BTCC:トヨタ、ホンダが勝利も病院搬送の多重事故発生でペナルティ基準強化へ

2017年9月19日(火)17時37分 AUTOSPORT web

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の第9戦シルバーストンが9月16〜17日に開催され、オープニングレースをトヨタ・アベンシスのトム・イングラムが、残る2レースをそれぞれホンダ・シビック・タイプRのジャック・ゴフとマット・ニールが制覇。しかし週末を通じてアクシデントが多発し、シリーズはペナルティ評価見直しを検討する事態となった。


 2017年シーズン後半戦再開前の合同テストから印象的な速さを披露してきたホンダのサテライトチーム、ユーロテック・レーシングのジャック・ゴフは、週末はじめのプラクティスからシルバーストンを攻めきると、予選では「1コーナーでわずかにタイヤを落としてしまった」と言いつつ、そのロスをものともしないポールタイムをマーク。

予選でポールポジションを獲得したユーロテック・レーシング・ホンダのジャック・ゴフ


 2番手につけたトヨタ・アベンシス、イングラムとの差わずか0.001秒という超僅差ながら、前述のミスを引き合いに「まだマージンはある」と、今季2勝目を期してオープニングレースへと挑んだ。


 そのスタートの1コーナーで首位を奪取したのは、フロントロウに並んでいたトヨタ・アベンシス。来季はフォルクスワーゲンCCへのスイッチがささやかれ、今季がこのアベンシスにとって最後のシーズンになるのではと噂されるなか、イングラムが抜群のダッシュでホールショットに成功。

3戦中2戦で、他車のアクシデントに巻き込まれ、レースを失ったアンドリュー・ジョーダン「アクシデントを待つだけのレースは誰も望んでない」


 しかし、5周目に入ったところでトラックには雨粒が落ち、首位を走るイングラムも足元をすくわれコプスでワイドラン。後続もマシンコントロールに苦心し、続々と接触のアクシデントが発生するなか、18周のチェッカーが近づく14周目に、赤旗となるクラッシュが発生。


 BTCレーシングのクリス・スマイリー(シボレー・クルーズ)とサイド・バイ・サイドのバトルを展開中だったトリプルエイトのアーロン-テイラー・スミス(MG6)が、その前方にいたウェスト・サリー・レーシング(WSR)のロブ・コラードがドライブするBMW125i Mスポーツをプッシング。

レース1勝者のトム・イングラムに対し、レース2はジャック・ゴフ(手前)がリベンジに成功し、今季2勝目


 これでコントロールを失ったコラードのマシンは濡れたグラスエリアを滑走し、ふたたびベケッツでコースを横切ったところ、チーム・ハードのウィル・バーンズ(フォルクスワーゲンCC)と接触し大破。


 さらにWSRのチームメイト、アンドリュー・ジョーダンのBMWも巻き込まれ、コラードは自力で脱出したもののマシンは修復不可能なほどのダメージを受け、肋骨骨折のバーンズとともにドクターヘリで救急搬送される事態となった。


 結局このレース1は、再開後もポジションを守ったイングラムがゴフを抑えて勝利。コラード、バーンズのふたりは、週末残りのレースへの出場を見送らざるをえない状況となってしまった。


 そのインシデントの不穏な空気が漂うなかスタートしたレース2は、ポールスタートとなったイングラムの背後でリベンジの機会を伺ったゴフが、3周目のベケッツでオーバーテイクに成功。ついに首位浮上を果たすと、そのまま22周のレースをリードしイングラムを4.910秒引き離して今季2度目のトップチェッカー。

安易にマシンのコンタクトできっかけを作りオーバーテイクを試みるシーンが散見された


 さらに2番手イングラムの後方、最後の表彰台争いを繰り広げていた3番手のWSR、コリン・ターキントンに対し、タイトル争いで直接のライバルとなるチームBMRのポイントリーダー、アシュリー・サットン(スバル・レヴォーグGT)が最終ラップのラ・フィールドで強引なパッシングを敢行。


 これに対し、レース後に抗議を行ったWSRの申し立てが認められ、サットンにはレース3で最後尾グリッド降格のペナルティが課されることに。


 そして週末の最終ラウンドとなるレース3は、前戦でシングル8位に入賞しリバースグリッドのセカンドロウに着けていたスポット参戦の名手ロブ・ハフ(ボクスホール・アストラ)が、序盤からレースを支配する見事なレース運びを披露。


 しかし残り4周となった21周目に、長らく「これぞツーリングカーレース」という好バトルを展開してきたチーム・ダイナミクスのマット・ニール(ホンダ・シビック・タイプR)がついにアストラを攻略し首位に。最終的に25周となったレースは勝者ニール、2位ハフ、3位にデイブ・ニューシャムのシボレー・クルーズの表彰台となった。

マシン左サイドを当てBMWの前に出たアシュリー・サットンは「彼がドアを閉めたのは明らかだ」と反論


 また、このレースでも中団グループ以下では激しいバトルが展開され、セーフティカー導入のアクシデントも発生。接触、コースオフ、リタイヤに関与したマシンは述べ14台以上にのぼり、タイトルを争うターキントンもチーム・パーカー・レーシングのステファン・ジェリー(フォード・フォーカスST)との接触でフロントエンドを大破。


 こうした数々の混乱を受け、シリーズディレクターを務めるアラン・ゴウは不必要な接触や重大事故につながるアクシデントを削減するため「さらに厳重な罰則規定」の導入を検討する、と発言した。


「今季は罰金額の増大やペナルティ判定の厳格化を進めたにもかかわらず、身体的ダメージにつながるアクシデントが増える一方という状況は、あまりハッピーとは言えない。少なくとも、私が記憶している限りシーズン最多のアクシデント数に上っている」とゴウ。


「もちろん、全32台が予選で1秒以内に入る激烈な競争レベルゆえに、接触が避けられない側面はあるだろう。しかし、ドライバーによっては相手にスペースを残し優雅なデュエルを披露してくれる。それが可能であることもまた事実だ」


「来月早々にはチームメンバーも招集し、まずは各人のマインドセットを変えていく必要があると考えている」

レース3はマット・ニール、ロブ・ハフの名手同士が見事なバトルを披露しフィニッシュ


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