トヨタ・カムリのウォレスが“ノーコーション”の最終ステージを制しキャリア2勝目/NASCAR第28戦

2022年9月13日(火)16時49分 AUTOSPORT web

 9月9〜11日にカンザスの1.5マイル“トライ・オーバル”で争われた2022年NASCARカップシリーズのプレーオフ第2ラウンド、第28戦『ハリウッド・カジノ400』は、怪我の療養でプレーオフ進出を断念したカート・ブッシュ(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)のカーナンバー“45”を引き継いだ、ダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)が、デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)やクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)らを引き連れて、カップシリーズ通算2勝目を記録することに。


 長らく勝利から見放されていた男が、周囲の懸念や喧騒を払拭する今季初勝利を挙げ、5位に入ったマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)を含め、トヨタ陣営がトップ5に4台を送り込む結果に。これで前戦のエリック・ジョーンズ(ペティGMSモータースポーツ/シボレー・カマロ)に続き“非プレーオフ”ドライバーが連勝を飾り、春のカンザスを制していたカートの45番は、オーナーズ・チャンピオンシップ上で続くプレーオフ“ラウンド・オブ12”進出を決めている。


 前戦のダーリントンではケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が文字どおり炎上し、クリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)やジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)らもインディアナポリスで車両火災に見舞われるなど、新規定“Next-Gen”車両はこれまで複数回のトラブルを経験してきた。


 これに対し徹底した原因究明を明言していたNASCARは、この週末を前にリッチモンド戦以来となる規定条文のアップデートをアナウンス。スプリッターパネルや右フロントタイヤハウス、バックストップパネルなどの各部シールを強化するとともに、エキゾーストシュラウドのクリアランスで「一部メーカーで推奨より接近している例が散見された」とし、一層の対応を測るよう徹底する指示を出した。


 そうして迎えたプラクティスから速さを見せたのは、終盤以降の好調が続くタイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)で、FPの勢いそのままにポールアワードも制し、カップシリーズ通算3度目のポールポジションを獲得。自身にとってカップ初のオーバル先頭スタートを手にした。


 しかし決勝序盤からレディックの背後にいたロガーノとアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が先行すると、34周目にはまずハーヴィックが不運に見舞われ、ターン4ハイラインからの立ち上がりを、ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)とウォレスのカムリに塞がれるかたちになり失速。バランスを崩した右フロントがウォールにヒットし、ここでリタイアとなってしまった。


「あの2台のクルマが前に来たとき、こちらのラインはとてもタイトになった。少しスロットルをリフトしたら、路面を掴んだりルーズになったり挙動を乱した。正直言って、自分のクルマがそこまでタイトな動きをするとは予想していなかったんだ……」とハーヴィック。


 さらに66周目には38周のラップリードを記録して踏み止まっていたポールウイナーにも悲運が襲い、8号車の右リヤタイヤがバーストしウォールにタッチ。なんとかコントロールしてピットレーンに辿り着いたレディックだったが、プレーオフドライバーが立て続けに戦列を去る痛い展開となった。

FP、QFと最速を記録し、自身カップ初のオーバル戦ポールポジション獲得のタイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)
グリーンフラッグからはジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)やアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)らが先行する
34周目にバトルの余波で右フロントを破損したケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)は、ここでレースを終えることに
ポールウイナーのレディックも66周目にパンクに見舞われ、プレーオフ争いに暗雲が立ち込める
ステージ2ではアリック・アルミローラ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)らが絡むコーションが発生したものの、この日のアクシデントはこれが最後に


■ファイナルステージではトヨタ陣営がトップ3独占チェッカー


「いつだって僕らを悩ませている不幸な問題だ。速いクルマがあるときは、タイヤを吹き飛ばしてクラッシュさせるし、今すぐ速いクルマが欲しいかどうか、わからなくなるよ……」と、火災に続いての不満をこぼしたレディック。


「何度か経験したように、フォンタナではセーブできたが、今回は最悪の場所でパンクした。立て直す間に壁にぶつかり、右フロントのアッパーコントロールアームを壊してしまったんだ。(次戦)ブリストルは懸命に戦わなくちゃいけないね」


 そのままステージ1はベルが制し、続くステージ2は107周とこの日の最多リードラップを記録したボウマンが獲り、迎えたファイナルステージ。ボウマンと並んでリスタートを切ったウォレスは、その172周目以降“ノーコーション”となった勝負で安定したラップペースを披露。残り67周でリードを奪うと、背後のベルに対し3秒以上のマージンを築いていく。


 ホワイトフラッグでは23XIレーシングの共同オーナーでもあるハムリンに見守られ、トヨタ陣営がウォレスのカップ通算2勝目に華を添えるトップ3独占でのチェッカーとなった。


「このチームと、彼らの毎週の努力を心から誇りに思っている。2年前、すべてが起こる前にデニー(・ハムリン)からのテキストが届き、僕はこの機会に飛び乗った。素晴らしいチャンスをくれたことに、ただただ感謝だ!」と、ウイニングラップでは“ボス”のハムリンとランデブー走行を決め、背後からベルに祝福のバンパーヒットを贈られたウォレス。


「デニーが強くなることはわかっていた。序盤戦の登場人物ではなかったのに、最後は2位フィニッシュ。それは誰もが“最高の日”ではないときに、達成したい戦い方だ。その瞬間を利用してボスを倒すのはクールだけど、今日はただリードを奪っただけだった。彼に心底感謝しているし、(こちらも共同所有者の)MJ(マイケル・ジョーダン)や23XIのすべてのメンバーに『この機会をありがとう、僕のために黙っていてくれてありがとう』と言いたい」と、未勝利に対する周囲の疑念を吹き飛ばし、指をくちびるに当てるジェスチャーで喜びを表現したウォレス。


 併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズの第25戦は、6番手からのチャージを見せたノア・グラグソン(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が、宿敵タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・スープラ)を降して今季5勝目をマーク。


 一方こちらも併催のNASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第19戦は、ファイナルラップでカーソン・ホセバー(ニース・モータースポーツ/シボレー・シルバラードRST)を仕留めたジョン-ハンター・ネメチェク(カイル・ブッシュ・モータースポーツ/トヨタ・タンドラTRD-Pro)が、予選ポールからの2ステージ制覇を含む“クリーンスイープ”を達成。


 服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライゼスは、トップ10圏内から勝機を伺った16号車タイラー・アンクラムが14位、チェイス・パーディの61号車はピットレーン速度違反により25位でレースを終えている。

ファイナルステージはアンダーグリーンのピットとなり、ここでJGRや23XIのトヨタ勢が抜け出すことに
58周のリードラップを記録したダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)が、キャリア2度目のカップ戦勝利を手にした
フィアンセのアマンダ、愛犬アッシャーとのビクトリーレーンになったウォレス。2017年ポコノ以来の勝利となった
NASCARエクスフィニティ・シリーズで連勝を飾る結果となったノア・グラグソン(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)
ジョン-ハンター・ネメチェク(カイル・ブッシュ・モータースポーツ/トヨタ・タンドラTRD-Pro)が、予選ポールからの2ステージ制覇を含む“クリーンスイープ”を達成した

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