GTレース界のトップドライバー、ボルトロッティが初体験したDTM。「興味深い体験だった」

2021年9月30日(木)23時52分 AUTOSPORT web

 9月17〜18日、オランダのアッセンで開催されたDTMドイツ・ツーリングカー選手権第6戦。このレースには、ランボルギーニのファクトリードライバーとして、常に世界のGT3レースでトップクラスの活躍をみせてきたイタリア人ドライバーのミルコ・ボルトロッティがT3モータースポーツからスポット参戦した。レース1で初参戦ながら2位に食い込むなど、そのポテンシャルを見せつけたボルトロッティに、初体験のDTMについて聞いた。


──初めてのDTM参戦となりましたが、あなたにどんな印象を残しましたか?
ミルコ・ボルトロッティ(以下MB):
土曜日のレース1ではランボルギーニ・ウラカンGT3、そしてT3モータースポーツにとってもDTMで初めてのポディウムをもたらすことができて、とても良かったと思うよ。日曜日のレース2では、いろんな意味でタイミングを誤ったレースでもあり、ピットストップも良くなかったという意味で不満が残るものだった。スプリントレースでは数秒のピットストップの遅れが、レースでのポジションを大きく後退させてしまうからね。だけどDTMスポット参戦で2位と7位入賞は喜ぶべき結果じゃないかな。


──今回、スポット参戦したDTMにはどんな意味があったのでしょうか?
MB:
ランボルギーニとして、スポット参戦した短時間ではあったけど、可能な限りデータを多く収集し今後に活かすことだ。ADAC GTマスターズやGTワールドチャレンジはピレリのワンメイクレースだけど、DTMはヨーロッパのGTレースでは珍しいミシュランのワンメイクレースでもあるので、僕にとっては新鮮だったし、毎ラップ非常に貴重なデータが収集できた。


──実際に自身が走るまで、DTMにはどんなイメージを持っていましたか?
MB:
白熱したガチンコのレースを子どもの頃からも、自分がプロになってからもテレビでよく観ていたからね。まさかそこに自分が出るとは思わなかったよ。時代とともにマシンも大きく変化し、今年は個人的にも活動の舞台としているGT3カーのレースになったことを嬉しく思っているよ。僕自身はGT3で活動して今年で7年目だ。子どもの頃から観ていたDTMのスポット参戦のオファーをランボルギーニのワークスドライバーとしてもらった時は本当に嬉しくて、ここに来る前からとても楽しみだったんだ。


──世界中のさまざまなGTカーレースで活躍されていますが、このドライバー交代なしのスプリントであるDTMのレースフォーマットはどう思いますか?
MB:
世界唯一とも言えるこのフォーマットで走るのは、僕にとっても初めての経験だったし、とても興味深いと感じたよ。これがDTMを面白くしている要素のひとつではないかとも思ったね。個人的には『バック・トゥ・ルーツ』とも言おうか、シングルシーターの頃を思い出した。自分だけのためにクルーがいて、エンジニアがいて、マシンは自分専用。セットアップは自分だけのためにフォーカスできるし、チームメイトがいないぶん、妥協しなければいけない点がないのは、本当に興味深くてとても気に入っている。


──T3モータースポーツは若手育成を目的に2018年に創設された新しいチームであり、ドライバー2名(エスミー・ホーキーとエステバン・ムース)は、チームとしてもドライバーとしても、現在は成長途中です。そんな彼ら後輩ドライバー2名に時間を惜しまず、熱心に毎セッションの前後にはていねいに何度もレクチャーをしている姿を目にしました。
MB:
ワークスドライバーとしてだけではなく、どのレースでもランボルギーニを背負ってもいる。僕ひとりだけ良ければいいという考えは持っていない。どうしたらランボルギーニやチーム全体でレースの成績を向上できるのかも考えながらサーキットに向かっているので、自分が今まで得た経験が、少しでも若い彼らのステップアップに役立ってくれるのならば嬉しいと思うよ。


──若手といえば、ランボルギーニのジュニアドライバープログラムに日本人ドライバーの根本悠生選手が所属しています。あなたのような一流ドライバーを目指して頑張っています。
MB:
彼がそんなことを思ってくれているなんて嬉しいね。ランボルギーニのファクトリードライバーとして、ジュニアドライバーたちの活動状況などはもちろん追っているし、彼らの成長ぶりはチェックしている。ユウキはとても頑張っていると思うし、正しい道のりを一歩ずつ歩んでいる。ファクトリードライバーの『仲間』となってくれる日を楽しみにしているし、彼のプロレーシングドライバーとしての未来が実りあることを祈っているよ。


* * *


 アッセンでのDTMには、モータースポーツ部門のみならずランボルギーニ社の役員らが視察に訪れており、DTMを主催するITR e.Vのゲルハルト・ベルガー代表らとの会合がもたれたようで、来季はランボルギーニがDTMへの関与を深める可能性も考えられる。


 ピットウォークやパドックでも、ボルトロッティの人気は高く、常に多くのファンに囲まれていた。DTMにシリーズ参戦しているドライバーらも、ボルトロッティとのバトルをかなりエンジョイしたという声も聞かれた。来季のシリーズ参戦も期待したいところだ。

DTMアッセンにスポット参戦したミルコ・ボルトロッティのランボルギーニ・ウラカンGT3
DTMアッセンのレース1スタートシーン
DTMアッセンのレース1スタートシーン
DTMアッセンのレース1表彰台。2位のボルトロッティ、優勝のマルコ・ウィットマン、3位のリアム・ローソン

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