「開幕戦の屈辱を一緒に晴らそう」独走で6年ぶりVのキーパー・セルモ 石浦&大湯組が涙

2025年5月5日(月)6時0分 スポーツ報知

富士山をバックにコースを快走するキーパー・セルモGRスープラ(カメラ・橋口 真)

◆自動車レース スーパーGT第2戦 (4日、静岡・富士スピードウェイ=1周4・563キロ)

 決勝が3時間のタイムレースで行われた。GT500は、ポールポジションのキーパー・セルモGRスープラ(石浦宏明、大湯都史樹組)がスタートから圧巻の一人旅を披露。2019年の第2戦(富士)以来、6年ぶりの優勝を飾った。GT300は、トップを走っていたスバルBRZ・R&Dスポーツがゴールまで残り半周でマシントラブル。ユニ—ロボ・ブルーグラス・フェラーリ(片山義章、R・メリ・ムンタン組)が、チーム創設5年目で初優勝を果たした。

 ゴールデンウィークの富士山の麓で、約3時間の涙のリベンジ劇を演じた。ブルーを主体とする38号車からは気迫が伝わってきた。スタートから後続を突き放した圧巻の走りからは「屈辱を晴らすんだ」という熱い気持ちが見え隠れ。26歳の大湯が圧巻のスタートダッシュを決めれば、最後は44歳の石浦の抜群の安定感で締めた。立川監督は「大湯が逃げて最後は石浦が確実に走ってくれた。クルマのポテンシャルにも余裕があったので、安心して見ていられた」と2人のドライバーを頼もしげに見つめた。

 立川監督が就任して2年目。昨年は年間ランキング4位ながら、各レースでは2位と3位しかなかった。「今年は絶対に優勝する」と目標を掲げたが、4月の開幕戦(岡山)はまさかのリタイア。石浦が4周目の第1コーナーでスピンし、2台を巻き込む多重クラッシュを引き起こした。第2戦の富士開催まで時間も少なく、マシンの組み立て作業が終了したのはレース直前という慌ただしさだった。

 一丸となって間に合わせたメカニック(車を整備するスタッフ)の魂は、マシンにも宿った。「マシンに乗ったら、パフォーマンスを持ったクルマに仕上げてくれた(メカニックの)気持ちが痛いほど伝わってきた。大湯選手の走りからも開幕戦の屈辱を一緒に晴らそう、という思いがあった。大湯選手が序盤からマージン(後続との差)をつくってくれたので、最後はリスクを取らずに走ることができた」と石浦は感謝した。フィニッシュの瞬間、大湯の顔は涙でぬれていた。その表情を見た石浦もまた涙。そこに立川監督が加わって3人の男の涙の輪ができた。

 チームは19年の第2戦(富士)以来、6年ぶりの勝利。石浦にとってはスーパーGT恒例のGW開催は5回目の優勝だった。「4回目の優勝から時間がたっていて、もしかして勝てずにこのまま(マシンから)降りるのかなと思っていたので、最高にうれしい優勝です」と石浦は、夏日の陽気よりも熱かった走りを振り返った。(今関 達巳)

 ◆キーパー・セルモ 「バテさん」の愛称で知られた名エンジニアの佐藤正幸氏が1981年に設立。91年からチームを結成してスーパーGTなどに参戦。過去、3度のドライバーズタイトルを獲得した名門でもある。昨年から洗車用ケミカル及び洗車用機器の開発・製造・販売・コーティング・洗車の技術指導を行う「キーパー技研」がメインスポンサーになり、往年の名ドライバーの立川祐路氏(49)が監督を務めている。

◆GT300は予選27番手スタートのユニ—ロボが初優勝

 GT300を制したのは、ユニ—ロボ・ブルーグラス・フェラーリだった。2位を走行していた最終ラップ。トップを快走していたスバルBRZが、まさかのトラブルでマシンストップ。ユニ—ロボに幸運の初優勝が転がり込んできた。

 最後にハンドルを握っていた元F1ドライバーのR・メリ・ムンタン(スペイン)は「まるで映画を見ているようだった。最初、スバルから煙が見えて、それが大きくなった。スバルには申し訳ないけど、これはチャンスだと思った」と驚きの表情を見せていた。

 予選は、マシンにトラブルがあって27番手からのスタートだった。ムンタンが20台以上のマシンを抜いて、バトンを受けた片山も必死にアクセルを踏んで2位まで追い上げた。「(マシンの)ポテンシャルはあると思っていた。諦めずに頑張って良かった」と片山の声も上ずっていた。

◆スーパーGT アラカルト

 ▽スーパーGT 長距離を高速で移動できる高性能GTカーがベースのレーシングカーで競う自動車レースのシリーズ戦。GTはツーシーター、またはクーペ車の定義「グランドツーリングカー」の略。

 ▽いつから? 前身は全日本GT選手権で94年から。05年に名称を現行に改める

 ▽レース数 全8戦で開幕戦は4月。

 ▽クラス分け 主に500馬力のGT500、300馬力のGT300。500はメーカー系チーム、300はプライベートチーム。見分け方はゼッケンで、白の500に対し、300が黄色。トヨタ、日産、ホンダ、フェラーリ、ランボルギーニなど国内外の自動車が駆け抜ける。2クラスによる混走レースで実施。

 ▽参戦数 25年はGT500が15台、GT300が28台。

 ▽シリーズポイント 年間を通じたシリーズ戦での順位などでポイントを獲得。ドライバー部門とチーム部門のタイトル(チャンピオン)を争う。

 ▽観客数 シリーズ全8戦の19年実績で平均4万8000人超、年間では約39万人を動員

スポーツ報知

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