、大きな自由度が与えられた個所がある。それはフロア・フロント。通常ならバージボードのあるエリアだ。


 ノーズ先端が伸び、幅広&後方へ後退角のついたステップフロアによって、今年のマシンはこのフロア・フロントの空間が拡大することになったが、今年のレギュレーションではこのエリアには強い規制をしなかったのだ。

ハンガリーGPで撮影したメルセデスW08のフロア・フロント部。バージボードなどの細かいスリットなど、形状が複雑化しているのが分かる。

 フロア・フロントの開発に自由が与えられたことで、今年はチームごとに多くの個性的な処理が登場。これまでの似たようなスタイルではなく、個性的な空力処理が多数見られることになったが、一部では理解し難いガジェットも登場している。


 写真はハンガリーGPでのメルセデスW08のフロア先端部分を上方から撮影したもの。バージボード、カスケード、スリット、スピリッター、ボーテックスジェネレーターにボーダフィン……どれがどれだかは読者の判断に任せるが、もはや形状がガンダムのような状態になっているのが面白い。まさに架空戦士、3Dゲーム&アニメに使われる未来剣!! 写真だけでも、見ているだけでゾクゾクしてしまいそうだ。


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