イングランドでは“ギャング”の仲間入り? 10月に代表デビューを果たした選手たち

2023年10月19日(木)16時2分 サッカーキング

今月代表デビューを果たした選手たち [写真]=Getty Images

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 今月も各国で若い才能が代表デビューを果たしたので見てみよう。

 ヨーロッパでは来夏にドイツで開催されるEURO 2024の予選が終盤を迎え、すでに突破が濃厚となったチームなどが新たな戦力を求めて若い選手を抜擢しているようだ。もちろん、有望な若手だけではない。ドイツ代表では最近恒例となっている“遅咲きの代表デビュー”が再び見られた。

[写真]=Getty Images

■イングランド



 FIFAランク4位のイングランドは、今月13日に行われたオーストラリアとの親善試合で2名の選手をデビューさせた。4日後のイタリアとの大一番を前に、戦力確認の意味が強かったオーストラリア戦では思わぬ苦戦を強いられながらも何とか1−0で辛勝した。

 その試合でチェルシーの若武者、レヴィ・コルウィル(20歳)が代表デビューを果たした。チェルシーではクラブの英雄であるジョン・テリーの背番号26を背負うディフェンダーは、今夏のU−21欧州選手権でイングランドの優勝に貢献して大会ベストイレブンにも選出されると、チェルシーでも定位置を確保。本職はセンターバックだが、クラブでも左SBを任されることがあり、代表でのデビュー戦は左サイドバックだった。

 同じ試合でアーセナルの生え抜きストライカーも代表デビューした。24歳のFWエディ・エンケティアは年代別の常連選手でU−21世代では17試合で「16ゴール」というイングランドU−21代表のゴール記録を持っている。所属のアーセナルでも徐々に出場機会が増えており、先月初めてA代表に招集されると、今月のオーストラリア戦で73分に投入されて記念すべきデビューを飾った。



 イングランド代表は、ガレス・サウスゲイト監督がDFハリー・マグワイアやMFジョーダン・ヘンダーソンといった過去の貢献度を重視した選考を続けているため、一度入ったら抜け出せない“ギャング”と揶揄されることがある。コルウィルやエンケティアも、一度定着できたら“ギャング”に呼び続けて貰えるはずだ!

■フランス



 豊富なタレントを揃えるフランスでもチェルシーの若手が代表デビューした。リヨン時代に17歳でプロデビューしたマロ・ギュストは、今シーズンケガ人の続出に苦しむチェルシーで右SBのポジションを確保した。「ケガ人という助けがあったとはいえチェルシーで試合に出ている。守備面は改善の余地があるが、ポテンシャルがある」と、チェルシーでもプレー経験のあるディディエ・デシャン代表監督はギュストを高く評価している。

 迎えた今月12日のオランダ戦、勝てばEURO本選出場が決まる大一番で、2点のリードを奪ったフランスは80分にベテランのジョナタン・クラウスに代えて20歳のギュストを投入した。その後、1点を返されて肝を冷やしたが、2−1で勝ち切って本大会出場を決め、ギュストもデビュー戦を勝利で飾った。

■オランダ



 フランスと対戦したオランダは、大量の故障者を抱えていたこともあって若い力に頼ることに。10月の代表戦では未キャップの選手を7名も招集し、そのうち5名が代表デビューを果たした。フランス戦ではブライトンに所属する21歳のGKバルト・フェルブルッヘン、それからフェイエノールトの左SBクイリンシー・ハートマン(21歳)が先発に名を連ねてデビューを飾った。

 83分、左ウィングバックとしてフル出場したハートマンは、同じく代表デビューのフランスのDFギュストをかわしてワンツーで左サイドを抜け出すと冷静に代表デビューゴールを決めてみせた。クロスと読んだGKマイク・メニャンがニアポストを空けてしまったのも事実だが、フランスを相手に代表デビュー戦で堂々と渡り合ってゴールまで決めたハートマンの将来は明るいだろう。

