【現役選手の視点/シェーファーアヴィ幸樹】フィンランド戦の歴史的勝利の要因を分析!「MVPはホーキンソン選手です」【バスケW杯】

2023年8月28日(月)12時27分 ココカラネクスト

両チームあわせて最多となる37分32秒のプレーをこなしながら、あらゆる局面に絡んだホーキンソンの貢献度は高かった(C)Getty Images

 日本代表が歴史的な勝利を挙げた。

 8月27日に「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の1次ラウンド・グループE第2戦が行われ、日本代表が98ー88でフィンランド代表を下した。最大18点差ついたゲームを覆しての逆転勝利を、「現役選手」はどう見たのか。日本代表として東京五輪を戦い、現在は右膝前十字じん帯断裂から復帰を目指すシーホース三河のシェーファーアヴィ幸樹に試合の感想と次節オーストラリア戦へのポイントを聞いた。

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 フィンランド戦の勝利は、素晴らしかったし、本当に嬉しいです。日本は前回のドイツ戦で出だしの第1クオーターが良くなかった反省を活かして、すごくいい勢いでこの試合に入れました。第2クオーターは相手のシュートタッチが良くなったのもあって、向こうのリズムで進んでしまいましたが、そこでズルズルいかずに止められたのも良かった。ここ数試合は日本の3ポイントが入っていませんでしたが、必ずどこかで入るタイミングが来るものなので、それがこの試合の第3クオーター最後と第4クオーターに来たという印象です。最大18点差をひっくり返したわけですからね。なんて面白いゲームをしてくれるんだと。

 3ポイントの確率が上がったのと併せて、ディフェンスが良かったのも日本の勝因の一つだったと思います。しっかりフィンランドをスカウティングして、相手に好きにやらせなかった。エースのマルカネン選手にプレッシャーをかけて、彼がドライブしたら一人二人とヘルプにいってケアしていたし、他の選手にも簡単に点を取らせなかったのが大きかったと思います。第4クオーターなんて、相手に15点しか取られていません。試合終盤のディフェンスは本当に良かったと思います。

 フィンランド戦で一番印象的だったのは、ホーキンソン選手のパフォーマンスです。もちろん、富永啓生選手、河村勇輝選手、比江島慎選手も得点を重ねていたし、特に河村選手は試合終盤に3ポイントを決めまくってチームを勝たせた面もあると思います。それでも、僕から見ると、ホーキンソン選手の試合を通しての貢献度が凄かった。37分も出てますからね。誰よりもコートに立ちながら、常にファストブレイクに走って、常にリバウンドにも絡んで、そのうえでマルコネン選手のディフェンスもしていました。オフェンスリバウンドに一人で絡んでいる場面もありましたし、あれを一人でやり続けたのが本当にスゴイです。ビッグマンとして、あのしんどさを知っているつもりなので、フィンランド戦のMVPを選ぶとしたらホーキンソン選手ですね。

 ホーキンソン選手がドイツ戦よりも活躍できたのは、序盤でのファールを抑えられたのも大きいと思います。ドイツ戦では早めに3ファールしてしまった分、いつもの100%のプレーができていなかったんですが、フィンランド戦はファールを抑えて常にアグレッシブなプレーができていました。

 フィンランド戦ではインサイドでの得点ができていたので、序盤に3ポイントが入らない中でもいい勝負ができていました。これは今までの日本になかった感じだと思いますし、それがやっぱり一番の大きなポイントになったと思います。

 僕の個人的な感情は、やっぱりいろいろあります。自分が出た前回のワールドカップや東京オリンピックは、1勝もできなかった。だから、日本が勝てたことが本当に嬉しい一方で、今怪我もあって、その場に自分がいられない悔しさもあります。でも…やっぱり嬉しいですね。(渡邊)雄太さんなんてボロボロになってプレーしてましたし、最後に(比江島)慎さんと抱き合ってるところとか、もう泣きそうになりました。

 雄太さんは代表でのプレーにすごく懸けている人なので、それがちょっとでも実を結んだのが嬉しいです。大会前から「今回結果を出せなかったら代表を引退する」というくらい自分を追い込んでいたわけですし、あの選手がそれだけ言うことで他の選手もやらなきゃ行けないという気になっているはずです。やっぱりすごいリーダーですよ。

 ただ、まだ次にオーストラリア戦があるし、その後も試合が続くので、そこでも結果を出していくしかない。みんなもこれで満足してるわけないと思います。

 次のオーストラリアは相当強いですし、オーストラリアは第2戦でドイツに負けたので、日本戦は死に物狂いで来る。一筋縄ではいかない相手になると思います。

 オーストラリアはタレント揃いなので、一人一人がしっかりディフェンスをするのが大事になると思います。攻撃ではフィンランド戦の終盤に入った3ポイントの勢いを、そのまま持ち込みたいですね。オーストラリアは高さもフィジカルもありますし、ホーキンソン選手や雄太さんの頑張りが必要になると思います。

 ヨーロッパ勢から日本代表が初勝利というのは、2016年にBリーグができて日本代表に力を入れていこうという中で、雄太さんや(八村)塁のようなNBAで活躍するような選手が出てきて、さらに河村選手や富永選手みたいな若手も出てきている。それが融合した勝利だったと思います。この勝利がどれだけ世間に影響を与えるか分かりませんが、サッカーの日本代表だったり、ラグビーの日本代表だったりが世間を賑わせたように、バスケットもそういう存在になりたい。そのきっかけの一つになればいいと思います。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


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