ハミルトンが完勝で通算89勝目を挙げる。フェルスタッペンは及ばず3位【決勝レポート/F1第ベルギーGP】

2020年8月31日(月)0時9分 AUTOSPORT web

 8月30日現地時間午後3時10分、F1第7戦ベルギーGP決勝が行われ、メルセデスのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウインを飾った。2位はチームメイトのバルテリ・ボッタス、3位はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだった。


 朝から懸念された雨は降らず、晴れ間も覗いて気温は17度、路面温度は30度というコンディションでの決勝スタートとなった。セッション中の降水確率は40%。1年前にこのスパ・フランコルシャンで行われたFIA-F2のレース中に亡くなったアントワーヌ・ユベールへの黙祷を捧げ、決勝の時を迎えた。


 7番グリッドのカルロス・サインツJr.(マクラーレン)はグリッドへ向かうレコノサンスラップで排気管に問題を抱え、リヤから白煙を上げながらガレージに戻って決勝スタートはならなかった。ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)もターン12でコースオフする場面があったが、こちらは予定通り15番グリッドについた。


 上位勢はメルセデスAMG勢とフェルスタッペンだけがミディアムタイヤでそれ以外はソフトタイヤ、11番グリッド以下では12番手のピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)がハードタイヤ、13番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)がソフトを選び、それ以外は全車がミディアムをスタートタイヤに選んだ。


 スタートでは上位勢が順当に発進加速を見せ、ポールのハミルトンは首位を堅持してケメルストレートを駆け抜ける。2番手ボッタスのスリップストリームに3番手フェルスタッペンが入るがインから4番手ダニエル・リカルド(ルノー)が並びかけ、ターン5ではサイドバイサイドのバトルに。リカルドはターン5出口でワイドにはみ出しながらもターン7〜8までフェルスタッペンに並んで仕掛けていくが、フェルスタッペンもなんとか3番手を守り抜いた。


 後方ではソフトタイヤの利を生かしたルクレールが1周目に9番手までポジションを上げ、さらにセルジオ・ペレス(レーシングポイント)を抜いて8番手へ。ガスリーも2周目のオールージュ手前でペレスを抜き、3周目にはルクレールを抜いて8番手に上がった。


 これで首位ハミルトン、2番手ボッタス、3番手フェルスタッペン、4番手リカルド、5番手エステバン・オコン(ルノー)、6番手アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、7番手ランス・ストロール(レーシングポイント)という順位になった。ランド・ノリス(マクラーレン)は1周目のターン5で行き場を失ってコースオフし11番手に後退した。


 メルセデスAMG勢はファステストラップを更新しながら3番手フェルスタッペンを0.5秒ずつ引き離していく。ルノー勢はフェルスタッペンよりも1周1秒遅いペース。その後方のアルボンはルノー勢に引っかかって抜けず、ストレート速度が伸びないルクレールはノリス、クビアトに次々と抜かれて12番手まで後退していく。


 5周目を迎えると各車のギャップが固まっていくが、フェルスタッペンはタイヤのグリップが感じられないと訴える。


 レースは膠着状態に陥るが、10周目のターン13出口でアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)がリヤをスライドさせ、カウンターを当ててアウト側バリアにクラッシュ。飛んできたリヤタイヤにヒットしたラッセルもここでリタイアとなった。


 ここでセーフティカー導入となり、10周目にルクレール以下の各車がピットイン、11周目には上位勢もピットインし、ガスリーとペレスだけがステイアウト。順位は首位ハミルトン、2番手ボッタス、3番手フェルスタッペン、4番手ガスリー、5番手ペレス、6番手リカルド、7番手にオコンをパスしたアルボン、8番手オコン、9番手ストロール、10番手ノリスという順位になった。ペレスはソフト、アルボンはミディアムで、それ以外は全車がハードタイヤを履いていている。


 レースは14周目に再開。ケメルストレートでは激しいトウの使い合いが繰り広げられるが、上位勢はそれぞれが順位をキープ。


 パワーを失ったと訴えるハミルトンだが、これはエネルギーマネジメントのなかでディプロイメントが切れただけで、15周目にはファステストラップを記録。


 17周目のターン5でリカルドはDRSを使ってターン5でペレスをパスして5番手へ浮上。アルボンも最終シケインでペレスを抜いて6番手へ上がった。ペレスは18周目にたまらずピットに向かいハードタイヤに交換し最後尾まで落ちる。


 リカルドは21周目のケメルストレートでガスリーをパスして再び4番手に復帰。しかしミディアムタイヤのアルボンはなかなか追い抜きのチャンスをつかめず、24周目のターン5でようやくパス。この間にリカルドとのギャップは3.6秒まで広がってしまった。


 24周目にルクレールが2度目のピットインを行い、ミディアムタイヤに交換。エンジンのニューマチックバルブの圧力が下がったと見られ、約5秒の静止時間で圧搾空気を注入。これで最後尾の17番手まで後退しながらも、メルセデスAMG勢のペースを上回るファステストラップを記録する。


 ガスリーは26周目にようやくピットインを行い、ミディアムタイヤに交換してルクレールの前16番手でコースに復帰。ラップあたり2〜3秒速いペースで前のクルマを抜いてポジションを挽回していく。32周目のターン5ではベッテルをパスし、ベッテルはタイヤをロックさせてコースオフしてしまう。戦略ミスを犯したペレスも33周目のターン5でライコネンを抜いて10番手ポイント圏内へと上がる。


 ペレスは36周目にクビアトを抜いて9番手へ、そしてガスリーもクビアトを抜いて10番手に上がる。そして40周目にガスリーはターン5でペレスを抜いて9番手、さらに43周目にはストロールも抜いて8番手まで浮上を果たした。


 上位勢は膠着状態となり、首位ハミルトンと2番手ボッタス、3番手フェルスタッペンがそれぞれ5秒前後のギャップで走行。ボッタスはブレーキペダルからの影響で左足の感覚に問題を抱え、フェルスタッペンはタイヤにバイブレーションを訴えながらの走行となっている。各車ともタイヤの磨耗が厳しく、フロントのグリップ低下やロックのしやすさに苦しむ。ハミルトンは37周目のターン18で僅かに右フロントをロックさせてシケインをカットする。


 右側タイヤのフィーリングに不安感を訴えながらもハミルトンは大きくペースを落としながら44周を走り切ってトップでチェッカードフラッグを受け、今季5勝目を挙げた。2位ボッタス、3位フェルスタッペン、そして4位リカルドは最終ラップにファステストラップを記録したが表彰台までは3.422秒とどかず。5位には最終ラップのターン5でアルボンをかわしたオコン、7位ノリス、8位ガスリー、9位ストロール、10位ペレスという結果になった。

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