21年に1万mで学生新、小林成美が引退レース…コロナ禍に翻弄され「心の底では傷ついていた」
2025年5月25日(日)18時12分 読売新聞
引退レース後に笑顔を見せた小林成美
陸上女子長距離の小林成美(25)(三井住友海上)が25日、引退レースに臨んだ。埼玉県熊谷市で行われている東日本実業団選手権5000メートルを最後に現役引退することを自身のSNSで前日に明らかにしていた。レース後、「結果を出せなかったのは事実。しっかり受け止めて、次のセカンドキャリアに向けて頑張ろうと思う」と涙ながらに語った。
小林は長野県出身。名城大では全日本大学女子駅伝に4年連続で出場して、いずれも優勝に貢献するなど活躍した。2021年に1万メートルで当時の日本学生新記録となる31分22秒34をマーク。22年の世界選手権(米オレゴン州)の代表に選ばれたが、出国時の新型コロナウイルス検査で陽性となり、欠場を余儀なくされる不運もあった。
学生時代はコロナ禍で国際大会の派遣がなくなったこともあり、「振り返ってみると、何回も自分の気持ちを折られた。表面上は気合を入れていたけど、心の底では傷ついていた。つらかった」と振り返る。
実業団に進んだ後は歯車がかみ合わず、好成績を残すことができなかった。「2年間、社会人アスリートとして何も価値あるものを残せなかったことが引っかかっていた。誠実な判断をしたかった」と、引退を決断したという。今後は社業に専念する予定で、「チームのみんなを陰でサポートできたらいい」と笑みを浮かべた。