“2番打者最強説”を数字で証明!? 大谷翔平らの活躍で生まれた常識の変化「長らく犠打のために無駄にされてきた」

2023年9月11日(月)7時0分 ココカラネクスト

規格外の活躍を見せつけてきた大谷。彼が最も起用されているのも2番だ。(C)Getty Images

 近年の野球界においてトレンドと化しているのが「2番打者の最強論」だ。

 とりわけメジャーリーグにおいて定着している起用法だ。日本球界では一発の可能性を秘めた長距離打者を4番に据えるチームが多いが、米球界ではより得点効率を活かすために、2番に据えられる。

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 NPBでも採用する監督が出始めている「2番打者の最強論」だが、いまだ4番を打線のカギとする人は少なくなく、日本では賛否両論があるのも事実だ。そうしたなかで“野球の本場”で当たり前となっている同理論の効率性が証明された。

 現地9月7日、MLB公式サイトが特集記事を掲載。2023年シーズンが、いわゆる近代野球が始まったとされる1920年以降初めて、「2番打者」が最高のOPSを弾き出したと報じた。

 メジャーでも2、30年前までは、2番打者はバットコントロールに優れ、出塁率も高い、ユーティリティーを置くのが定石だった。実際、1993年から2012年の間にかけて2番打者のOPSは全打者の平均より1%も低く。3番打者は26%、4番打者は25%とそれぞれ高いアベレージを記録している。つまり打線の肝となるのは、日本球界でも定着している「3、4番」だったわけである。

 しかし、ここ10年で考え方が大きく変化した。2014年シーズンには2番で起用されたマイク・トラウト(エンゼルス)が36本塁打、111打点、115得点の大活躍。満票でMVPを受賞した。ちなみにこの年のエンゼルスの得点数は30球団でダントツトップの773だった。

 トラウトのパワフルな打撃が活きたことで、「最高の打者をなるべくたくさん打席に立たせよう」という考え方が浸透。今では大谷翔平(エンゼルス)やアーロン・ジャッジ(ヤンキース)、フレディ・フリーマン(ドジャース)といったMLB屈指の長距離ヒッターが並んでいる。

 効率性の向上はデータが如実に物語っている。2013年時点で2番のOPSは平均より10%も増加。さらに21年に至っては平均より14%も高まり、3番(15%)、4番(10%)とのギャップが明らかに縮まっているのだ。

 そうしたなかで、今シーズンは2番打者のOPSが史上初めて3番打者のそれを超えた。これは「2番打者最強説」が広まり、各球団の監督をはじめとする首脳陣がチーム強化プランを変化させていった証と言えるのではないか。

 今回のデータをまとめたMLB公式サイトのマイク・ペトリエッロ記者は「長らく犠打のために無駄にされてきた打順に、最高の打者を配置することは、もはや本や思考実験の領域にない。新たな常識なのだ」と強調。そして、次のようにも記している。

「いまや、ベーブ・ルースの時代のような打順の組み方ではなくなった。当時は『俊足のバッターを1番、バットコントロールのいい選手を2番、そしてチームで最高の打者を3番と4番に置く』というのが常だった。しかし、今はそんな時代ではなくなった。

 ここ10年のトレンドは、最高の打者にできるだけ多く、打席に立たせることが当たり前になった。つまり、優れたヒッターの前にそれ以下のヒッターを置かないことが常識になったのである。偉大な打者は2番か、もしくは1番を打つということだ」

 ちなみに今シーズンの大谷は上位打線で確かな結果を残している。1番で出場した5試合のOPSは1.378で、2番での71試合では同1.207といずれもハイアベレージだ。やはり打席数を多く与えられることで、見事に機能していると言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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