富士に強いセルモが帰ってきた。38号車KeePer石浦6年ぶり、大湯が涙の移籍後初優勝【GT500決勝レポート】
2025年5月4日(日)19時57分 AUTOSPORT web

5月4日、富士スピードウェイで2025スーパーGT第2戦『FUJI GT 3Hours RACE GW SPECIAL』の決勝が行われ、GT500クラスは38号車KeePer CERUMO GR Supraがポール・トゥ・ウインを飾り、セルモと石浦宏明にとって6年ぶり、大湯はTOYOTA GAZOO Racing移籍後初の勝利を挙げた。
シーズン恒例となるゴールデンウイークの富士大会を今年も迎えたスーパーGT。今回の第2戦は3時間という長距離レースになるため、GT500ではレースウイークに持ち込めるタイヤ本数はドライ6セット、ウエット8セット、レース中に給油を伴うピットインを2回行うことが義務付けられている。
スターティンググリッドで一部マシンのエアジャッキが降りないというトラブルでパレードラップの開始が1分遅れたものの、トラブル解消後の14時11分に静岡県警察の先導で各マシンがグリッドを離れる。その後セーフティカー(SC)による1周のフォーメーションラップを経て、気温24度、路面温度38度というコンディションで3時間レースの幕が開けた。
スタートは各車とも長距離レースを見越してクリーンな出だし。ポールポジションの38号車KeePer CERUMO GR Supraの大湯都史樹に2番手の19号車WedsSport ADVAN GR Supraを駆る国本雄資がプレッシャーをかけるが、ここは大湯がトップを守る。
中団では1号車au TOM’S GR Supraの坪井翔、14号車ENEOS X PRIME GR Supraの福住仁嶺、37号車Deloitte TOM’S GR Supraの笹原右京によるスリーワイドの7番手争いが繰り広げられ、王者1号車auがサクセスウエイト40kgながら先行。1号車auはその勢いのまま、前をいく3号車Niterra MOTUL Zの三宅淳詞に迫る。
スタートから20分ほど経過したときの気温は28度、路面温度は39度と、スタート時から気温が4度上昇。そんななかでも首位を走る38号車KeePerの大湯は好ペースを維持し、19号車WedsSportに10秒以上のリードを築く。21周目にはGT300クラスの車両がターン1立ち上がりでストップしたため、この日最初のフルコースイエロー(FCY)が導入される。
24周目のFCY解除では、大津弘樹の16号車と野尻智紀の8号車とARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTの2台がホームストレートでテール・トゥ・ノーズに。8号車が一度前に出るも、1コーナーで16号車がふたたび先行し、ここで順位は変わらず。その後方では1号車auが3号車Niterraを攻略。最重量マシンが6番手に順位を上げた。
27周目にはGT500クラスの先陣を切って8号車ARTAが最初のピットイン。給油とタイヤ交換を行い、野尻がダブルスティントでコースに出ていく。僚友16号車はステイアウトを選択するも39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra関口雄飛の先行を許すと、1号車auの坪井も16号車ARTAをオーバーテイク。39号車DENSOは続いて19号車WedsSportも攻略し、2番手に上がると、ペースの上がらない19号車WedsSportもかわして2番手に上がる。
レースは38周目にスタートから1時間が経過。GT500はこのタイミングで多くのマシンが1回目のピットストップを行うが、ドライバーを交代するかしないかで選択が分かれる。なかでも1号車auはドライバーを交代しながら、中継映像上で41.0秒の早い作業で山下健太を復帰させる。一方、トップを快走する38号車KeePerは大湯にダブルスティントを託し、GT500全車が最初のピットインを終えた後も首位を守ってレースを進めていく。
その後もレースはアクシデントなく進み、トップをいく38号車KeePerは2番手の8号車ARTAに20秒以上のギャップを築く。その後方では1号車auを先頭とする3番手争いが激化。そのバトルの序盤では1号車auの山下のペースが上がらないように見えたが、徐々に後続を引き離す走りをみせる。
残り1時間を前にした72周目、首位の38号車KeePerが2度目のピットイン。スタートからトップを守りきった大湯から石浦宏明にドライバーを交代し、モニター上で42.4秒という作業時間で最終スティントに突入する。
GT500は85周目までに全車が2回のピットストップを完了させ、38号車KeePerが首位を快走。2番手には8号車ARTAが続いていたが終盤にかけて急激にペースダウン。虎視眈々と追い上げてきた1号車auが85周目に2番手を奪うと、12号車TRS IMPUL with SDG Zの平峰一貴も8号車ARTAをかわして3番手に浮上した。
8号車ARTAはその後もペースが上がらず7番手にまで後退。一方で順位を上げたのは100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTをドライブする牧野任祐で、一時は周回遅れになりながらも12号車TRSに続く4番手まで浮上すると、残り20分で12号車TRSの背後に。そして106周目のダンロップコーナーで平峰のインを突いて3番手にポジションを上げる。
一方、トップをひた走る38号車KeePerは最終スティントでもペースを落とすことなく走行を続け、そのままスタートからトップを譲らない完勝のポール・トゥ・ウインを決めた。セルモと石浦宏明にとってはこの富士スピードウェイで開催された2019年第2戦以来となる6年ぶりの優勝、大湯はホンダ時代の2023年第6戦SUGO以来、そしてTOYOTA GAZOO Racing移籍後初の勝利を挙げた。
2位にはGT500最重量ながらディフェンディングチャンピオンの1号車auが入り、100号車STANLEYは予選13番手から追い上げの3位表彰台を獲得。4位には12号車TRSが続き、39号車DENSOが5位、14号車ENEOSが6位というトヨタGRスープラが速さと強さをみせたレースになった。
2025年スーパーGTの次戦は、6年ぶりの海外大会となる第3戦が6月27〜28日にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開催される予定だ。