 そのフランス戦では、レヴァークーゼンの高速ウィングバック、ジェレミー・フリンポン(22歳)も待望の代表デビューを果たした。子供の頃に英国に移住してマンチェスター・シティの下部組織で育ったフリンポンは、その後セルティックを経て2021年からレヴァークーゼンに所属しており、昨年のワールドカップでは未キャップながら代表メンバーに選ばれていた。そして今回のフランス戦で62分に投入されてデビューした。

 今季からトッテナムで活躍するミッキー・ファン・デ・フェン(22歳)もフランス戦に途中出場してデビューを果たした。ファン・デ・フェンは正確な左足だけでなく、プレミアの高速アタッカーにも負けないスピードが自慢だ。ヴォルフスブルクに所属していた昨季は、ブンデスリーガのセンターバック陣の中で最速スプリントを記録したほど。すでにプレミアの舞台でも存在感を示しており、トッテナムとオランダ代表の未来を背負って立つ選手になるだろう。



 そのほかにも、アヤックスのFWブライアン・ブロビー(21歳)が1年越しのデビューを飾った。昨年A代表に初招集されながらも出番がなく、今月16日のギリシャ戦で62分に投入されて初出場を果たしている。

■スペイン



 スペインは12日のEURO予選のスコットランド戦で3名の新戦力を起用して2−0の勝利を収めた。スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督はゴールレスのまま迎えたハーフタイムに、これが代表デビューとなるレアル・マドリードの左SBフラン・ガルシア(24歳)とグラナダのFWブライアン・サラゴサ(22歳)を投入。さらに67分には、これまた初出場となるアスレティック・ビルバオのMFオイアン・サンセト(23歳)を入れて勝負に出た。

 するとチームは73分にFWアルバロ・モラタのゴールで先制。そして86分には相手のミスを見逃さず、最後はサンセトが詰めて代表デビューゴールを決めたのだ。いきなり結果を残したサンセトも脚光を浴びたが、やはり話題となったのはFWブライアン・サラゴサである。

 2年前にスペインの4部リーグでプレーしていたアタッカーは、今季ラ・リーガで驚異的な活躍を見せており、今月8日のバルセロナ戦では世界的チームを相手に一人で2ゴールを奪って称賛を浴びた。その活躍もあり、ケガのジェレミ・ピノに代わってラ・リーガで9試合しか出場経験のないサラゴサが追加招集されたのだ。グラナダの選手が代表に呼ばれるのは1974年以来のことだった。

■ドイツ



 ドイツでは好調シュトゥットガルトのMFクリス・ヒューリッヒ(25歳)が初出場を果たしたほか、ウニオン・ベルリンのベテランアタッカーが代表デビューを飾った。32歳のFWケヴィン・ベーレンスは、17日の親善試合のメキシコ戦で87分に投入されて初めて代表のピッチに立った。5年前まで4部リーグでプレーしていた苦労人は、年代別代表にも選ばれたことがないため、これが本当の意味での初代表となった。

 ドイツでは先月にMFパスカル・グロスが「32歳87日」でデビューしていたが、ベーレンスはそれを超える「32歳257日」での代表デビューとなり、ドイツ代表において9番目に“高齢の代表デビュー”となった。果たしてベーレンスはセンターフォワード不足に苦しむドイツの救世主となれるのだろうか?

■その他



 イタリアではトッテナムのDFデスティニー・ウドジェ(20歳)、ポルトガルではベンフィカのMFジョアン・ネヴィス(19歳)、ベルギーではアントワープのMFアーサー・フェルメーレン(18歳)とMFマンデラ・ケイタ(21歳)が代表デビューを飾った。さらにブラジルではマンチェスター・シティからジローナにローン中の右SBヤン・コウト(21歳)もA代表のピッチに立っている。

 さてさて、各国でどんどん若い才能が出てくるなか、ドイツでは2カ月連続で32歳が代表デビューを飾っており、議論が続く同国の育成問題はかなり深刻なのかもしれない…。

(記事/Footmedia)

サッカーキング

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