WEC:富士で新カラーリングになったガルフ・レーシング、オイルメーカーの支援を失うも参戦は継続へ
2019年10月10日(木)18時21分 AUTOSPORT web
WEC世界耐久選手権に参戦しているガルフ・レーシングは2019/2020年シーズン第2戦富士から“ガルフカラー”に変わる新たなカラーリングを採用したが、同チームのオーナー兼ドライバーであるマイケル・ウェインライトがその背景を語った。
ウェインライト、アンドリュー・ワトソン、ベンジャミン・バーカーという3人のイギリス人ドライバーでトリオを組むガルフ・レーシングは2018/19年“スーパーシーズン”に続き、今季も86号車ポルシェ911 RSRを使用してLM-GTE Amクラスに参戦しているポルシェのカスタマーチームだ。
その名のとおり、オイルメーカー『ガルフ』のスポンサードを受けていたチームはこれまで、ガルフの伝統的なカラーリングをまとったポルシェ911 RSRでシリーズを戦ってきた。
しかし、10月4〜6日に富士スピードウェイで行われた第2戦富士にはオイルメーカーのロゴが消え、ベースカラーもブラックに変更されるなど従来とまったく異なるカラーリングのマシンが登場。このお披露目の際、チームはニューリバリーを「2019/2020年WECにおける新しい方向性を示すもの」としていた。
今回のデザイン変更はそんなガルフ・レーシングと、ガルフオイルのサポンサーシップが突然終了したことを反映している。だが、ガルフ・レーシングというチーム名称は今後も継続される。これはWECのルールがエントリー時に登録されたチーム名の変更を許していないためだ。
ガルフ・レーシングのドライバーでオーナーでもあるウェインライトは、チームメイトのワトソン、バーカーとともに富士でこのブラックリバリーのポルシェを走らせたが、カラーリング変更に至るまでの背景を次のように説明している。
「僕が接触したガルフの人間は元国際副社長のフランク・ラッテンだ。彼は最近、ガルフを退職して別の仕事に移っている」
「その彼に代わる新しい人がやってきて、ガルフがル・マン24時間レースのある分野に行きたがったていることを聞いた」
「ガルフが何かをしてくるのであれば、それはかなり支配的だ。彼らの言う他のなにかは我々にとっては意味がないと主張した。僕たちは彼らと違う方向に進みたいと考えているからね」
「それは難しい感情ではないよ。お互いがただ、何か違うことをしたいと考えているだけなんだ」
富士で初披露されたブラックとオレンジラインの新カラーリングは開幕戦シルバーストン4時間レースの直後に、チームによって急遽設計されたものだ。なお、ガルフカラーで戦った開幕戦シルバーストンでもガルフからの支援はなかったという。
「シルバーストンを走ったクルマにもガルフのステッカーは貼られていなかった」と語ったウェインライトは、「(カラーリングを)変更するにはギリギリのタイミングだったが、なんとか終わらせることができたよ」と付け加えた。
「(次に)決めるべき大きなことは現在、ガルフ・レーシングを名乗っている名称だ。これはチーム名であり、会社の名前でもある。今季中はWECのレースライセンスがこの名で登録されているため、途中で変更することはできないが、2020/21年までには変更できるかもしれない」
「(ガルフの名を失うことに)私は気にならないが、現在の状況においてガルフの名がチーム名に含まれていると、明らかに疑問が生じるだろう」
ガルフカラーのクルマが来年のル・マンに戻ってくる可能性があるかとの問に対し、ウェインライトは「もし戻ってくるのであれば、それは自分たちのクルマではないだろう」と答えた。
「ル・マンには別のガルフ車が居ると思う。だが、我々と違って彼らは自分たちのクルマを持っていないんだ」
「ル・マンでガルフカラーのクルマが登場するのを期待するかい? それが僕たちでなければ、2018年のLMP1で見たもののようになるだろう。あのときはドラゴンスピードが契約を結んでガルフカラーになっていたね」
「繰り返しになるが、僕たちにとってこれは新しい方向性に進んでいるに過ぎない。新しいカラーリングに関しては、完全に新しいものになっている。もはや我々とガルフが一緒にいる必要はない。したがって、今後ガルフカラーに戻ることもないだろう」