DTM初レース9位でバトンが感じたマシンとの違い「ストレート速度とブレーキ性能はスーパーGTの方が高い」

2019年10月6日(日)2時39分 AUTOSPORT web

 DTM最終戦となる第9戦ホッケンハイムのレース1が行われ、レース1の予選6番手を獲得したホンダNSX-GTのジェンソン・バトン(TEAM KUNIMITSU)が、初めてのDTMとスーパーGTのレースで日本勢のトップとなる9位でフィニッシュ。レース1後のバトンはDTMのプレスカンファレンスに出席し、メディアの質問に答えた。


 まずは初めてのDTMをスーパーGTマシンでスタートした感想を聞かれたバトンは、スタンディングスタートの難しさに緊張していたことを明かした。


「もっと脚の筋肉を鍛えなきゃと思ったよ(苦笑)。1速に入りづらい時があるので、スタートでギヤをニュートラルに入れちゃうんじゃないかとすごく心配で、スタートのライトが点灯した時は足がガタガタ震えてた(笑)。ひとつポジションを落としたと思うけど、まあまあのスタートが切れて安心したね」


「それから、最初の3周はみんながDRSを使っていたから大変だったね。僕のマシンの方がストレートスピードは速かったけど、DRSの効果とは違うからね。その後はリズムをつかんで走れた。一番難しかったのは、タイヤのマネージメント。内圧がかなり上がってマシンはコースのどこでもスライドしていたんだ。もっと早めにピットインして新しいタイヤに交換すべきだったね。それから、ピットストップも少し時間がかかったしね」


 ピットストップで遅れたことを指摘されたバトンは、すかさず切り返す。


「ランチを食べて、お茶してたのでね(笑) 」


 バトンのスマートなジョークに、会場は笑いにつつまれた。


「もちろん、冗談だよ。クルーはここでピットストップの練習をする時間が充分ではなかったし、プレッシャーも大きいから、彼らにとってもタフな状況なんだよ。順位を下げてしまったけど、ニュータイヤを履いてプッシュできたから、ピットイン後はすごくエキサイティングだったよ」と、チームをかばうバトン。


 レースで体感したスーパーGTマシンとDTMマシンの特性、パフォーマンスの違いをどのように感じたのか。


「マシンの特性はかなり違う。スーパーGTではDRSを使わないけど、ストレートスピードは速い。ブレーキ性能もスーパーGTの方が高いね。でも、前方向のトラクションはDTMのマシンと戦う上でかなり苦労している。彼らは向きを変えてスロットルを踏むとスッと加速していくけど、僕らはすぐにオーバーステアになる。これはウエットコンディションでも同じだね。だから、長いストレートからターン6(ストレートエンドのヘアピン)に向かうセクションや、高速コーナーでパワーをかけるのが難しい」

ホッケンハイムをジュニアフォーミュラ時代から知るバトン。予選での空気圧の調整など、他の日本勢とは進め方が異なっているようだ


スーパーGTとは違うスタンディングスタートで順位をひとつ落としたものの、DTMマシンと互角以上に戦えたバトン

レース中のバトルの違い、マシンのセットアップの進め方の違いを語るジェンソン・バトン


「それから、やっぱりタイヤの構造や特性はすごく違うね。日本では、僕たちのマシンに合わせたタイヤが用意されている、ということもあるけど。でも、レースはほぼクリーンなバトルで本当に楽しめた。ちょっとやり過ぎたヤツもいるけど、ドライブスルーペナルティを食らっていたね(笑)」


 順位変動の多かったバトンのレース1。序盤、そしてレース終盤にはコース上でのオーバーテイクも見せることができた。DTM勢との接近戦のバトルをバトンは楽しめたようだ。


「最初の数周はリズムがつかめなくてちょっと難しかったけど、中盤、特にセーフティカー以降はペースが上がって本当に楽しめたよ。日本では接触があったらペナルティになりやすいけど、DTMの良いところはスペースを空けていればある程度の接触は許される。このコースはオーバーテイクの場所も結構あって、スーパーGTとDTMがレースをするのにいいサーキットだね。明日はもっと楽しみだよ!」


 明日は今日以上に雨の確率が高くなる。ウエットコンディションとなった予選でのマシンの感触はどう感じていたのか。


「(ミッドシップのNSX-GTの)独特な重量バランスは、直線でのトラクションでは有利だけれど、フロントタイヤの温度を上げるのに苦労する。でも、今日の予選の時は次第に路面が乾いてきてグリップに問題はなくなって、セッション中はタイヤを替えずに最後まで走行できたよ」


 今日の予選、決勝を通しての経験を、明日のレース2にどのように活かすのか。


「今日は本当にいろいろなことを学習したよ。セットアップはすごく難しいね。日本ではシミュレーターを使って開発されたクルマの基本セッティングができている。構造やコンパウンドの違うタイヤをトライして、主にタイヤをメインにセットアップを詰めていくんだ」


「でも、ここはすべてがゼロから。このマシンとタイヤでこのサーキットを走ったことはないから、学ぶべきことがたくさんあるし情報も集めなきゃならない。今日までに分かったことを明日のセッションに活かしていくよ。でも、本当に苦労しているから、ウエットコンディションじゃないといいね」


 マシンとチームのセットアップの方向、そしてバトンのホッケンハイムの走行経験に加え、LEXUS TEAM TOM’S、ニッサンGT-RニスモGT500はふたりのドライバーでシェアしていている分、マシンのセットアップの進行でバトンとTEAM KUNIMITSUが先に進めやすいとの意見もある。いずれにしても、GT-R、LC500がまともにDTMマシンと勝負ができていない苦しい状況のなか、レース2でもバトンとTEAM KUNIMITSUに、なんとかDTM勢にもう一矢報いてもらいたい。

DTM第9戦のレース1のピットストップで左リヤタイヤの交換に時間がかかってしまったTEAM KUNIMITSUのバトン


DTM第9戦ホッケンハイムレース1で表彰台を獲得した3人とともに記者会見に出席したバトン

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